NUDE N’ RUDEにラバーコスチュームの衣装協力

 2009年12月5日21時45分。JR東日本中央線東小金井駅北口に立つ駅員と私のやりとりです。
私「すいません、高尾から東京へ直通の最終上り電車はもう行っちゃいましたか」
駅員「はい、もう出ました」
 1889年4月11日の甲武鉄道新宿立川間開業以来、120年間、「地べた」を走ってきた中央線上り電車。最後の東京行きが走り去った(ことを私が知った)瞬間です。中央線沿線で生まれ育ち、高校、大学、そして会社と中央線を使って生活してきました。私にとって、中央線はまさに、日常そのものでした。今日は、その中央線上り電車が高架に切り替わる工事のハイライトのひとつ、上り地上走行の最後の日だったのです。
 今日、駅や、(「開かずの踏切」として全国的に有名となった武蔵小金井の)踏切には、中央線ラストランを撮影しようと待ち構えるカメラマンたちであふれていました。彼らも私も、何を求めているかといえば、それは「非日常」ということ、「最後の」、つまり日常が歴史に変わるその瞬間に感じるカタルシス体験に他なりません。
 私はマイケル・ジャクソンや、ウォルト・ディズニーといった、エンタテインメント界の超大御所が必ずいう言葉を胸に刻んでいます。それは、「観客は、非日常を求めてやってくる」ALT-FETISH.comのショールームも、まさに建物からして非日常そのものです。そして、今日たまたま中央線のラストランという非日常体験をしたわけですが、その中央線に東小金井で乗車し、上ること二十数分、高円寺駅があります。高円寺駅から徒歩数分のところに、私たちと同じように、日常に、クソみたいなこの日常に退屈しきったある若い美女が開いた店「NUDE N’ RUDE」があります。今日はその美女の話です。
 中央線ユーザー以外はまったく面白くない前置き終わり。
 さて、ALT-FETISH.comの市場ではラバーの生地の輸入代行、ラバー専用接着剤やクリーナー、ラバーの品質保持剤の需要は根強くあります。ファッション関係者やファッション業界をめざす学生さんとのお付き合いの歴史もあります。たとえば2005年には、志願してきた文化服装学園卒業の服飾デザイナー渋谷氏と共同でオリジナルラバーキャットスーツの開発を行い、製品化。渋谷氏はその後独立してSALO(http://www.salo.jp/)という日本でも有数のオリジナルラバー服飾ブランドに育っています。
 ALT-FETISHほど、ラバーを研究し尽くし、ラバーにとってもっともよい製品を、日本で最も安く奉仕する「持続可能性の高い」業者はまれでしょう。ALT-FETISH.comにとり、ユニークでオリジナリティあふれるファッションのテキスタイルとしてラバーを選んだ服飾デザイン系学生が、生地を求めに問い合わせてくることは日常、ありふれたことです。
 そうしたなかで、先日、文化服装学院のOG、ririaさんが宣材撮影のためにキャットスーツを貸してほしいとオファーしてきました。ririaさんはなんと20歳で高円寺に、友人とふたりの共同出資で、セレクトショップNUDE N’ RUDE(http://ameblo.jp/nude-n-rude)をオープンさせた行動する才女です。
 NUDE N’ RUDEというショップ自体は一見すればALT-FETISHとはまったく無関係です。一見どころか何度みても関係は薄そうです。しかし、私がririaさんに協力しようと決意したのは、ririaさんの次の一言が決め手となりました。「高校時代、市川さんのブログ「フェティッシュジャーナル」を熟読していました」 ここにもひとり、私の戯言を読んでいてくれる若い女子がいたんだと、これはもううれしい限りです。ブログもメルマガも書いても書いても暖簾に腕押しでモティベーションの維持がむずかしいものですが、こうして「読んでます」と言ってくれる人がいれば、続けられます。継続は力になりますが、その継続のための力をくれたririaさんに協力しないわけにはいきません。
 すでに、ショップのイメージ撮影のためにラバーコスチュームを貸し出しいたしました。撮影の模様はririaさんのブログのこの投稿に詳しいので読んでみてください(http://ameblo.jp/nude-n-rude/entry-10394255793.html)。ちょっと最初だけ引用しますね。
「私ririaは、17歳辺りの頃からフェティッシュという観念にあらゆる個人的な葛藤や想いを託してきました。特にラバー素材にはとても強い観念を抱いておりまして、全ての美をそこに見出してきました。(ラバーに対する個人的な観念は書くと長くなってしまうので、今回の記事では短縮しまた機会があれば書こうと思います。)その様な理由から、NUDE N’ RUDEを通して新しいフェティッシュシーンを開拓したいという想いを日々募らせていました。そこで同じくラバーというものに強い観念を抱きラバー製品等を販売しておられるALT-FETISH(http://www.alt-fetish.com/ )の市川さんとお話させて頂きましたところ、ラバーの魅力にもっとたくさんの方に気づいてもらう為にまずはシンプルなキャットスーツを様々な方に着用してもらいたいという考えで、今回キャットスーツを着用して私自らモデルとして独自のイメージ撮影に昨日挑みました」 できあがってくる作品はもちろん皆様にもご覧いただけますので、楽しみに。今後は、女性向けのラバーコスチュームを彼女が作ってNUDE N’ RUDEで売り出せるよう、バックアップしていきたいと思っています。現在、弊社ALT-FETISH.comのオリジナルラバーキャットスーツをはじめとし、池袋のクラゲさん、渋谷氏のSALOなど、ラバーの服を商業ベースで作っている「センスのある」(←ここ、強調)ブランド・ショップは日本では数が限られますが、ririaさんのNUDE N’ RUDEが真にユニークでオリジナリティのある「かわいさ」を求めるたくさんの女性たちに支持される店になるよう願っています。
 末筆ではございますがこのririaさんはちょっとブログ(http://ameblo.jp/nude-n-rude)など書いていることを読んだり、実際会って話したりするにつけ、かなり太宰治っぽいです(文体も妙に硬い、意図的なもの?!)。いやーホント、ririaさんが2009.11.26のブログでこう書いているのを読んでどうですかみなさん。
(毎日超忙しく過労死寸前のところでやってる言及のあと)「しかし、私は商売で稼ぎたい訳でもなく、趣味で店をやっている訳でもない(好きな事ではあるが)。ただ面白い事がやりたいだけ。新しい事がやりたい。つまらないから。何もかもが。本当に。口が悪いですが、全て退屈すぎてクソだから、生きる気力もなくなる毎日。だから変えたい。それだけなんです」──お願いだから変えてください。中央線も変わりました。ちなみにこの投稿の前日、彼女は借りたキャットスーツやらグローブやらを洗って発送するという、期日までに返却しろとうるさい私こと市川のせい的なクソ面倒くさい仕事があり、それでこの心境になったのだとしたら合掌。
 さて、最後まで読んでくれた皆さんに朗報。この彼女の撮影で撮れた取れたて新鮮の画像が早速送られてきました。ギャラリーページへアップしましたから、どうぞお楽しみ下さい。
http://www.alt-fetish.com/cnts/gallery/nude-n-rude/index.htm
【フェティッシュジャーナル ラバーフェティシストのためのメルマガ・ブログ】
文・市川哲也