純粋な恋愛関係におけるラバーセックスの体験記

 「進化し続けるための記録~セックスありき どうせなら気持ちよくなりましょ」★1というブログがある。2006年3月にはじまっていて、この原稿を書いている同年7月現在も頻繁に更新されている。書いているのはなんこさん(女性)、かぼすさん(男性)のカップル。ブログのコンセプトは「私と彼との記録であると共に、ごくごく普通の人間が性を深く真剣に考えても何らおかしいことではないことをお伝えしたいのです。」(なんこさん)。30歳前後の二人が記す、性の話題は非常に赤裸々ではあるものの、軽く、いい加減に書かれている印象はない。セックスは確かに気持ちよく、理性を超えた領域でのコミュニケーションである。しかし、なんこさんとかぼすさんは、性を考えるにあたりブログという場を得て、理性で自分たちの性を振り返る契機をあえて設定。まじめにあのときはどうだった、今度はどうしたい、といったことを書いている。このブログは、現代日本人の性を取り巻く状況の一端を、ティピカルに象徴する、優れた性の実践論考になっている。
 この小文では、このブログを素材に、日本がこれからどんどんジェンダーフリー化して、女性の力が大きくなっていくのではないか、という仮説(というか、願望)を述べてみたい。
 この7月。彼氏のかぼすさんが、SALOのラバーキャットスーツ★2をなんこさんに着せて行った二人の性体験の記録が、このブログに掲載された。
 ラバーフェティシズムが人間の性快楽に密接に結びついており、快感を高めるのは私たちなら実感を持って知っている。だが、二人はもともとラバーフェティシストではない。そうした二人が、ある種実験的にラバーコスチュームを着て、セックスをし、その経験を語っているのである。なんこさんは、その体験を通じて、ある貴重な発見をすることになった。
 ラバーキャットスーツを着たなんこさんは、うまれてはじめてみるその自分の異形に激しく興奮し、かぼすさんと交わっているにもかかわらずセックスというよりも自慰として絶頂に達してしまうのである。
 ところで、いまWeb2.0という、インターネット上の大革命のまっただ中に、この日本はある(ブログは英語より日本語で書かれたもののほうがわずかに多いという)。個人が、かつてでは考えられなかったような安いコスト負担で、あらゆる人を対象に自分の意見表明ができるようになっている。日本国憲法が保障する表現の自由は、自分の考えや意見を表明することにより、個人が正しいメディアリテラシーを身につけられるように、との企図があった。その憲法の精神が、いままさにブログという革命的テクノロジーでいかんなく発揮されようとしている。そうした意味で、いま日本人は、少なくともブログをやっている日本人は、憲法が保障する民主政治の担い手として成熟したこの情報民主主義の新しいステージに立っているのだ。
 それでは、そうした素晴らしい情報民主主義の最前列に座って、なんこさんがどのようにラバーを着て興奮し、それでどんな発見がふたりにはあったのかをみてみることにしよう。少なくともWeb1.0時代では、こうした個人的な体験が広く知られる、ということはあり得なかった。私たちもこれを読む以上は、なんこさんが記したとおり、性を深く真剣に考える契機としなければならないのは厳に認ずるべきだろう。本人の許諾を得て引用させていただいている。中略有り。
 はじめに、なんこさんがSALOのキャットスーツを着たのは、7月18日だった。「キャットスーツ、着ました~(≧∀≦)。裸にゃ自信全くないですがこれを着た私は自分で「かっこいい(゜ロ゜;)!」と連発しておりました(笑)」女スパイみたいでしょw」
 はじめて着たなんこさんは、ビザールな変態臭さよりも、むしろかっこいいと自分でポジティブに評価している。ハリウッド映画などで、このスーツが変態の象徴としてではなく、ヒーローの象徴として描かれるようになって久しいことも影響するだろう。それに、男が着るよりも、女が着たほうが変態性は薄れる。キャットスーツは、黒猫ということである。多分に女性っぽいアイテムだ。なんこさんは同じ日に、着た感想として、「キャットスーツはファスナー以外、全てラバーなんですべりが非常に悪く、またすご~くキツいので着方があります。」とか、「皮膚呼吸が出来なくなるので結構苦しいんです。その閉塞感を楽しむのもラバーフェチの魅力だとか息苦しくなった私はファスナー少し下げてしばしの解放感を」といったことも書いている。
