告白 キャットスーツ編

 前回登場した女性で真性フェティシストの晃子さん、今回は、お買いあげいただいたキャットスーツの感想を送ってきてくれた。
「私は今、送って頂いたキャットスーツに身を委ねています。私の心は混乱しています。不安と安らぎ、肉体的快楽と精神の安堵、かつて無い対極の感覚の中で喜悦し、戸惑っています。
 商品を手に取った瞬間、その妖美な光沢と生地のしなやかさに、否応無しに神経が高ぶるのを覚えました。しばしのあいだ、愛撫するように指先で、掌全体で魅入られたように感触を充分楽しみました。
 そして、逸る気持ちを抑えつつ、纏った衣類を滑り落とし全裸になりました。もう、胸の異様なまでの鼓動が、自分の耳にも外部の音として聞こえるようです。一瞬も早く袖を通したい気持ちを、必死でSaveしました。
 まだです。まだ駄目なのです。身体の処置をしないと、せっかくの私の新しい皮膚が分泌物等で汚れてしまいます。
 前以て入浴と剃毛処理、それに強制排泄は済ませてあります。後は性器に内装物をタンポンし、後庭にプラグを挿入。バストもトップが透けないように、テープで押さえ込みました。
 いよいよです。慎重に爪先からスーツの中に入りながら、その肌触りの心地良さと、意外な程の圧迫感・密着感に目眩すら覚えながら、私は別の生命体に変えられていくようです。
 足首、ふくらはぎ、膝、腿。順番に、慎重にゆっくりと、でも以外にスムーズに私の身体が納まっていきます。
 お尻と腰周りは特に注意深く、丁寧に身体に沿わせます。爪に気を付けて、新しい皮膚を移植するように……。
 ウエストから上部は、呆気ない程簡単に納まってしまいました。ファスナーをしっかりと閉じて、私は完全に新しい肌を手に入れました。
 恐る恐る鏡の前に立ってみました。そこには何とも形容しがたい、異形の美しさを放つ自分が存在しました。
『……これが私?!』
 ああ、もう抑えが効きません。
 持っているボンテージアイテムを取り出し、床に並べました。
 その前に、絨毯の上で芋虫のようにのたうち、うごめいてスーツの感触を思う存分味わいました。
 キツイ、でも温かい。果てし無い快感。寸分の隙間も無く密着し、吸い付き、身をよじる度に敏感な部分にも容赦無く喰い込み、張り付き……呆気ないほどたやすく果てました。
 でも、未だ終わらせたくない。合皮のとっておきの、黒いボディースーツを重ねて着ました。コルセット状の胴体部の紐を、思い切り締め上げました。
 膝上ブーツも履きました。グローブも嵌めて、耳栓をし、ボールギャグを口に詰め、アイマスクを付けました。
 もう、自分がどうなっているのかも解りません。時間の感覚も有りません。有るのは唯、果てし無い快楽と不思議な安堵感だけ……。後は顔面を完全に被えれば、私は本当に安らぎを手に入れる……。 何だろう?この感覚、性的なだけじゃ無い穏やかな、包み込まれる様な優し気な感覚は?
 私が最初に居た所、母の胎内。子宮の中、人が最も恋しくて、居心地の良い場所。なるほど、解った。全ての謎も不安も解消されます。それを上回る快楽と共に……」
 いかがなもんだろう。フェティシズムが男女の性別を超えた、そして、性的なものともまた違う、まさに第三の(オルタナティブな)快楽であることがよく分かる。