リア充よりリアQ

 夏はサラリーマンの全員が、グレーまたは紺のパンツに白の半袖のボタンダウンシャツになり、気味の悪さが際だちます。新幹線に乗っていてふとまわりを見渡したら全員そういう格好だったのでギョッとしました。ちなみに私の格好といえば、新幹線の冷房と乾燥から身体を守るため、カーディガンを着ていました。もちろん私服なのでチノパンにスニーカーです。そんな夏も終わろうとしていますね。
 みなさんはもう、LGBTQという言葉は知っていますね。LGBTQとは、女性同性愛者(レズビアン、Lesbian)、男性同性愛者(ゲイ、Gay)、両性愛者(バイセクシュアル、Bisexuality)、そして性転換者(トランスジェンダー、Transgender)それに、最後のQはこれらのどれにも当てはまらないが、普通の性とは異なる変態性を有するクイアのことです。
 あなたが、これらのどれに当たるかも、当然知っていますよね。まず、私のことを話せば概ね同意してもらえるはず。私はQ、クイアです。ラバーの服を着たり、舐めたりするだけでもうとてつもなく興奮してしまう。その興奮が、ほかのあらゆる性的刺激を凌ぐ、そんな人生なわけです。これが変態でなくて、クィアでなくてなんですか。まさしくクイアです。変態を公言してかれこれウン十年。面白い奴と周辺の一般人に一蹴され続けてきたこの人生ですが、最近ますます孤立感を深めているところです。
 しかしながら、このいわゆる日本の失われた十年のあいだに、LGBTQ以外の一般普通正常人の人たちの社会で、いろいろなほころびが見えるようになって来ました。
 最大の原因は少子高齢化による人口ピラミッドの変形による経済成長の終焉です。その結果、人口が増えて元気だった途上国に経済が追い抜かれ、日本人の賃金は上がらなくなりました。一流大学を出ても仕事が無い、ワーキングプア的な就労しかない、そういうケースが増えてきているのです。
 そうした中で、既存の物語に飽きたらない知識人が、このLGBTQ領域にネタを仕入れにやってきては、それらしき言論をメディアでぶちまけ始めています。その最たるものが、2012年のいつだったかに放映されたNHKの東京カワイイTVのラバーファッション特集でしょう。いくらなんでも、ラバーファッションだけで、NHKの番組が成り立ってしまうなんてことは、十年前は想像だに出来ませんでした。私はかの放送を観ていて、自分の密やかなオナニー妄想が広く一般にさらされているみたいな、とてつもなく恥ずかしいような、妙な居心地の悪さを覚えたものです。番組は確かにファッションとして捉えてはいるものの、私にとってはそれは浅はかな言い訳にしかみえません。ラバーはあくまでも私のやや恥ずかしい性のの本質そのものであり、そんな表層のカテゴリーなどでごまかせるものではないのです。
 ALT-FETISH.comはショールームでちょっとした在庫を来店者に現金販売する活動を行って一年が経とうとしています。昨年の秋には、ダマコ嬢という若い、服飾を勉強する学生が常駐したり、某痴人から預かった膨大な量のめずらしいコスチュームの数々を陳列するなどしてそれなりに店は盛り上がりました。
 しかしダマコが退場し、展示コスチュームも返却して閑散となるにしたがい、店に来る人はほとんどいなくなりました。ただ、面白いことに、まったく来ないというわけではありません。ポツ、ポツと来るのです。そしてやってくる人のほとんどはリピーターか、ラバーの玄人(50代後半以降の経験豊富なお歴々)となりました。
 昨年来からのこのショップの最大の売りは、決まった曜日、時間に来れば、誰でも入れるということだったのですが、この8月から方針を改め、完全予約制としました。
 そして、店の中には、昨年秋のオープン時のように商品がバーッと陳列されているということはまったくなく、むしろ町の診療所のように殺風景です。ご来店いただいたら、お客さんと私が取り組むのは、もっぱら「作業」です。インターネット上であれこれほしいものを特定していく作業です。
 なぜこういうことをしないといけないのかというと、やっぱりお客さんとしてはきっと、ALT-FETISH.comの店に行けば何かあるだろうという期待があると思います。しかし、残念ながら、その「何か」を知っているのは、私ではなく、お客さんなんです。私が、これだろうと食通よろしくドヤ顔で申し上げたところで、いや違うんです、とスルーされた経験がどれほど、これまであったか。数え切れないほどです。というか、毎度です。