 私たちラバーキャリアにしてみれば、当たり前のことばかりだが、こうしてはじめて体験する女性に書かれると、じつに初々しく、何となく先輩風を吹かせたくなってしまい、妙にうれしい気がする。
 7月20日。彼氏のかぼすさんが書いている。「いやぁ~すっかりラバーの魅力の虜ですよぉ♪ ラバーの光沢が非常になんともたまらんのです♪ もっと言えば、ラバースーツをまとったなんこを自分の白濁液で汚したい、とすら思っています。なんこがラバースーツを着ることで、『なんこ』ではない『なにか』に変わることがたまらないんですよねぇ~。」
 まだ実際、着たままプレイしたわけではない彼は、のちに訪れる恐るべき発見があることを知らず、脳天気なまでに書いている。ところで人はラバースーツを前に、2種類に分けられる。Sか、Mかである。かぼすさんはまちがいなくSではなかろうか? 「汚したい」だなんて……。ちなみに筆者はMなので、間違っても女性にそんなことをしてしまいたくはない。むしろ女性に汚されたいがまあそれはここでは深入りしない。ここでポイントが出てきた。ラバースーツが、なんこさんを、なんこさんではない「何ものか」に変えてしまう効果、である。ラバースーツを着ると、身体の全部がまったく違うものに包まれていながら、身体のラインはピッチリ浮き出て、しかも動くので、まるで動く物に見えてしまう。人格がなくなってしまう。このことが、後に分かるが、なんこさんをラバースーツのとりこにする。
 7月22日。運命の日がやってきた。ふたりは、ラバースーツとグローブを携えて、ホテルに入る。ラバー姿のなんこさんはこの日、豹変した。かぼすさんの側から、当日なんこさんがどうなったかをみてみたい。
「甘く見てました。まず、なんこと合流。実はこの時から『今日のなんこはなんか違うなぁ』と思ってました。ホテルに入り、おやつもそこそこに早速ラバースーツを着始めました。ラバピカ(潤滑剤&光沢剤)を塗ってやっとの思いで装着完了。この時です。なんこの目がいつもと全然違うんです。虚ろなんだけど、見開いているというか…。正直、すこし怖かったです。んで、パシャパシャと撮影。なかなかよいのが撮れました♪ (画像は後ほど、なんこがアップしますm(_ _)m) 例のごとく、バックショットを撮っていたら…。★3
 なんこは腰をくねくねさせはじめるじゃないですかぁ♪ かすかなあえぎ声も聞こえてきました♪ そして姫部のジッパーを空けると…、ドロっとしたたり落ちるなんこの体液…。たまらずむしゃぶりつきました(〃∇〃) このツルツル、てかてかの姫部を撮らねば! と口を離した隙に、なんと…、なんこがオナニーをし始めちゃったんです(〃∇〃) 肌色の姫部に黒い指が出たり入ったり…。バイブやローターを出し入れしてるのと訳が違います。その淫靡さ、迫力たるや…。すごく感じてしまっていたみたいです。俺もそれを見て今までにないくらい興奮してました。気が付くと、自分自身をしごきながら黒い指の出し入れされる様を食い入るように見てました…。もうたまらなくなってしまった俺は、そのまま挿入。
 アッと言う間でした。…ん~。終わった後も、なにやらお互い釈然としない。『ホントにSEXした???』とお互い思いました。多分あれは『お互いの性器を使ったオナニー』にすぎないでしょう。なんこがラバースーツを着てオナニーしている辺りまでがよいラインだったのかもしれません。しかし、その後のSEXは今までで一番満たされないSEXでした。少しも癒されませんでした。少なくとも俺にとっては…」
 興奮のるつぼと化したふたり。しかし終わってみて、残ったのは虚しさだけだった。二人の恋愛関係において、ラバースーツが第三者のように介在し、本来かぼすさんへと向かうはずのなんこさんの興奮が、ラバーの方に向いてしまった。そのため、当然のことながらかぼすさんは恋愛感情の成就から得られる本来的満足感をこのセックスから受けることができず、虚しく終わったのだ。
 ただ、私はラバーサプライヤーとして、なんこさんはもとより、かぼすさんもかなり興奮したことだけは強調したい。お互いのSとかMの立場、恋愛感情、こうした物をすっ飛ばして、ラバースーツが今回二人のセックスにおいて果たした性的な有効性。私はこの発見こそ、ラバーフェティシズム研究における重要なエポックメーキングになると思っている。ラバースーツは男女を問わず、まさに人間を変えてしまうのだ。人間を獣にしてしまう。人獣に。そのことは、なんこさんの側から記された初めてのラバー結合の感想からもうかがい知ることができる。次は、同じ日のなんこさんのポスト。
