悪くないラバーフェティシズム

 ALT-FETISH.comはラバーがファッションの世界でどんどん用いられるようになればよいと思っている。ラバーほど斬新で、エコロジカルで、加工もしやすい素材はない。もちろん着る人にとっては通気性が悪いし重いしろくなコトはないが、そもそもファッションがクールであるためには、なにがしか身体を虐めるような、被虐的な要素が入っていることが不可欠である。SMを想起させるラバーはデザインに力強さとクールさを与え、見る人を覚醒させる。まあそれをおしゃれに見せる(陳腐ではなく)のがたいへんなんだけれども。
 エスモードジャポンの宮本さんに請われてBLACKSTYLEからラテックスシートを割安に提供して差し上げて以降、彼女の後輩からラテックスシートの取り寄せ注文が続いた。非常にうれしく、この流れがずっと続くことを願ってやまない。
 生地はサイトで売っているし、接着剤も売っている。この接着剤に添付の説明書を読めば、どんなラバーの服でも作れてしまう(ラバーの接着方法をこれほど懇切ていねいに記した日本語の文献はおそらく本書を置いてほかにない)。色とりどりの生地が自由自在に断裁でき、貼り合わせることができるのだ。イマジネーションの翼を味方につけて、どんどんこの新しい表現に、この素材をもって、挑戦してもらいたい。
 ALT-FETISH.comのお客さんのほとんどはもちろん、性的な欲望を短期短期で解消していくためにラバーを使う人がほとんどだと思っている。しかしながら、そうした切り口以外のラバーのとらえ方をして注文してくる人も近年は増加の一途である。そうした人たちは、クリエイティブな仕事をする女性に多い。他の人が成し得ないような自己表現をする手段として意識的にラバーを選び取っているのだ。彼女たちはラバーのみならずさまざまなほかの素材とうまくコーディネートする才能があり、そうすることでラバーの毒がファッションへと昇華される。
 ラバーは私たちにとってとても気持ちのよい、たまらなくワクワクする素材だが、一方でファッションとして、表現の素材として、大きな可能性を占めている。そういう素材に対するフェティシズムは、ビザールなカテゴリーのなかにあって決して悪いものではない。
市川哲也
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