満足を高める人生の智恵

 NHKが少子高齢化社会、人口減少社会をテーマに特番をやっていた。例によって聞いたような意見が出そろったときに、境屋太一が長時間労働が少子化の一因という意見に対し、こういった。「長時間労働をするのは結局金が欲しいから。経済の視点から考えるならばこの問題は解決しない。金ではなく別の満足すべきものを各人が見つけるべきだ」
 なるほどなと思った。しかしまあ金がたまるのが一番満足という人も強烈に存在しそうで困った。イヤー金じゃないよ、盆栽だよ、英会話だよ、クワガタ飼育だよ、デイトレだよ、陶芸だよと言ったところで、金欲しくて長時間労働しているカップルを家に振り向かせてセックスさせ、子供増やせるか。なかなかねえ。
 先日、筆者はデイトレに失敗し、あれこれ金を投じて準備をして、満を持してはじめたのに損した、もう二度とやらねーべという恥ずかしい告白をこのブログでした。それに対し、ユニークなコメントがついたのである。デイトレを、「陶芸」「クワガタ飼育」「英会話」などに置き換えて読んでみて合点したという。筆者のデイトレへのスタンスもまさにこれらの趣味というか、「よしやるぞ」と意気込んでまずは金を使って道具建て、お膳立てをやりやすい活動だ。あれこれノウハウもあって、一連の「学習」期間を経る。そしていざ、となると、陶芸は駄作しかできずしかも割れる、クワガタは死ぬ、英会話は身に付かない、デイトレは損をするという「オチ」で終わるのである。
 確かにその通りであるが、どうだろうか? ここでひとつ境屋太一に言わせてみるというのは……。つまり、デイトレで金を稼ごうとするからダメだ。デイトレをして失敗するという一連の「活動」に、自分なりに満足を見いだせばよいのではないか……。
 確かに。
 買った株がどんどん下がるときのあの心臓ドキドキ感。金を出して乗るジェットコースターに乗ったのと同じ気分だった。あの読みがはずれたときのイヤな気分も、じつはそれなりに味わいのある満足な体験にできるのではないか? そう受け止めるのは結局自分次第。
 というわけで、まあ人は何に満足を見いだすか、人それぞれ、どんどん工夫して、智恵も使って満足を見つけだす、満足を作り出す、そうする必要がある時代なのである。
 ふつう、男の市川哲也が何度も使ったラバーマスクなど他人が欲しがるはずもないというのがこれまでの高度経済成長、右肩あがりのイケイケドンドンの思想であった。しかしこれからは違わねばならない。そうしたラバーマスクも、もし激安ならば欲しい人がいるのではないかと。
 別に市川哲也はタバコも吸わなければ、不潔な人でもない。ポールスミスでTシャツも買う、それなりにコじゃれた32歳だ。それが使ったラバーマスクなんだから、人によってはもちろん、それを譲り受けてかぶって満足を発見してもらエル余地があるんじゃないの? 少なくとも!その満足を他人が享受する機会を、それがほんのわずかでも存在している以上は、出品しないではいられないんです。
 まあ、そう思って、ヤフオク、出品してみました。
 ついでに、PDAも……。PDA……。つまりはスケジュール管理なワケで。これまた、道具を揃えて志すものの、すぐに挫折するジャンルの活動なワケで。
 そんな私のモノたちをドンドン落札して、人生、たのしんでください! 私はただ、あなたなりの満足を発見するお手伝いがしたかっただけなんです。
って、なんでいいわけ?市川哲也
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