「今日はラバースーツをマスク以外完全に装備してみました。グローブとブーツ(ラバーブーツはまだないので普段のを代用)まで身に纏い、頭以外を密閉。彼はとても興奮し、私はラバーを着ただけで
すっかり濡れていました。光沢剤で艶を得た私の姿を画像に閉じ込めているうちに、私を唯一覗かせられるファスナーを開けて、彼はラバーからはみ出した性器にむしゃぶりつきました。
 私も指先までラバーに包んだ手で、気がつくとオナニーしていました。指を入れ、彼を挑発するかのように。思いのほか、濡れていましたが、ラバー越しの感触は単に「私から漏れた液体」のようで、愛液でも体液でもなく、不思議な感覚でした。彼は自身を私に舐めさせしばし二人でオナニーしあい…彼は私に入れて来ました。肌が触れ合うのは性器と顔だけ。異様な感覚で私は陶酔していました。」
 やはりなんこさんも猛烈に興奮してしまっている。しかし終わったあと、二人はこれまでに感じたことのない、虚無感に襲われた。その虚無感はただのそれではない。もっと深い背景があった。それが明らかになるのは、なんこさん本人がこれまた記した、次の日のポスト。なんこさんが回想する。
「ラバー装備でのセックス…終わった後、彼は私を遠くに感じると言った。私も同じような感覚だった。「やきもちかもしれない…」ラバースーツに私を取られたような気持ちを抱いたそうだ。終わった後の彼からこぼれる言葉を聞きながら、私は自分の感じたことをようやく整理できるようになる。
 彼が寂しげに私を遠く感じていることを聞いて、心の中で“にやり”と笑う私が居た。私ではない私を味わった彼が、いつもの私を強く欲している気がして。離れていくように見えた私を追いかけてくれる気がして。私は彼を追いかけているほうだと感じていたからだ。仕事でも圧倒的に彼のほうが忙しく、ほぼ彼の都合に合わせてしか会えず。それでも必ず会いにきてくれることへの感謝で、不満に変わりそうな気持ちを相殺してきた。
 そう。ラバースーツに完全に自分を閉じ込めることで、私は自分の気持ちを具現化出来たのかもしれない。本当は寂しくて会いたくて無理して強がる自分をさらに閉じ込め、完全にシャットアウトさせる。完全に私だけの世界。彼の手の届かない私になるために…。欲しくて欲しくてたまらない私を閉じ込めてやったのだ。なんと嫌な自分が居たものだ…。ラバーを着た私は私に酔い痴れる。コンプレックスも感じなくなる。彼が興奮してしまえばいい。彼が彼でなくてただの男になってしまえ、そうしてもう一度私を手に入れたくなればいい。そんなどす黒い感情が私の中にあり、「あたしを汚して」───彼の射精によってラバーの皮膚を汚されたことで、彼を大きく飲み込まんとする私の世界は完成した。
 完全に自分の世界。オナニーならいくらでもしたくなる。つながっても、彼は性器でしか私を感じられない。ラバースーツを装着しての結合は、セックスとは思えなかったのだが、不思議とすぐには寂しさがわいてこなかった。かといって、満たされた訳でもなく、それでも彼が本当の私にもう一度恋い焦がれてくれる気がしていた。もう一人の私はひどく彼に意地悪をしたいようだ。」
 ラバースーツという触媒を得て、なんこさんのしたたかな才覚が目覚めてしまった。基本的になんこさんは、ラバースーツを着た今回の交わりは「セックスではない」と言い切ってしまっている。当然恋愛感情がある関係があってこそのそれだったが、残念ながら恋愛感情を純粋に昇華できるものではない。「ラバーを着た私は私に酔い痴れる」「オナニーならいくらでもしたくなる」 それは、セックスではなく、ラバースーツが与えてくれた性感興奮作用による、単なるオナニーなのである。しかし、彼の前でラバーオナニーをすることに、なんこさんはある一つの効果を見つけた。それは、ラバースーツを脱いだなんこさんを、彼がより求めるようになる、ということである。彼は前述したとおり、確かにラバースーツを着たなんこさんとのセックスを、「もっとも満足度の低い」ものとしていた。ラバースーツを着たなんこさんと交わったあと、「彼は私を遠くに感じる」と言ったという。これらの発言はすべて、お互いに、セックスするという面においては、ラバースーツはないほうがよい、ということを意味する。そして、あくまで私の想像の域を出ないが、新しい発見として、スーツを着て、いったん虚しさを味わいつつ、あらためてスーツを脱いで交われば、最初からスーツを着ないでしたよりもむしろ強力なメークラブが実現しうる可能性が見えた。ラバースーツが恋愛関係にあるふたりにおいて、あたかもテコのような役割を果たすことをなんこさんは見つけた。まさに、人類における大きな前進ではなかろうか?
