人間には物語が必要

 今日はふたつのイベントを見てきた。東京ビックサイトでやっていた、オートギャラリーとドルパである。前者は自動車の見本市で、後者はボークスという京都にある人形メーカー主催の人形展示会だ。
 オートギャラリーは各自動車メーカーの新車が一同に会し、コンパニオンが大勢いて非常に派手で、来場者も自動車に関心の厚い人たちである。
 一方ボークスのドルパは、30~60センチくらいの身長の人形を大切に抱きかかえる来場者が目立つ。人形に関心の厚い人たちである。こちらにはコンパニオンや、オートギャラリーでは当たり前の大音響の音楽イベントなどは一切ない。その代わりに、人形を買った人がボークス社長の「呪文」のもとでお迎えの儀式に臨む様子を、来場者が体育座りでステージ前に蝟集(いしゅう)するさまが印象的だった。
 ふたつのイベントに共通しているのは、来場者が自動車なり人形なり、物と自分の関係において、来場者同士が幸福な物語を共有している点である。
 物語が生まれるためには、コミットメントする対象が日常生活において不必要なものでなければならない。歯ブラシとか、鍋などの金物、洗濯ばさみといったものでは、とてもじゃないが物語など生まれようもないし、そういう物語を共有しようというグループもまあ、なさそうだ。
 自動車と人形ではどちらがより激しく人を引きつけるのだろう。答えは来場者の入場待ちの列の長さで容易に判明した。圧倒的に、人形であった。一体数万円する人形が、今日一日で数百体売れたようだ。
 帰り道、東京駅ではディズニーランド帰りと思われる家族連れを多く見かけた。子供たちは物語が大好きだ。
 ところできょうのドルパではオルタフェティッシュも出展していてSD、SD13、DDそれぞれにピッタリフィットする、Alt-fetish.comオリジナルキャットスーツと同素材で作られたキャットスーツを12000円で販売した。どれくらい売れたかは私は聞いていないけれどもキャットスーツを着せた独自の世界観を、お持ちのドルフィーでお楽しみいただければ本望である。本日限り、注文していただければ12000円で受け付ける(自動返信メールでは通常価格が表示されます)。
Text by Tetsuya Ichikawa
Alt-fetish.com