ラバーキャットスーツでグランプリ

 YKKファスニングアワードで優秀賞を受賞した宮本麻希さん。Alt-fetish.comは、昨年来から彼女に協力。宮本さんにとって非常に重要な、卒業制作のショーに光栄にも、衣装協力させていただいた。ラバーキャットスーツを原価で提供したのであるが、その彼女、なんと、ショーでグランプリをとってしまった。
 彼女とは数十におよぶメールのやりとりで、衣装協力の事務的な打ち合わせからフェティシズムに関する互いの考え方の交歓に至るまで多岐にわたって親交を深める機会を得られたのが私にはうれしい。なんだかジジ臭いが、私は宮本さんという、若いクリエーターが、フェティシズム、とりわけラバーキャットスーツのフェティシズムに強い関心を抱き、取り入れ、社会に発信し、しかも評価されたという一連の出来事が、非常によろこばしく励まされるのである。
 きのうの個性の話に戻るけれども、ラバーキャットスーツというのはたしかに、それ自体けっこう個性的な、異質なアイテムで、使えば目立ち、一定の優位性は得られる。しかしそのアイテム自体が持つ個性に甘えることなく、宮本さんらしい表現の仕方すなわち個性でアレンジすることによってはじめて、こうした受賞は成し遂げられたはずだ。ラバーさえ使えば目立って誰でも賞を取れる、という話ではないのである。私の写真のように、ラバーを使って陳腐な作品を作ることさえ可能なのだ。しかし宮本さんがそうはならなかったのは、やはりそこに彼女の才能があったからにほかならない。
 その、宮本さんの卒業制作の作品写真などが近日私たちのところへ送ってもらえる運びとなった。読者のみなさんには期待して待っていて欲しいが、誰よりも興奮して待っているのはほかならぬこの私だ。
Text by Tetsuya Ichikawa
Alt-fetish.com
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