 さて次に、なんこさんがラバーを着て得た、もう一つの側面、「ラバーを着た私は私に酔い痴れる」「オナニーならいくらでもしたくなる」つまりオナニーの道具として有効だという部分に焦点を当ててみたい。なんこさんは、ラバーを着て交わった日の次の日、こう書いている。ラバーを着て交わった次の日、7月23日。「ラバースーツに身を包み、煙草を片手に、自信のない、コンプレックスがありありの身体もラバーで完全になれる。私は自分に欲情した」「指先まですべてラバーで包み込むグローブで、オナニーしました」 そして次の日。7月24日。「ファスナーをあげたら液体にまみれていました」
 ラバースーツで性的興奮を得るのは、どうしても男だけではないか、と私にはそういう思い込みがずっとある。しかしこれを読む限り、女の人も、単にスーツを着ただけで、興奮を来すことが分かる。もちろんその興奮の仕組みや動機は男女で違うのかもしれないけれども、ALT-FETISH.comに最近増えている女性の方からの注文などとあわせて鑑みるに、ラバースーツのせいで、女性の性になにか大きな変化が起こりつつあるんじゃないか、と勝手に想像している。それは、ラバーという武器を手にして、恋の主導権を女性たちが握るようになっているという点である。
 世の女性たちが、ラバースーツ姿の自分に興奮してどんどんどん欲に性を追求していったら多分たいへんな社会的変革につながるんじゃないかと思っている。おそらく、保守的政治家や国が躍起になってたたきつぶそうとしている「ジェンダーフリー」という現象が、加速するだろう。ジェンダーフリーとは、性役割からの自由という意味である。これが進めば、男が家事、男の専業主夫、女の社長、女の政治家、どんどん増える。サラリーマンの多くが女性になり、男が家で掃除、洗濯、育児をするようになる(かぼすさんがそうなる、とは一切言っていない)。私はM気質なので、そうやってラバー姿の女性たちに身も心も尽くしてみたい、そう思っているだけなのかもしれないが、何となく世の学者や、フェミニズム論者も、同じようなものをもっているのではなかろうか?
 ラバーキャットスーツは、男社会に立ち向かう女戦士の戦闘服だ。ALT-FETISH.comはこれからも、ラバーキャットスーツを武器にして、付き合っている男との関係はもとより、この男社会、男優先の古い伝統や陳腐化した秩序を破壊し自分たちが主導権を握るべく、男をコントロールしようと挑戦する新しい女性たちの戦いに、参画して行く所存である。
 お二人からは、ラバー体験についての取材の許諾を得ている。近く、取材し、結果をみなさまに報告したい。(C)ALT-FETISH.com
★1 http://blog.livedoor.jp/ishtar_hystera/
★2 http://blog.livedoor.jp/ishtar_hystera/archives/50597308.html
★3 http://blog.livedoor.jp/ishtar_hystera/archives/2006-07.html?p=3
★お知らせ
MARQUIS No.38発売中ですが誰も買ってくれません。どうして?通常と同様、超ハイクォリティな写真満載なんですが……。
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市川哲也
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オランダのラバーブランドDEMASK成功秘話

 経済学者の岩井克人氏が朝日新聞紙上で、これからの資本主義と会社の行方を論じていた。その中で、従来は機械や工場といった誰でも金で買えるものに投資さえすれば、一定の利益を上げることができたが、いまはそうではなくなっている。金は新しいものを生み出す優秀な人に投資しなければ、つねに利益を出し続けることはできないという。機械や工場は、一度投資して建設してしまえば、あとは同じものを陳腐化するまで作るだけ。新しいものを生み出すことはできない。それに対し、人なら、いつでも「頭」を使って新しいなにかを生み出すことができるからだ。そしてこの新しいなにかこそ、これからの資本主義のなかで会社が利益を出す源にほかならない。なにか新規のものを作ったとしても、すぐにマネをされてしまい、陳腐化していく。やはり新しいものを作り続けられるかどうか、つまりきっちりそういう人に投資しているのかどうかが、企業存続を左右する時代、というわけだ。