 ネットワークの例でいうと、店とお客の関係は1:nで、nは不特定多数で特定できません。お客さんの数だけ、求めるものが微妙に違います。
 強調したいのは、店側は1であるという点です。そしてその1はあくまでも黒いラバーをピッタリサイズで着て愉しむシンプルな、どちらかというとゲイテイストのラバーフェチのスタイルです。そしてトータルエンクロージャーといい、目以外のすべての部分を、ピッタリとラバーで覆い隠す妙を追求します。
 ということなので、結構多いなと感じたディマンド、たとえば女装系とか、ゆるゆる合羽系とか、ボンデージ系のアイテムについては私はあまり上手に対応出来ません。お客さんに教えてもらうことの方が多いです。「へえー、そうなんですか」しんみり。
 ラバーの店というとどうしても広くなってしまい、いろいろ、もうきりがないくらいなのですが、1:nの1側でいわせていただくとじつは必要なものってそんなに多くないのでは、って思っているんです。キャットスーツ、グローブ、マスク、ソックス、ブーツくらいなものです。あとは消耗品でしょうね。
 ただ、私としてはせっかくなので、ひとりでも多くのQを受け止めて、非力ながら役に立てる部分は役に立ちたいと思っています。ですからどうぞ、そういう程度でよろしければ店にまた来てください。
 私は「リア充」という言葉が気になります。若い人たちがネットで使い出した、自分はそうではないけれども的に対象をねたむルサンチマンたっぷりの言葉です。こんな言葉を口に出せば、私はオカルトや精神世界にはまったく無縁ですが、何となく自分の価値観をネガティブに拘束してしまいはしないか、心配になります。何をもってリアルが充実しているのかは、実際のところ、分かりません。そして場合によっては、リアルに充実しているようにみえる人でも、本人はまったくそうは思っていないことの方が多いんです。それはもう絶対にそうです。
 この議論はパスカルがパンセで書いていたことを思い出させます。つまり、人は幸せになれないというもの。なぜなら、もしある人が幸せを求めて、うまくそれを達成したとしても、またすぐに別のもっと上位の幸せを求めてしまうからだと。幸せだの、充実しているといったことどもは、いったいその線をどこに引けばいいのかがまったく分からないんです。
 テレビのバラエティーとかドラマの話を、やたら明るく会社でしゃべる独身の30代女はまあ、不幸としかいいようがないですね。その女が不幸だというのは明確に、いかにも線引きできる。しかし、幸福や充実しているというのがじゃあどんなことか、結婚していて、ドラマを見ない人が幸福なのかというとそうではないように、本当に難しい。
 フェティシストの接客業もまた、お客がどこで満足するのか、何を目指しているのかが分からない点で難しい。きっとこれは永久に分からないと思います。
 しかし、私は分からないだろうということが分かったということがたいへんな発見だったと思うようにしています。無知の知というやつです。
 で、リア充とか言ってると自分自身の本当のリアルな充実がなんなのかを追求する気概のようなものがなくなってしまい、最終的には不幸になると思います。なぜなら、あいつには彼女が居て、仕事もうまくいっているからリア充だといったときに、じつは、そう思った人が実際は、私みたいに、彼女なんかまったく不要な変態のクィアで、仕事なんかしないで家でキャットスーツだけ着てオナニーしているのが最高の充実であり至福なのに、そのことにまったく気がつかずやれ婚活だの就活に邁進してしまったとしたら。まさしくそれこそが不幸だと思います。少なくともその状態に不幸を見つけることはとてつもなく容易だということだけは、多くの同意を得られることでしょう。
 リア充ではなくリアQ(リアルなクィア)をめざしませんか?
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文・市川哲也
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 グーグルやヤフーで上位に出るからといって、そこの商品やサービスが優れている
とは限りません。そのことは皆さんなら当然ご承知と思います。
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