日常と非日常を行き来する旅のおとも

昨年末に閉鎖したリアル店舗ですが、最近片付けを終えてしみじみと振り返りました。

私は、おそらく日本で最もたくさんの男性愛好家の皆様と、この建物の中でお目にかかることができた、唯一の日本人だと思っています。

2010年代の前半の五年間に、おいでいただいたのはおよそ120余名。そのうち、女性はわずか3名程度です。ほとんどの方が男性でした。

全国から、ご旅行や出張のついでのおいでになりました。

皆様がおいでになるのは商品の正確な把握と確認という目的でしたが、皆同じような「寂しさ」を抱えていたはずです。もちろん、そのことを具体的に言及された方もいらっしゃいました。つまり、同好の士と出会うことはもとより、カミングアウトすらできないという問題です。

はばかりながら言う人もいらっしゃれば、あけすけに何とかならないのかと単刀直入に言ってくる人もお見えでした。残念ながらどうにもできませんでしたが。

近年では、諸々敷居が下がり、デパHゴム祭りやTGで「デビュー」ができる人も増えています。しかし、私たちのお客様の多くは、そうではありません。

私たちは繰り返される達成感の得にくい日常のタスクにすっかり疲弊し、倦んでいます。そうした中で、たまたますり込まれたこの愛すべき対象に時間と情熱を注ぎ込むことで、一時日常から自由になり、そしてまた日々の暮らしに戻る活力を得るのです。

そういう意味では、私といえば、日常と非日常をみなさまが往復される鉄道の車掌のような役回りだったといえるでしょう。

非常に重要な役割です。皆様の旅の続きを、また近いうちに再開し、お供させていただけるよう意努力していく所存です。