 もちろん、デマスクやALT-FETISH.comがいくらマニアックなラバーフェティシズム市場でビジネスをしているからといって、岩井氏が指摘するこうした新しい資本主義の会社の潮流と無縁でいることはできない。なにしろ企業であることに変わりはないから。ALT-FETISH.comはまあ別にしてもデマスクの成功は、デザインと優れた品質にあると思っている。あとは複雑なオプションを正確に受注して納品するまでのオペレーション。これらは、工場や機械の話ではなく、人の手によって成し遂げられる部分である。先の岩井氏の論考によれば、デマスクはまさにこれから生き残ることができる企業といってよいだろう。個人的にも、結局普段、このラバーフェティシストの市川がもっとも愛用しているのは、デマスクのマスクや、ネックコルセット、コルセット、レスピレーターだったりする。ナンバーワンラバーブランド、その地位をデマスクが占めていることに疑いの余地はない。
 MARQUIS最新号★1に掲載されている、デマスク創業者のスティーブ=イングリッシュ氏のインタビュー記事をみると、デマスクがオンリーワン&ナンバーワンになれた理由がいくつか、見えてくる。PR面での幸運、不動産投資への決断力、フランチャイズ方式による店舗展開などだ。これらのポイントは、なにもラバービジネスに限らず、ビジネスならばなんにでも応用が利く重要なノウハウである。
 そこで今回は、このMARQUIS38のスティーブのインタビュー記事を全訳して掲載することにする。ビジネスマンであれ、学生であれ、読者の得るものは大きいと確信している。
MARQUIS No.38 P36
A look back, a look ahead:DEMASK 全訳(一部適当にしてあります)
デマスクの歴史と展望───スティーブ・イングリッシュインタビュー
「デマスクの創設者スティーブ・イングリッシュは、1990年に私がオーガナイズしたフェティッシュパーティーにゲストとして参加していた。そのころすでに彼はデマスクをアムステルダムに起ちあげていた。彼は、それから数年のあいだ、お気に入りの赤いジャガーにラバーグッズを満載して、ほうぼうを売り歩いていたよ。イベントにしばしばやってきては、夜更けまでウィスキーを何本も飲んで熱く語っていたけど、僕のほうはとうてい朝まで持たなかったな。」(ピーター・ツェルニヒ)
それから、数年で、彼のブランドは劇的な成長を遂げた。いまでは、世界で最大のフェティッシュカンパニーになった。すべてのアイテムは採寸され、既製品としてデザインされている。古典的な方法で仕立てよく作られたフェティッシュファッション、完ぺきなバックルとフックのパネル、究極の色遣いである赤と黒。高品質なデマスクとして世界に知れ渡っている。デマスクの製品は、非常に高度な技術で作られている。それに、耐久性能も高い。コルセットは、縫い目が剥がれたりすることなく、タイトに締め上げることができる。インフラタブルボディ・バッグ、ジャケット、ビザール・マスクは妥協のない非常に複雑なデザインで仕上げられている。デマスクはそれ自体店舗を持たないが、その代わり、世界中にフランチャイズショップを展開している。製作部門はチェコにある。
編集部(サンドラ)は、エッセンで行われたフェティッシュ・エボリューション2006でスティーブ・イングリッシュのインタビュー取材に成功した。
MARQUIS(以下M):デマスクを起ちあげた理由は?
Steve(以下S):ずいぶん前のこと、そうだね、1984年かな。もう20年以上前だね。最初は個人的な興味関心だったんだ。それまで15年ばかり、土木技師として働いていたけど、その仕事には正直、うんざりしていた。いったいこれでなんになるんだって、ね。僕は小さい頃からラバーマニアだったから、よし、それだったらこれをビジネスにしてやろうって思いついた。当時はラバーを接着するという技術はまだ新しく、この方法を人に教えたりしていた。イーストミッドランドのダービーにあるうちのガレージで、仕事を持っていなかった友人たち数人に教えていた。そのころ、ちょうど私がメンターにしていたジョン・サトクリフという、そう、アトムエージの創始者が、亡くなって。彼の足跡を次世代に継承していくこと、それを自分のミッションに決めたんだ。
M:それでビジネスがどんどん大きくなっていきましたね。
S:そう。最初のステップは、1989年のアムステルダムへの移転だね。当初は、地下室を工房にしていたんだけれども、すぐに手狭になった。12人もの人たちがすし詰め状態だった。よくまあやってたと思うよ。
M:デマスクの社史における重要なハイライトを教えて欲しいんですが?
