久米宏のニュースステーション終わる

この番組は朝日系で左派だから筆者とは馬が合う。しかし残念ながらあらゆる意味で軽かった。
きょう最後に、久米はまずなによりスポンサーに謝辞を述べていた。スポンサーが莫大な金を出してくれたから民放は成り立っている、その民放を愛している、なぜなら民放はこれまでに、一度も国民を戦争へとミスリードしたことはなかったから。まあそれはそれで一理ある。民放は民間企業すなわち競争にさらされた営利企業のことであり、その利潤の一部を宣伝費として番組制作に拠出している。そうしたかたちで民意を反映したメディアが、戦争へ導くようなバカなまねをしなかったことをまずはおおいに祝福したい。今後もそうであって欲しい。
彼は一貫して戦争は嫌いだったようだ。イラク戦争にも反対ですと言っていた。筆者も戦争は大っ嫌いだ。戦争なんて本当に、最悪だ。ひどい。やめてもらいたい。
戦争がどれほどひどいかは、有楽町のビッグカメラへ行けば簡単に分かる。いまブレイク中の大画面薄型テレビが何台も展示してあり、ホームシアターシステムのリアルな重低音で、戦争映画を放映している。巨大画面とリアルな音響で戦争シーンを10分も見ていれば、ウワー戦争だけはやっちゃダメだと思うはずだ。
いま戦争がイラクとかで起こっているけれども、きれい事じゃなくて、話し合いで何とか解決してもらいたい。職人肌の頑固親父とロック好きなドラ息子のあいだには間違いなくコミュニケーション障害があるだろうが、アルカイダとか、イラクの一部のテロリストの方たちと、ブッシュや国連に、コミュニケーション障害があってはまずいだろう。
人類はもう5000年くらいの歴史があるんであって、言葉だってだいぶ洗練してきたはず。筆者ですら英会話学校に行って遠い国から来た外人講師と週2回も話をしている。もちろん通信テクノロジーだってすごいところに来ている。火星にいるロボットを通信で遠隔制御できるんだから、アルカイダと話くらいできないのかと言いたい。
話を戻すが、ニュースステーションは昨今、所得格差や二世議員の増加によってますます進む為政者と官僚とその他大勢の国民の距離を埋めるのにはまるで役に立たなかった。むしろ広げたんじゃないか?
まあそういうだめな、つまり政治を変えるほどの力を国民のあいだに醸成できないのが、この番組の軽さの原因だ。
ヤツ、最後にビールを震えながら飲んでいたのがなんだか妙に寂しく映った。それもこれも、彼は国民が軽薄になり、落ち着きのない飽きっぽい性格を加速させていくうちに、気がつけばすごい思いこみの深い権力者によってさっさと戦争へと放り込まれてしまう事態を危惧していたからか?
戦争反対の久米宏はニュースショーという枠組みのなかで信義を貫いていて偉い。本当に偉い人だ。立派だ。ニュースショーは残念ながら国を変えるのにはなんの役にも立たなかった。久米は身をもってそれを暴露した。
それにくらべ、あの小泉総理と来たら……。官と来たら……。いっそ久米が国政にいって首相になってみるのがいいんじゃないの? 筆者は久米が嫌うフジ産経グループや、創価学会、戦争、自民党を、もうペラペラと皮肉に満ちた早口で攻撃する人がいなくなってしまったことに、深い悲しみと寂しさをおぼえた。久米さん、帰ってきて欲しい。