ヌメッとした感覚

 NHKスペシャルで、生命がいかに地球上で進化して今日の人類に至ったのかを、得意のCGで魅せる番組を連集でやっている。
 今日みていて、3億6千万年前に、手を生やしたは虫類状のわれわれの祖先が陸に上がったということを言っていた。
 まあそれじたいはふうんというまでの話なのだが、その先祖を再現したCG映像を見ていて、ハッと気がついたことがある。
 それは、われわれの祖先はは虫類だったということ。そして、は虫類といえば、ラバーだとかPVCだとか、われわれフェティシストが「ピンとくる」あのヌメッと濡れたようにテカテカ光る、あの独特の表皮だ。
 は虫類の表皮にくらべ、すっかり進化を遂げてしまったわれわれ人類の素肌の有り様のひどさたるや、呆れるほどだ。とくに黄色人種のわれわれの肌の色は、黒でも白でもない、黄土色だったり、クリーム色だったり。しかも、たいていかさかさに乾いている(濡れていたら逆に気持ち悪い)。
 そもそもこんな肌に、どんなエロティシズムがあるというのか。われわれフェティシストが素肌に興奮しないのも、こう考えると当たり前だ。
 そういう人類の、味も素っ気もない素っ裸の肌を、ラバーのキャットスーツ、あるいはもっと気軽なAlt-fetish.comのオリジナルキャットスーツをすっパリと着れば、あっという間にご先祖様とお揃いのエロティックなぬめり肌が手にはいる。しかも身体にピッタリ合っている様子がまさに「魚」とかは虫類みたいだ。
 われわれがフェティッシュコスチュームを着るときに感じる、性的な興奮とともにわき起こるあの甘く、安心できる懐かしいような感覚。ラバーの表面に愛おしく「スベリ王ラバピカ」を塗り終わったあと、満足げに光る表面を眺めやるときの、「自分は大丈夫だ」という感覚。それは数億年前の私たちの先祖へのはるかな郷愁、畏敬の念であり母なる大地への「赤ちゃん返り」という意義をおびているのかも知れない。
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Text by Tetsuya Ichikawa
Alt-fetish.com