S:最初の頃のハイライトは、作業場を手に入れたことかな。ついに地下室を出ることができたということで、感慨深かった。それからもっと広い作業場を手にして、50人も人を雇うようになった。2000年になると、建物を建て替えないといけなくなっちゃったのをきっかけに、労働コストが安いチェコへ移転することにした。作業場の移転は、すべてのオペレーションを移さないといけないから、そりゃもうなかなかの苦労がある。いまはもうすっかり落ち着いて、以前よりもぜんぜんいい状態になったけれども、引っ越しのさなかはまるでジャグリングだったよ。
 外から見た部分では、ユーロパーブの成功は大きかった。Marina親王姫がパーティーにやってきて、世界中のメディアが「ロイヤルがラバーの狂宴に」って大騒ぎに。その後、スーパーボウルで、ジャネットジャクソンの衣装を担当したりもした。
M:すごいプロモーションですよね。
S:まさにそのとおり。翌朝ドアをノックするから開けると、「ニューヨークポスト」の記者が立ってたんだ。一言お願いしますって。その後ワシントンポストも取材に来た。まさに世界に名が知れたのはこの瞬間だった。大成功だ。
M:デマスクといえばクローズ(衣料品)のみならず、長年イベントで有名でしたよね。どうしてイベント事業を辞めてしまったんですか?
S:ユーロパーブ15でやめた。結構前だね。正直、労多くして益なしって感じで。服をメインにしていこうと決めたんだよ。それともう一つ、アムステルダムの市の規制が厳しくなって、この手のパーティー会場を探すのがすごく難しくなったこともある。パーティーが大衆化して、望まざる客とか来るようになったし、死亡事故とかも起こったし。僕はいまは他の人が主宰するパーティーに客として行ってるよ。もちろんオーガナイズしてた頃のストレスとは無縁だ。
M:近年のベストセラーアイテムを教えてください。
S:ベストっていわれても、すごいたくさんのアイテムが売れてるから、難しいな。初期の頃の古いデザインのものでも依然として売れているし。流行の循環で息を吹き返すものもあるから、パターンはみんな取っておいてあるんだ。ベストセラーは、なんといってもキャットスーツ、特に、巨乳タイプのもの(torped tit……魚雷のように巨大な乳房が胸につけられているタイプ、中に空気を入れて膨らませられるものもある)だね。それにコルセット、フード(マスク)、下着、あとはラバーで作ったボンデージ小物とか。
M:従業員は何人くらい?
S:全世界で80人。工場の現業の人も入れて。
M:どの年の店が会社の本拠なんですか?
S:今のところニューヨーク。ちょうど移転したばかりだけれど。いや移転はホントたいへんだった。1週間毎日12時間働いたよ。それから、もちろん、アムスはいうまでもないよね。あと、ミュンヘン、ニュルンベルグ、ドルトムント。数ヶ月前に、スペインの店は閉めた。スペイン人って、あまり変態はいないみたいだね。
M:次はどこに店を出しますか?たとえばパリとか?
S:そうだね。フランチャイズショップをやりたいというオファーはいつでも受け付けているよ。フランチャイズ方式がいちばんいいね。ついこの間もクロアチアのザグレブの店をフランチャイズ契約したよ。うまくいくかは、東ヨーロッパの人たちの懐具合だろうね。うちは価格を、地域によって変えたりしないから。世界中で同じにしないと。ネットでみんなくらべられちゃうからね。
M:デマスクは確かに最大のブランドですが、いまでは新しいブランドがラバーファッションの市場に相次いで参入してきています。競争相手を脅威と思っていますか?
S:うちらはずっとこの市場でビジネスをやってきている。新参者はこれまでもいて、やってきては、また出て行った。数年、やって、そしてまた消えてしまう。彼らの多くは、一人か、せいぜい二人の会社。売上規模が一定のレベルに達すると、よけいなコストがかかってくるでしょう? まず人を雇わないといけない。そうすると、必然的に税金、社会保障といった社会的コストがかかってくる。人を雇わないで、一人二人でやっていられるうちなら、寝室でもできるビジネスだけれど、人を雇うとなればそうはいかない。人を雇わないで済むうちは得られていた利益が吹き飛んでしまって、それで彼らはやめてしまうんだ。
M:そうすると、デマスクの未来は明るいですね?
S:そう、イエス! かつてなくいい感じだよ。特にインターネット★2の恩恵が素晴らしい。リアル店舗からの売り上げと同じくらいをネットで売り上げてるからね。ネットの売上は確かに増えているけど、リアル店舗を凌駕するほどにはなっていない。やっぱり、この手の服のお客は店に出かけて、実際に試着してみたいというのがあるようだ。
M:あなたの個人的なフェティシズムは?
