強まる景気ピーク感

 きょう内閣府からGDPが発表された。実質GDPは3パーセント台、一方物価の影響も含む名目GDPは0.5パーセントと実質と大きく開きがある。これは依然として国内物価がデフレ傾向にあることを物語っている。
 そんななかで筆者が注目したいのが経常収支である。経常収支は赤字か黒字かで語られる。赤字とは、日本が海外にモノを売るよりも、買う方が多い(現金の対外支払いが多い)ことを云い、黒字とは、海外にたくさんモノを販売できて、外からお金がいっぱいはいってきたことをいう。
 どうやら昨年度はおもにアジアや欧州方面向けにたくさんのモノが売れて大幅に黒字だった模様である。財務省は昨日、昨年度の経常収支は対前年度比29%増の17兆2600億円となったと発表した。
 経常収支が黒字というのは、海外で日本製のモノがうけている状態のことである。何とも素晴らしい話で、作ったモノが世界で売れる日本にいることにまずは安心したい。おかげで、景気もだいぶ回復した。
 しかしここ数日、日本経済が抱える負の面である不良債権問題や、年金問題に代表される少子高齢化からくる社会保障のほころびなどが相次いで露呈し、株価も円も大きく下げた。
 市場関係者のあいだでは、もっぱら株価の天井は遅くとも6月にはピークをつけ、再び循環的な不景気へ突入すると云われている。
 筆者などは、12000円の壁を二度ほどつつき、大きく下落している東証株価平均などを見るにつけ、もうそろそろお祭りは終わったかなというのが率直な印象だ。
 国・地方の借入金残高が数百兆円に上る日本の行く末はたいへんに厳しい。循環的な好景気が来ても、どうだろう、私たち庶民にはあまり実感も湧かないまま、いまこうして終わろうとしているではないか。
 目先の社会保障に汲々とするのもいいのだが、やはり国内需要を活性化する方向に国策の重点を移すべきだというのが私の主張だ。
 また国内株式や外貨で資産を増やしたいと思っている個人投資家は、今後の株安や円安には十分に注意しなければならない。また外貨預金はいまはすべきタイミングではない。
Text by Tetsuya Ichikawa
Alt-fetish.com