投資、その甘美なる地獄

 みずほ証券の誤発注で、ジェイコム株で20億円儲けた「無職」の27歳のことを取材したアエラ。彼が取材者に語った言葉の中でとりわけ印象的だったのが、「儲けても損しても精神的にきつい」という言葉。市場が閉じているあいだも株のことで頭がいっぱい。つねに値動きしていて儲けるチャンスがあるから、株をやめることもできないという。99年に160万円の元手ではじめて、いま資産は50億円以上。なんでも代償をともなうものだなとかんじた。
 メディアはさも簡単に、値動きする相場で莫大な富を生み出せるように喧伝しているが、実際やってみると分かる。前にも書いたけれども私は外国為替証拠金取引で、短期チャートを見る誘惑に勝てず、訳の分からない情緒的取引を繰り返し、損を重ねた。もちろんそれを克服するノウハウを書くことは簡単だ。しかし何をしたところで、心のつらさは消えない。
 値動き商品から利益を得るという暮らしはひたすら「精神的にきつい」のだ。ポジションを持つと決めたときからその精神的なプレッシャーははじまる。ポジションを持ったらずーっとつらい。そして損しても得してもつらさは消えない。そのつらさに追い立てられるように、また市場に向かう。他のことに関心が持てなくなる。
 投資は甘美なる地獄、精神の消耗戦。積み上げられた富を楽しむ余裕を生み出す心の健康がはたして残るのかどうか。
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市川哲也
Alt-fetish.com
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