ラバーキャットスーツとグローバリゼーション

 ラバーキャットスーツのオルタフェティッシュの主筆、市川哲也です。ALT-FETISH.comのオリジナルキャットスーツがほとんど売れなくなってしまいましたが、この原因は、「キャットスーツ」でググれば分かります。いまや、キャットスーツは完全にコモディティ化しているようで、楽天とヤフーという二大オンライン統合ストアで取扱があります。価格も、ALT-FETISH.comは2万以上しますが、ほかは5千円とか、そんなものでしょう。
 くれぐれも申し上げますがALT-FETISH.comのキャットスーツの生地はタテ横2方向に伸びますし、日本人が作っているので品質も問題ないものです(とはいえ本稿ではそれがグローバリゼーションという変革の中で岐路に立たされていると主張するのですが)。
 キーワード「キャットスーツ」では負けていますが、「ラバーキャットスーツ」ではまだまだALT-FETISH.comの優位性はあるようです。私たちは、「ラバーキャットスーツの」ALT-FETISH.comとして、今後も世界からよりよい、そしてお求めやすい商品をお届けする確実なプランを有しています。ぜひご期待下さい。
 さて、グローバリゼーションという言葉があります。いま、ユーロ、ポンド、スイスフラン、カナダドル、豪ドルなどに対し、通貨日本円は過去最安値の水準を推移しています。たいへんな円安の時代です。そうした中で、ALT-FETISH.comはヨーロッパからモノを買っていますから、必然的に値上げしせざるを得ません。そうすれば売上は落ち、仕入の資金も少なくなり、品切れも多くなる、そうすればますます客が離れるという悪循環に陥っていました。しかし、夏を前に、ALT-FETISH.comは変わります。実際、いろいろがんばっています。たとえばヤフーオークションに出品して不良在庫を現金化することで資金を得、人気・定番品の品切れをしないようにするといったことです。
 そしてそれ以外にも、大ニュースがあります。それは、主力のキャットスーツに戦略的商品の投入です。ユーロ圏以外、そう中国からキャットスーツ、ラバーキャットスーツの輸入を計画しているのです。中国といえば、BRICsのCです! 当然のことながら、さすが、これが非常に安い。ありがたいです。もちろん、みなさまの懐にも優しいお値段になることでしょう。そして、気になる品質は、ALT-FETISH.comのモニター氏によれば「まさにイノベーション」と絶賛されているところです。私も着ましたが、生地がやや薄いものの、ひとつの市場を形成しうる力を持つ強力商品だと感じています。
 ただ、もちろんALT-FETISH.comは、SALOやBLACKSTYLE、そしてデマスクのキャットスーツも引き続き販売していきます。なぜなら、現在計画中の商品は安いだけに、生地の厚さが0.42ミリのものしかないからです。入門者のコモディティーとして、あるいはちょっとした撮影使用ならばいいでしょうが、厚い生地のものを好まれるのなら、SALOやヨーロッパ産に限ります。手軽に買えるコモディティーベースの中国産、玄人志向のヨーロッパ産、そして国内産もバリエーション豊かに品揃えすることで、ALT-FETISH.comは市場での存在感を高めていきたい、そう考えている次第です。
 さて、BRICsのCから届くキャットスーツの販売開始は夏前を予定していますので、どうぞお楽しみに。驚くべきことに、この商品はサイズオーダーにも対応する予定です。わずかな追加料金で、どんな体型の人でも着られるラバーキャットスーツが、これまであり得ないほどの低料金でいつも手にはいる。そういう世の中に出来たら、日本のラバーフェティシストとしてこんなにうれしいことはありません。
 最近読んだ『人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか』(水野和夫著)によると、「グローバリゼーション」とは、財やサービス、資本そして労働力までも含んだ市場統合のプロセスであると同時に、つねに巨大な多国籍企業によって先導されたり後押しされたりしているもので、富と権力を社会的上下関係の上の方に集中していくための機械、あらゆる領域において、いちばんおいしいところを取って、残りを捨て去るための機械」であるとしています。資本と労働力の統合は、たとえばインド人が最近、オンライン回線を使って、アメリカの企業の財務会計部門を受託したり、アメリカ人の子供にオンラインで家庭教師をしたりする例があります。もちろん、労働コストの高いところで作っている物が売れなくなり、それが安いところに工場が移る例もあるでしょう。ALT-FETISH.comのキャットスーツをめぐる状況もまさにそれです。情報が行き渡り、市場化が加速すれば、労働力の海外移転はブルーカラーだけでなく、ホワイトカラーの仕事もどんどん奪っていくのです。シティ・バンク、電話(オンライン取引)サービスも毎月の明細書も、全部インドから届くのです。その結果、先進国のホワイトカラーの仕事はなくなるか非常に安い賃金になります。グローバリゼーションつまり「残りを捨て去るための機械」によって格差社会化が進むメカニズムの一端が、ALT-FETISH.comのキャットスーツに、そしてシティバンクの明細書からも読み取ることが出来るはずです。 さていかがでしょうか。私たちALT-FETISH.comは確かに、日本のラバーフェティシストのための至高のオナニーのお手伝いを使命とする企業です。日本人のベッドの上、たったひとりの妄想世界を支援するこの、超マニアックなこの弱小変態企業も、グローバリゼーションの荒波を避けることはもはや出来ません。
 今日、ヤフーオークションでいろいろ出品していますが、ひとつひとつがやはり今申し上げたように、グローバリゼーションという変革の時代の中で、やむを得ずサイトでの常備販売からこぼれ落ちたものばかりです。これらのラバーアイテムを手にしていただいた読者諸兄なら、身をもって味わうラバーの悦びのなかに、これまでとはひと味違う世界の潮流についての深い賢察を得ていただけるもの確信します。
【お知らせ】MARQUIS No.40、41、ヘヴィーラバーマガジン No.21は2週間後にドイツを出港する予定です。MARQUISのほかの作品も入荷しますので、どうぞお待ち下さい。
市川哲也/ALT-FETISH.com
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