S:ヘビーラバー。基本的には。美しく、薄い黒いラバーで何重にも身体を覆ってしまいたいんだ。マスク、ガスマスク、ピスバッグ、インフレタブル、みんな好きだよ。
M:今後の展望は?
S:フランスに古城を買おうかと思ってる。そこで、ダーティーラバーセックスをして盛り上がるんだよ。すでにフランスじゅうのラバーマニアたちから引き合いが殺到(笑)。
ビジネス面では、店を出したいな。アメリカだと、ロス、サンフランシスコ、ラスベガス、パリ、あと、ロンドンにもう一店舗欲しい。東京も。誰か(よいフランチャイズオーナー希望者を)知らない?
(C)MARQUIS/ALT-FETISH.com
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★2 http://www.demask.com/dynamic/sitemap.asp?Language=en
ALT-FETISH.comはデマスクのすべての商品を現地価格にわずかの手数料でお取り寄せいたします。ぜひ一度、お見積もりをご依頼ください(お見積もりは無料です)。
市川哲也
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ギタリストが命がけでみせたラバー魂

 ライブパフォーマンスにALT-FETISH.comのコスチュームを積極的に導入するバンドが見つかったので紹介したい。ラバーキャットスーツにガスマスク、ボディ・ハーネスをハードにキメたギタリストと、美しい女性ボーカル。Shingguapoura★1という。コンセプトを寄せていただいた。
「Shingguapoura(シンガプーラ。シンガポールの猫の種類の名前をゲマトリアという手法でスペリングを変えています)のコンセプトは神秘(隠されたモノ)の探求です。具体的には、潜在意識、潜在能力、内臓、等が「神秘」の対象になります。ヴォーカリストの熾壟(シヅカ)は人間の表面的な人格を、ギターの紫端(シヅマ)は影の人格を、それぞれ象徴的に演じています。影というモノは一見、人間の動きに対して従属する奴隷のように見えますが人格としての影は(黒幕のように)表面的な人格を見えないトコロから操っています。そして、この「影」という概念をファッションとして表現しようとした時、黒のラバースーツに考えが及んだワケです。私たち(ラバーに覆われた人間)は常に自由に行動できているように思いながらも、実は常に「影(ラバー)」による呪縛の影響下にあるというコトです。呪縛を解くには、まず影に目を向けて、そこに光を当てなければなりませんが、これを、影である紫端の混沌とした演奏を理解し、そこへ熾壟が光である美しい歌声をのせるコトで象徴的に表現しています……。」
 私はバンド活動をしたことがないので、シンガプーラがどういう感じの音楽のバンドなのか、残念ながらこれで理解できるとはいいがたいが、少なくともラバーを着てパフォーマンスすることがいかにたいへんか、くらいは容易に想像できる。ライブ会場はたいへんな熱気で暑いでしょ? ラバーを長時間着たまま演奏するのは、まさに命がけである。私は、演奏中の紫端氏の心拍数、血中酸素濃度が気になる。大丈夫なんだろうか……。ただ、紫端氏は痩せているため、ラバースーツと皮膚のあいだにすきまがあるところがある。身体にとって、それが逆に救いである。
 たいへんな苦労をして、ラバーという素材に、バンドコンセプトの重要なメッセージをこめている。彼の紡ぎ出す物語とラバーが相まって、他の追従を許さないえもいわれぬ説得力をShingguapouraは得ている。
 ちなみに、私はバイオリンを弾ける。ラバーを着てバイオリンでメヌエットでも弾いてみようか。この夏の炎天下の街頭で。いや、メヌエットではダメだ。何を弾けばかっこいいかな。(C)ALT-FETISH.com
※ 紫端氏のパフォーマンス中の写真は、ご本人の承諾を得て、ALT-FETISH.com「お客様の声」欄★2に掲載させていただきました。
★1 http://members.jcom.home.ne.jp/shingguapoura02/index.html
★2 http://www.alt-fetish.com/cnts/post/index.htm
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カナダのフェティッシュイベントポストカードプレゼント

 2006.9.1-3にカナダ・モントリオール市で開催されるイベント「FETISH WEEKEND」のポストカードを無料でプレゼントします★1。ALT-FETISH.comまたはSALOをご利用いただいたことのあるお客様限定。先着10名様。ご希望の方はメールで件名「ポストカード希望」、本文内に希望送り先とお名前を明記の上、お送りください。局留はできません。
