三権分立のうち、立法が腐った国

 結局制度として三権分立とかいってうち立てても、こうして平和時が長年にわたって続いて、人間も制度も陳腐化してくると、あらが目立ってくるようだ。
 会社税務もかかわっているが、いくら法律で決められているとはいえ、国というのは本当に、エーこんなところからも税金を取るのか、と驚くことの連続だ。
 それに、天下りという、公務員の身分に有利に偏ったシステムは、どうも最近ますます勢いを増しているようだ。天下りは前年より12人増え、86人が2004年には官から民へ天下ったという。天下ったヒトは、公務員の退職金にくわえ、移った先の民間をやめるときも退職金をもらえる。もちろん、額は調整されるものの、年金も65歳以上であればもらえる。公務員で天下りをすれば、ものすごい楽な仕事で莫大な収入と身分が、(違法ではないという意味で)法律により保証されるのである。
 一部の公務員がめいっぱい法律を自由に作って好き勝ってやれる背景には、立法府に提出される法律のうち8割はなんと行政府の勤め人、つまり公務員が作っているからである。提出法案のうちのこり、たった2割が、政治家によって出される。そもそもその政治家っつったって、国民全体の利害よりも、もっと身近な自分たちに都合のよい利害で動く連中だ。
 そう考えると、行政府と立法府が、好きに作る法律で、連中の自由に、なすがままにされている国、それがいまの日本なのだ。
 私が一番危惧しているのは、いったい何に使っているのか「私が」(一国民である私が分からない、というのがいちばん問題だ)よく分からないままに、いつのまにか国家財政のうち借入金の占める割合が膨張し、いまや一人あたりの国の借金(国・地方合計で)は588万円という。しかもこれだけの借入金は、利子が付いていて、時間が経てばたつほど当然増える。恐ろしい話である。私は、借入金は大っきらいだ。
 こうしたメチャメチャなことが、「法的には問題ない」からと横行している。法律は金科玉条ではなく人間(それも、日本の場合は公務員)が作る欲望の具現化に過ぎない。それを、まわりの、蚊帳の外におかれた国民が、指をくわえて眺めているだけだ。ズルイー、とか言いながら。
 私には地元の市議会に無所属の議員を送る市民運動の団体に身内がいる。その議員の活動を見ていてつくづく思うが、そういう無所属議員ひとりではなんにもならないということだ。ただわめいて反対しているだけで、結局自民、公明などの議員の思惑通りに進む。自民・公明などの前にあっては、無所属議員など無力である。しかし本当はそれじゃマズイと思う。でも現実は無力なのだ。
Text by Tetsuya Ichikawa
Alt-fetish.com
info@alt-fetish.com