J-WAVE研究

もともと頭痛持ちである。それは突然やってくる。最初はジワーッと。夜は目も開けられないほど。吐きそうになることもある。バファリンが欠かせない。
 なにかの病気かと疑ったこともあるが違うらしい。これもまた筆者固有の生き辛さを盛りたてる演出の一貫ということか。
 昨日(正確には一昨日の深夜)のJ-WAVEのTR2は死ぬほど笑わせてもらった。みうらじゅんと安西肇がチンコ、オナニーとかのエロ話。オッサン2人のトークがこれほど笑えるとは、自分もすっかりおじさんだ。でもリスナーには十代の若者もいるみたいだけど。
 J-WAVEではウィークデー毎日夜1時から2時まで、ソウル・トレインというのをやっている。ポイントは、リュウさんというナビゲーターである。
この人は年齢は30代半ば、妻子ありで職業はDJ。帰国子女で、上智大学経済学部を出て総合商社へ就職後、やめてこっちの道に。ヒップホップの人である(ってよくわからんが、ヒップホップのDJということ、あ、ラップかも知れないが区別は付かない、私には)。
 小学校の頃からフットボールをやってきて、今日も、「ずっと続けてきて本当によかった、俺の基礎になっている」と言っていた。スポーツを続けてきて、友達とかの付き合いはいまだにあるし、またものごと何についてもいえることだが、はじめたものは続けて、最後まで終わらせることが大事という。
 私はこの人はけっこうエリートだと思う。経歴がなかなかすごいから。でもいまは、ヒップホップのDJということで、付き合っているマーケットは非エリートである。ヒップホップDJなのにエリートというのがこの人のおもしろさだ。
 深夜のソウルトレインにはさまざまなメールが寄せられる。たとえばバツイチで子供がいるホステスとか。そういうのが突然、(元)エリートのリュウさんに、「仕事きついけど、子供がいるからがんばれる」みたいなことを言ってくる。リュウさんは、仕事しているあいだは子供はどうしているの?と訊くと、ホステスは、ずっと保育施設に預けっぱなしという。
 バツイチのホステスに、幼い子供が育てられている、それも施設で一日の大半を過ごしている。エリートのリュウさんとしてはこんな子供の育て方は納得いかないのである。しかし放送でそれは口にできない。
「子供って本当にいいよねー。最高だよ。子供をもっていると、何でもがんばろうって気になるよね」
 いつもの子供礼賛トークで何とかお茶を濁した。ソウルトレインの真の楽しみ方、それは、エリートと非エリートの、子供をめぐる倫理観の相剋にあるとみているのは筆者だけではなかろう。
 こんなケースも。未成年から電話がかかってくる。その未成年は、リュウさんにこういう。「彼氏がいるがコンドームを使ってくれない」訊けば、その彼氏が無職フリーターであることが判明。リュウさんのアドレナリン爆発の瞬間がやってくる。「子供を甘く見るな。絶対に真剣に考えろ。オトナだって子供できたらたいへんなんだ。それを、まだ仕事にも就いていない君たちが云々」シブーイ説教が登場。ヒップホップとは相容れないそのエリートの絶叫が味わい深い、深夜のソウルトレインである。
 ある時こんなことをリュウさんは言っていた。「世の中には子供ができなくて悩んでいる人、子供が欲しくても出来ない人がいる、っていことを僕は知っています。そういうことがあるということを承知しています」このことを言い出す前は、例によって子供は絶対に作ったほうがいい、人生が変わる、たいへんだけど得られることはあまりにも大きいみたいなことを言いまくっていた。きっとクレームが来たに違いない。
 それもこれも少子高齢化の問題ということになるんだろうが、これをみうらじゅんと安西肇が語るとこうなる。
みうら(ホームランは精液が受精するようなセックスのことを意味する)「昔はみんなホームランか三振だけだったのに、いまではみんなちょろちょろとつまらんヒットばかり打って」
安西「やめてくださいよイチロー批判は」
 偏頭痛から深夜のJ-WAVE評になってきたので最後に、筆者が一番気になるTR2のキャラ、それは、チューズデーのトールマン園田という、エロ本編集者である。東大卒なのにエロ本編集者、しかも妻帯者。メインのリリー・フランキーにいたぶられて喜んでいる。早漏で熟女好きらしいが、何より驚愕したのは、仕事で、女王様から小便を浴びたことだ。東大卒なのに編集者で妻帯、おまけに小便を浴びるとは……。学歴こそ遠く及ばないものの、編集者で妻帯、変態装をしているという点で限りない共感を覚える私であった。ところでトールマン園田氏、最近へんなラップを披露している。内容はヘルスに入ってみたら相手してくれたのが55歳のババアだったから1分でいってしまった早漏野郎とか、イチにっさーんですぐいくおれ、とか、臭い俺とか、最低の自虐ネタ。これを、あろうことが前の番組のリュウさんが園田さんはすごい、日本語のラップって本当にかっこいいと思うよとか言っているんだけど、それってどうなんだろう。
 J-WAVネタ、最後とか言ってまだ続けるが、平井堅という売れてる歌手がいる。しっとりときかせるボーカル。原始人のような、まあかっこいい風貌。平井堅のオーマイレディオという夜10時くらいの番組があるけど、この人は性格がせこくて、およそあの曲の雰囲気とかけ離れていて面白い。同番組で別の曜日のユキは前に酔っぱらってきてこれも非常に面白かった。
 J-WAVEは開局前の試験放送時代から聴き始めている筆者。これからも耳が離せない。
※台風で大変な目に逢われた方には心よりお見舞い申し上げます。
※台風の影響で、新聞やマスコミの報道において、さかんに「ゴム」という言葉が出てきていますが、Alt-fetish.comの販売するラバーのキャットスーツとは異なる商品です。ご注意下さい。
Text by Tetsuya Ichikawa
Alt-fetish.com