ALT-FETISH東京ショールームへ高3男子来る!!

 先般(http://alt-fetish.cocolog-nifty.com/fj/2009/08/3-e558.html)ご案内の通り、ALT-FETISHへアクセスしてくるボンデージファン、ラバーキャットスーツマニアは低年齢化しています。男女問わず低年齢化していますが、先日、予約のうえおいでいただいたお客様は、東京から遠路数百キロ離れた某地方の県からおいでになった高校三年生の男子(就職活動中)でした。
 市川が質問への了承を得て根掘り葉掘り訊いてみたところ、彼はエヴァンゲリオンのプラグスーツなどのビジュアルに影響を受け、ラバーキャットスーツに強いフェティシズムを抱くようになりました。帰りに、ガイナックスの本社を案内したのはいうまでもありません(ショールームから徒歩50秒のところで終夜営業w)。私が、女性ライダーの「革ツナギ」だとか、ウルトラマンとか、ガンダムとかに発情したのとは様変わりです。
 エヴァンゲリオンを見た人すべてがしかしラバーキャットスーツマニアになるわけではないので、さらにどうしてあなたはそこまでラバーに惹かれるようになったか訊いたのですが、確信となるような答えは得られませんでした。彼は普段から、PCでネットを見ますが、これは彼のクラス(というか世代)では少数派のようです(たいていネットは携帯で見られている)。ネットであれこれ検索しているうちに、さまざまな(ラバーキャットスーツを含む)フェティッシュな画像を見るに付け、次第に若い彼のうちにやみがたいフェティシズムが育ったのだと考えるのがまあ妥当な線でしょう。
 スリムで運動もしなかった彼は、ALT-FETISHオリジナルラバーキャットスーツのSサイズを少し伸ばし気味にきつめに着ることができ、大満足の様子でした(単に着ただけで、お買い求めにはなっておりませんがもちろんそれはかまいません)。
 そのあと、バキュームベッドを体験されました。入ってみて、しばらくしてもぞもぞ身体を上下左右に動かします。見ていて、その動く様子がかなりエロいなと感じました。彼はいま、目も見えないし、身体も自由に動かせない。魚みたいにもぞもぞ動いていて、まさに物のようになっています。しかし、なんでもぞもぞ動くんだろうと、不思議に思っていたら、「もう少しきつくならないですか。緩いです」と一言。出てきたあとも、「思ったよりもきつくならなくて、身体が動いてしまった」と残念そうです。
 なるほど、指とかもビチーッィと完全に動かなくなるのを想像していたようです。しかしながら、実際にはラバーは伸びますし、フレームもない簡易なバキュームベッドなのでこればかりは仕方ありません。高校生のせっかくの理想を打ち砕いてしまったようで、私は大いに落胆しました。バキュームベッドを一緒に買ったALT-FETISHの別のディレクター氏が言っていた言葉を思い出しました。それは、逆止弁もなければ、気密ファスナーでもフレームもないこんなバキュームベッドは論外だということです。
 ショールームに来た感想としては、「東小金井駅」を初めて降りたが、地元の地方の駅よりも寂れていて驚いた。また、駅からショールームへの道は真っ暗で人通りもなく、とても怖かった(事件に巻き込まれるんじゃないかと思った)そうです。彼と一緒に帰り道歩いてみたのですが、おっしゃるとおり、意外に閑散としていてしかも街灯もなく、怖かったのにあらためて驚きました(生まれ育った町だし、小さい頃から幾度となく、昼夜問わず通った道だから私は慣れてしまっていた)。えーと、いうまでもないですが、安全です。ひったくりはもちろ、拉致のような事件もまったく起こりません。治安はいいと思います(そういった防犯情報は、地元行政から情報が入ってきます)。
 皆さん、そういうわけで、東小金井という駅は安全ですから大丈夫ですよ! ただ、心理的にはかなり下がります。ひどく寂れていて、テンションも下がるので十分気をつけてくださいね。ただ、ガイナックスとか、スタジオジブリとか、世界的な企業が軒を連ねるすごいエリアだということは間違いないので、一見の価値ありです。ネット時代だから、リアルな場所よりもネット上でのロケーションのほうが重要という信念があるからこういうところでやっているわけです。その辺の理念をご理解賜りますよう。
 他に、今日おいでの男子高校生君の発言としては、ラバーフェチの知り合いはまったくいないので寂しいとか、ALT-FETISHの問題点は認知されていないこと、だとか貴重なご意見をいただきまして感謝申し上げました。認知の問題については、イベントや、池袋のクラゲさんにショップ名刺をおいていただくなど、地道にお金をかけない方法で取り組んでまいる所存です。
 冒頭も書きましたが、このきわめてマニアックな、一見するとマチュアな(成熟した)趣味性癖であるラバーフェチのカテゴリーに、非常に若い人が入ってきています。これは私にとってかなり驚きですが、最近読んでいるメディアリテラシー関連書籍の影響からか、やはりメディアの力が相当大きいなと思っているこの頃です。とりわけインターネットメディアの、思春期の児童に与える性的刷り込みのパワーはすごいです。昔(私が十代だった1980年代)なら、エロ本が「原っぱ」にガビガビの状態で落ちていたり、ドキドキして町の本屋で買ったりしてちょっと違うなーと思いながらも見ていました。それがいまでは見たい画像のキーワードをググるだけで、ストライクゾーンあるいはそれ以上の想像もしていなかったような自分的にエロい画像がいくらで見られます。そうしたなかで、キャットスーツを着ないと興奮しないような妙な性癖が身につくのだと思います。
 最後に、地方から出てきた高校生からみて、ALT-FETISHの市川という人物ですが、実物をこうして目にしてみてどうかと(いささか自意識過剰気味な質問ですが)訊いたところ、(私のような普通のオッサンがよれよれのカジュアルウェアで出てきたのが)「むしろよかった」とのことでした(何だったらよくなかったのかは不明)。
 そういえば私が彼の立場、つまり、ラバーフェチの素人として、この世界で長く活動している人と会うという立場だったことがありました。1996年に、アズロの山崎慎二氏に、編集者として初めて面会したときのことです。フェチの領域では重鎮だった山崎氏はどんな人なんだろうと思って、それはそれは緊張して拝謁したわけです。それで拍子抜けしたのは、彼が、現れたときに、体調が悪かったのでしょうか?マスク(普通のガーゼマスク)をしていたことです。しかも私と話すのに、マスクが邪魔だったのか、マスクを少し下にずらしてあごに引っかけ、口を出して話していました。場所は高級ホテルでしたし、彼は外車に乗って現れたのですが、一番印象に残ったのはあごに引っかけた彼の白いマスクでした。
 それで、偶然でしょうか? 今日、私はすこし風邪をひいていたので、マスクをしていました。男子高校生君としゃべるときに邪魔なので、マスクをあごに引っかけて。なんと、山崎氏と同じじゃないですか。はたして彼にも私のマスクが印象に残ったのでしょうか? ただ私が、山崎氏と違うのは、乗って現れたのが外車じゃなくてママチャリ(子乗せシート付き)、都心の高級ホテルではなく郊外の廃墟のようなアパートだという点です。なんだか、「失われた10年」を象徴していますよね……。
 では最後に、高校生くんから後日届いたお礼のメールを紹介して終わりたいと思います。
「ラバーを着るという普通ではできない体験をさせていただきました。
ピッチリと体を包む感覚は、なんとも言いがたい気持ち良さでした。
次回訪れるときは、バキュームベッドで指一本動かせないようにギチギチに拘束してください^^
ありがとうございました」
 ──それは無理です。お力になれず申し訳ない。