ビザールプレイ

 フェティシズムに求めるものは何か? ひとは、フェチで何を達成しようともくろんでいるのか? 今回はさまざまなアンケートの戻りや、読者からの告白、やりとりを参考に、ラバーフェティシストのプレイのひとつの「定式」を小説風に描写してみたいと思う。楽しい週末のために。なお、商品入荷情報があるのでAlt-fetish.comのトップページ左側の更新情報欄をみて欲しい。
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 甘美な装い、刺激的な拘束感によって、私たちは眠っている野生の本能を揺り醒ます。
 キャットスーツを着て、マスクをかぶり、グローブをはめる。 ブーツを履く。異形の自分を鏡の中に発見する。見下ろせば視野に入るのは、非日常的な「生き物」になってしまった自分。
 次第に興奮が高まる。
 ジッパーを開けて、身体内へアクセスできるアナの内側へラバーに包まれた黒光りする指先を入れる。もちろんローションをたっぷり塗って。
 そのアナは普段はおとなしく閉じている。思い出したくもない用途に、普段は使われるから、このプレイの前に徹底的に洗浄する。
 柔らかいシリコン性のバイブにはコンドームがかぶせてある。バイブに大量のローションを塗りたくる。黒いラバースーツに包まれた身体の表面に、冷たい軌跡を残しながらローションがしたたり落ちていく。
 手で、アナの周辺や内部にもローションを塗る。
 もう一度鏡を見て、自分が完全に隙のない姿になっていることを確認する。大丈夫だ。皮膚が見えるところは、ガスマスクのグラスからかすかに見える、ラバーマスクの穴から覗く瞳くらいか。
 両手でバイブを持って、アナに一気にバイブをはめ込んでいく。球状突起がいくつも付いたバイブは、ひとつの球をアナが飲み込むごとに弛緩と緊張を繰り返す。アナが球のいちばん径が大きい部分を飲み込むときには、激しい異物感に膝が震える。
 バイブは、その8割方、アナの中に飲み込まれた。それ以外の部分は、腿にはわせて、クロッチのジッパーを閉めてしまう。
 そうすると、キツいキャットスーツに押さえられて、バイブは抜け差すことが出来ずに固定される。期待感で、ペニスはラバーキャットスーツのなかではち切れんばかりとなっている。
 バイブの電動スイッチを入れる。電気ショックのように全身に振動が伝わる。細かい波の華がひとつひとつはじけるようだ。
 しばらく、歩きづらいハイヒールのブーツの踵を響かせながら、室内を歩いてみる。外から見ると、股から電気コードがぶら下がっている以外に、ケツにバイブを加えていることは分からない。外は雨が降っている。この姿のまま、近くの森のなかを駆けたい。ドロドロに汚れ、転んで身体じゅうを打ちながら、メチャメチャになってしまいたい。
 それを想像しただけでもものすごく感じてきた。
 股のジッパーを開けて、バイブの抜き差しをしてもいい頃だ。我慢が出来ない。
 震える手で苦労しながら股のジッパーをオープンにする。バイブをつかんで、アナから抜き出す。猛烈な絶頂感がおそう。何度かするうちに声にならないうめき声を上げて、射精もしないのに果てる。
 その長いオーガズムは女性のそれを思わせた。数分間、立ち上がることが出来ない。ペニスは不存在を主張するほどに萎縮していた。
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 ペニスが用だたないコトを勘案すれば分かるように、このようなプレイの醍醐味(よさ)はラバーの密着感や見た目などから、完全に非日常状態の外観を呈するに至った自分の身体が、予想を超えて性欲をたぎらせるそのエネルギーの強さにある。この性欲のエネルギー(ドグマ)は性別や国籍、そして年齢すらをも問わない、広く知的な人間に共通する普遍性を持っていると思う。
Text by Tetsuya Ichikawa
Alt-fetish.com