 このイベントは国連の専門機関のひとつ、(フェチとは無関係ですが)国際民間航空機関(ICAO)の本部が置かれたモントリオール市で開催されるのがポイントです。なぜなら、カナダといえば、あのビアンカ・ビショップ(独立系ラバーフェティッシュ専業モデル)発祥の地です。そして、このイベントは、そうです、ビアンカがホスト役を務めるのです。協賛スポンサーには、MARQUIS、SKIN TWO、POLYMORPHE、FETISH FACTORYなどフェティッシュカテゴリーにおける世界的企業が名を連ねております。モントリオールへお出かけの方はぜひどうぞ。詳細はイベントウェブサイト★2でもご覧になれます。(C)ALT-FETISH.com
★1 http://www.alt-fetish.com/topimg/060726fw_l.jpg
表と裏を並べてスキャニングしています、実際は一枚です。
★2 http://www.fetishweekend.com/
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ラバーと健康

 とてつもない猛暑、そして驚くほどの雷雨。日本のジメっとした夏がやってきた。もはや大気に触れているだけでラバーをまとっているかのようなベトベト感である。そう、ラバーグッズに耐えうるには、相当な精神力が必要な時期の到来だ。
 にもかかわらず、ラバーを着て都心に出て来い、などと無茶を言うのがおなじみのイベント「Tokyo Perve 16」(★1) 。もちろん、ラバーに限らず、いろいろなビザールウェアや正装ならOKである。しかし、難易度の高い服を着れば着るほど、会場では優位に立てるだろう。ある意味、尊敬を集めることができる。そもそもこの夏にイベントに参加すること自体が、もはやボンデージ的なライフスタイルだ。さまざまな制約をみずからに課さなければイベント参加はおぼつかない。しかしその先にあるものは、ほかならぬ精神の解放感。ここでもまた肉体への負荷が心のを軽くする逆説を見ることができる。
 ラバーキャットスーツやラバーマスク、グローブなどで全身をまとえばたくさん汗をかく。このことが運動に似た効果を身体にもたらすのではないかという仮説を新コンテンツ(★2)で書いた。もちろん、そうした面はあるだろう。しかし、気をつけたい一面もある。
 身体がこれほどピッタリと物質で被われるという体験は、人類という生物が進化してきた歴史においては、まだまだ新しい。何が起こるのか、よく分からないのである。もちろん、ラバーを着たから健康になるなどと言うことが科学的に立証されたことはない。むしろ悪いリスクについてあらかじめ想像しておく態度が重要だ。
 たとえば、なにかで読んだのだが皮膚呼吸ができなくなると、皮膚表面近くの毛細血管が滞って静脈に多量の血液が環流、心臓に負荷を与えるという。もし心臓に病気をお持ちの方がいるのならば、ラバーキャットスーツはオススメできない。健常者であったとしても、長時間の着用はやめたほうがよいだろう。
 また、サイズが小さめのラバーグローブは指に輪ゴムを巻いたように強く締め付け、鬱血をきたす。汗などでふやけると、手がもうものすごい状態になったりしてビビることがある。もっともすぐに治るのだが、変なことにならないかちょっと怖くなる。
 夏は、ラバープレイにとってあまり相性がいい季節とはいえない。脱水にはもっとも注意しなければならないだろう。さいわい、この国には夏以外の3種類の季節がまためぐってくる。あわてることはないと思う。涼しくなってからでも。そう、街にブーツを履いた女性たちがあふれかえるようになってからでも、ラバープレイは遅くはない。
 ラバースーツから遠ざかり、最近はエアコンの効いた部屋でラバーサイト探訪が日課の筆者。RUBBER rub(★3)さんのウェブサイトでは、ラバリストに人気のサイトをランキングで見せてくれている(アンケートの結果)。なかに、R&Wというのがあり、ググってみたら、RUBBER DOLL(★4)というサイトへつながる。ここでは、日本人女性(サイト主宰者?)の方がラバープレイを収録した写真や動画のメディアを販売している。結構そそるものがあり、しみじみといいなあと思った。自分が女だったら、きっとこういうことをしていたに違いない。
★1 http://www.tokyoperve.or.tv/
★2 http://www.alt-fetish.com/cnts/exercise/index.htm
★3 http://www10.plala.or.jp/rub/
★4 http://www.ztv.ne.jp/icuicryz/
 
市川哲也
ALT-FETISH.com
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