エロと妄想

 今日は収穫の多い一日だった。モデル志望の女性と面談をした。彼女は26歳の女性で、Alt-fetish.com的なフェチに対するストレートな関心はないものの、キャットスーツはかっこいいと高く評価してくれている。
 日頃いかにハードに、いかにエロティックに、いかにビザールに入り込んでいくかばかりに腐心している私としては、キャットスーツはかっこいいという女の子の評価はむしろ新鮮だった。
 そもそもエロとはなにか。何に対して人はもっともエロさを感じるのか。ラバー好きの筆者が、全身ラバーをズバリ着込んでフラッシュぴかぴかで撮った写真、そう、調度MARQUISとかヘヴィーラバーマガジンに盛んに出てくる写真たちの───に必ずしもピンと来ない。むしろ、町中で、ふと目にする、ちょっとヤンキーっぽい男が運転するバイクの後ろにタンデムでまたがる、ブーツを履いた、茶髪をなびかせる女の子のほうがかなりいいと思う。顔なんかほとんど確認できず、サッと通り過ぎるのみなのだが、その全体の雰囲気、ポイントに利いているブーツ、男のバイクにワイルドにまたがる、部屋に帰り着くなり、ヘルメットもブーツも脱がずに男とはじめてしまう、若いセックスへの渇望。そういう全体の物語に興奮してしまうわけである。
 常磐響が『デジカメ・スタイル』(河出書房新社)でエロ本と妄想について語っている。
「今の実用的なエロ本みたいに、内面よりも、ポーズ主体、ボディ主体で撮るんだったら、人形やCGでいいんじゃない? だいたい現実世界では、そんなきれいな照明の下でストロボたいて女性を見るわけじゃないしね。それじゃ、あまり妄想が生まれにくいんじゃないかな。妄想してこそなのにね。」
 常磐響にラバーガールを撮ってもらいたいのが理想なのだが、彼はちょっと敷居が高そうなので、仕方なく筆者が撮る。
 衣装も照明も女の子もばっちりなのにエロくない写真、それだけにはならないよう、研究している。町中で見かける、普通の子が何気なく採用したフェティッシュアイテムがもたらす強烈なイマジネーション喚起力、日常に強烈に存在しているフェティシズムをうまくすくい取りたい。
★今回のモデルとのフォトセッションは来週木曜日を予定しています。それ以降の公開まで楽しみにして待ってください。また、ご希望の方には例によってポストカードにしてプレゼントする予定です。それは追ってご案内します。
Text by Tetsuya Ichikawa
Alt-fetish.com
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