ラバーキャットスーツでデビューする

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◎誰もが主役の時代
 ソーシャルネットワーキングメディアやインターネット上の掲示板、ブログなどのインフラと、廉価になったデジカメ。これらを利用して自らのブランド価値を高め、その世界ではちょっとした有名人に、誰もがなれる時代です。
 パリス・ヒルトンは起きているあいだ四六時中パパラッチやメディアに自分自身をさらけ出して、自分のブランド(服や化粧品、出演映画やドラマ)のPRに余念がありません。一般の消費者はパリスが出ているテレビ、雑誌、ゴシップ記事の依存症で、彼女が推奨する商品は買わずにいられなくなります。みんな有名人の情報に飢えているし、有名人もそれを知ったうえで、メディアを縦横無尽に駆使して自分をマネタイズしているのです。
 あなたがパリスでなくてももちろん問題ありません。すでにラバーフェティッシュピープルとして注目を集められるルックスに変身できるあなたならパリスになるに値する有資格者といえます。これから紹介する方法を使えば、明日からあなたは、この世界の有名人として華々しくデビューすることができるのです。
◎必要なのは3つ
 あなたという存在。それは、今はまだ、誰にも知られていない「点」に過ぎません。このあなたという「点」を、みんなにつなげる役割を果たすのが「メディア」です。自分のことをみんなに広めるから、それは自分メディアです。自分メディアを使って、自分ブランドを立ち上げ、維持していく活動をこれからやりたいのです。
 自分メディアを立ち上げるのに必要な道具、それは3つだけです。高速でネットに常時接続できる光ケーブル回線とプロバイダ(月々7~8千円程度)。ウィンドウズPC(5万円程度)。そして、コンパクトデジカメ(携帯カメラでもOK!、2~3万程度)。予算は10万円もしません(すでにキャットスーツなどビザールコスチュームをもっているのが前提)。
 これらを使って、無料のブログ、無料で使えるツィッター、mixi、画像掲示板、2chなどへどんどんコメントや画像をアップしていきます。
◎一瞬で人の心をわしづかみにする
 魅力的な自分の写真の撮り方。気になるところです。昨今のサイト閲覧者は、同じサイトに2分も3分もいてくれません。面白くないと思ったら一瞬で立ち去ります。ですので、一目で、おっと思わせる写真を撮らなければならないのです。なのに、自分はこれまで、写真なんて勉強もしたことないし、カメラで撮る経験すら乏しい。でも心配しないで下さい! 人々の注目を集める、心をとらえる写真の撮り方は、意外なほど簡単です。それはヒトコトで言うと、「うまく撮ろうとしないこと」です。作ろうとしちゃ、ダメ。こういうふうに撮りたいとか思わず、どんどん、ありのままの自分を撮るだけでいいんです。なぜなら、人々の心をわしづかみにする写真は、作り込んだきれいな偽物ではなく、リアルな今の自分の姿、実在するフェティッシュピープルの現実の一瞬だからです。
◎モテ写を簡単に撮る3つのコツ
 そうはいっても、じつはやるとやらないで断然写真がよくなる、いわゆるモテ写のコツが3つだけあります。それは、
1.上の方から目ヂカラ入れて撮る 理由は、下から撮ると顔が下膨れになるから。上から撮れば、あごのラインもほっそりして、目も当然デカく写ります。その肝心の目はしっかり目を開けて、ぱっちり写るようにしましょう。目は口ほどにものを言うわけですから。
2.必ず、指を画面内に写し込む あごや、ほおなどへ手を添えてみて下さい。何となくエロティックに写るんです。簡単なことですが、効果絶大。もちろん、手だけでもOK。グローブをはめた手のエロティシズムをどんどん使い倒しましょう!
3.なるべく明るいところで撮る 最近のプリクラ機の中をのぞいたことってありますか? 中に入ると、全身が撮れるようになっていてしかも上下左右の壁全部が光るようになっているんです。女の子の顔を白飛ばし(真っ白に飛ばして皮膚の粗を目立たなくする撮影テク)はエロく撮るための必須。もちろん、光は我らビザールスーツにも有効。黒のラバーキャットスーツは暗いとスミベタになってしまい、せっかくの体の起伏も見えなくなってしまいます。フラッシュをたいてもかまわないので、光を十分に当てましょう。
◎フィードバックを得る
 インフラも調えて、写真も撮って、アップもしました。そのあとは、見た人からのフィードバック(意見や感想)を見てみましょう。mixiなどはとりわけそうでしょうが、たいていの画像掲示板にしても、頑張って撮ったものを頭ごなしに否定するようなことはありません。みんな何かしら励ましてくれたり、うれしいことを言ってくれるものです。これはなぜかというと、素人が撮って勇気を持ってアップした画像を否定する行為は、結局は自己否定にもつながるからです。見る側も素人だし、いつかは自分も作品を撮って発表したいと願っている、それが現代固有の私たちの持つ気分というもの。自分が将来発表するときに、いきなりひどいことを言われたらたまらない。だったら今、人が発表したものを見て、褒めておくに越したことはないのです。
 ですから、恐れずに発表してみて下さい。それでみんなに見てもらって、次の作品を撮るエネルギーにすることです。
◎衣食足りて礼節を知る
 私たちが企てるこの自分メディア、自分ブランドという文化活動は、脳の構造でいうと、新しい脳、進化した人類固有の脳の部分である前頭前野のなせる技です。この脳がよく働くには、生き物としての人間の基本的な欲求、つまり、安全で、おなかがいっぱいで満たされたリラックスした気分でなければいけません。何か危険を感じていたり、明日の食べ物にも事欠くような状況に置かれていると古い脳の脳幹が一生懸命働きますが、文化文明の前頭前野は活動が鈍ります。
 ですから、ビザールな表現活動で自分メディア活動をしようと思うのならば、まずは豊かでリラックスできることが何より大事です。これは、私が尊敬してやまない、九州のラバリストクラブオブジャパンを主宰されていた方がおっしゃっていた言葉ですが、ラバーをやるには、ある程度経済的に自立していなければならないということです。
 たしかに、最初は「誰でもできる」と申し上げました。しかし、その誰かになるにも条件があり、それは衣食が足りて十分脳の適当な場所が働く状態に持って行ける人に限られるのです。
 こう考えてくると、ラバーフェティシズムを通じた表現活動もいっそうの奥行きを得ます。何でも、簡単にできちゃうことは面白くありませんよね。ちょっと難しくて、できたらそこそこの評価が得られる活動こそいつまでも飽くことなく続けられます。人生の目標、生き甲斐、ライフワーク。ラバーフェティシズムの自分メディアは、そうしたものに十分なり得る、たいへん有意義な活動だということがおわかりいただけるのではないでしょうか?
【フェティッシュジャーナル】[ラバーフェティシストのためのメルマガ・ブログ]
文・市川哲也
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