10周年、女性を取り巻く環境は変わった

届いたばかりのヘヴィー・ラバー・マガジン最新号(13号、2~3日中にウェブで販売開始します)から、巻頭のピーターの言葉を紹介しよう。日本でもこうしたことが起こってくれればよいが、Alt-fetish.comにモデルを名乗り出てくれたフェティシストで女性の方は、ユリカさんなど数えるばかりだ。おそらくピーターがいうように、これで生計を立てるというのは困難な話である。ただAlt-fetish.comに名乗り出てくれさえすれば、そして素質があれば、きちんと育てたいという希望はある。何度モデル募集を告知しても応募は一切来ないからあきらめてますが! ヘボ翻訳は市川です。
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MARQUISは1994年に設立されて以来、今年で10年目となる。この10年でたくさんのことが変わった。フェティッシュシーンは拡大し、はるかにセルフ・コンシャスになった。とりわけ、女性フェティシストたちの変わり様は特筆すべきだ。
 いつも、私はMARQUISと、ヘヴィー・ラバー・マガジンの発行人として、カメラマンとして、適切な女性モデルを探すのに苦労してきた。もちろんビデオ作品を撮るにあたっても同じだ。遠い国のモデルには飛行機で来てもらわねばならなかった。また中には単にお金のために割り切って、この独特のにおいを放つラバーを着る人もいた。
 だがこれはもうずっと昔の話。今や事態は大きく改善している。今日、フェティッシュシーンには大勢の美女がいくらでもいる。彼女たちは憶することなく自分たちはフェティシストであると告白し、お仕着せではなく自分たちのラバーコスチュームを喜んで着て、魅了してくれる。ファッション性の向上も、この潮流に寄与している。優れたフィット感と品質を持つ、素晴らしいデザインのラバーコスチュームは、以前はほとんどなかった。だが今やフェティッシュシーンにおいて、多くのデザイナーが登場し、世界市場で競い合うようになったのだ。普通の仕事を辞してこの世界に飛び込み、フェティシズムだけで生計を得る女性たちも増えた。彼女たちは自分自身のフェティシズムにすべてをかけている。これはじつに注目すべき事態である。
 素人の女性がフェティッシュモデルとして世界的な名声を博し、成功していることのインターネットが必要不可欠な役割を果たしているのはいうまでもない。自分のウェブサイトで、あるいはメールで画像を数点送るだけでも、今は簡単に、求める人に自分の写真を届けられる。ウェブ前史においては、金をかけて撮影し、郵便メールでカメラマンや出版社社主へプリントを送って、長い間返事を待たねばならなかった。さらに、成功の登竜門である雑誌メディアに掲載されるためには長い時間待たねばならなかった。それが今日、自分たちのウェブサイトを作ることで、自分で知名度を上げられるようになった。雑誌社は、勝手に追いかけてきてくれる。
 MARQUISは、2004年の春、ついに最初の「フェティッシュ・モデル・ディレクトリー」を刊行する。光沢のある美しい紙には、世界中のベストフェティッシュモデルが掲載されている。その数は、100人に及ぶ。しかも彼女たちの情報やメールアドレスなど「テクニカルデータ」がついている。まさに、10年前、モデル探しに多いに苦労した私がいちばんほしかった、美しいフェティッシュモデルの電話帳だ。
 今号でも新しいフェティッシュモデルが何人か登場する。楽しんで!
Peter W. Czernich
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世のみなさんはただの変態、それもものすごいビジュアルの、笑っちゃうほどの変態の人たちが一体なにをいっているんだろうと目を白黒させるかも知れない。しかし、この巻頭言を見れば明らかなように、ファッションや、ネットと素晴らしい仕方で融合することによって、変態というのが、自分も楽しめるものになってきているという世界的な潮流がある。変態といってもロリコンみたいな犯罪行為と違い、フェティシズムは快楽追求のプロセスで犯罪性はなく、健全である。おまけにその高いファッション性とインパクトから、ファッションや映画のコスチュームクリエイティブにたいへん強い影響力を持っている。
これからの日本のフェティッシュシーンの隆盛、フェチのファッションカルチャー化には、トウキョウパーヴやトーチャーガーデンが重要な役割を果たしていると思う。しかし印刷媒体がないのは非常に残念だ。トウキョウパーブやトーチャーガーデンの主催団体がどこか信用のおける印刷出版プロダクションを保有して定期で出すようになれば、世間には大きなアピールとなるだろう。