外貨預金キャンペーン金利の正体

外貨預金キャンペーン金利!
米ドル建て 定期預金1カ月もの 5.0%(税引き前年率)
これを見て、普通の日本人の発想はこうだ。えっ、5パーセント?すごい、いまの日本の「雀の涙ほどの」(超陳腐な言葉)金利にくらべると、目がくらみそうだ。ヨシ、すぐに申し込もうとなる。
いやちょっと待って欲しい。外貨預金には、高金利に糊塗(こと)されて看過されがちな、しかしとんでもなく巨大なリスク、為替リスクがある。
円高、円安とか言う言葉はいま、どうか忘れていただきたい。これから、世界一わかりやすい為替リスクの説明をするから。
あなたが、とにかくひとつ110円で買ったものがあるとする。それを数日後に他人に売ろうと思ったら、その人は105円ならそれを買ってやるという。
しかも、そいつは、あなたからそのものを買うにあたり条件を付けてきた。その取引にあたり、その人にさらに2円、手数料として支払わなければならないという。そうすると、あなたが現金として持っていればそのまま110円のままで済んだ、その110円は、いまや110-5-2=103円。元の価値より6パーセントも減ってしまった。
ところで、そのものを持っていた1ヶ月間のあいだに、そのものの価値の5パーセントの利子がもらえることになっていた。雀の涙の国内の普通預金金利にくらべてとんでもなく高く見えた5パーセント。
これを計算すれば、損した7円も返ってくるのでは?
ではやってみよう。まず利子というのはもちろん年利。一ヶ月ならばその12分の1だ。5パーセント÷12=0.41パーセント。しかもこの額の2割は税金として国が持っていってしまう。すると残りは0.33パーセント。
110×0.33=0.36円
あなたの7円という損失を埋め合わせるのに、0.36円じゃあまりにも足りない。
冒頭で、キャンペーン金利と騒がれていた「5%」の正体は、この0.36円のことである。元の110円の、なんと0.32%。
ていうか、細かすぎ。とにかく金がへっちまってるじゃんとあなたは怒ると思う。怒る矛先は私じゃなく、アメリカ合衆国である。
蛇足だけれども、値動きが安定した高配当の国内株式を買っていた方が、全然よかったのでは?だってこれだと、手数料はネット証券ならとても安いし。税金だって2割じゃなく1割。