金持ち対貧乏人

金持ち対貧乏人の対決がアメリカで鮮明になっている。一言でいうとそれは共和党対民主党である。保守層から支持を集める共和党、ヒスパニックなどリベラル層や貧困層から支持を集める民主党。
 ほとんどの人が、ある映画鑑賞をきっかけにケリー候補への投票を決定的にするという。マイケル・ムーアの華氏911だ。
 私は見ていないけれども、アメリカの共和党が、先日のNHKスペシャルによるとキリスト教右派、ユダヤ層、農民など、日本でいうところの経団連や創価学会とくっついている自民党みたいなことになっているらしく、そういう点からは共和党への支持は首肯しかねる。また、あのブッシュ、アホのブッシュをよくもマアあと4年も大統領をやらせられるものだと、共和党支持者にはあきれている。世界最大の軍事力をあのアホにゆだねるのは恐ろしい話である。その恐ろしさは北朝鮮に対する恐怖と近いものがある。
 筆者の価値観に強く影響を及ぼしている社会的事象が二つある。
 ひとつは、少子高齢化。日本のみならず世界の先進各国で加速している。日本や中国などは高齢化社会への突入が欧米諸国に比べて遅い一方、高齢化進展のスピードが異様に早い点も看過できない。そしてもうひとつの注目点は、結構大きな戦争がここ数十年と起こっておらず、平和が続いている中での各種制度疲労である。
 年金破綻や地方財政の破綻、行政国家現象(三権分立のはずが行政ばかりが国家形成・運営で重い役割を占めるようになる現象)、所得格差の広がりなどがその症状である。
 華氏911を見た人の多くは、悲しくて悔しくて、泣くという。大統領のひどさに対する、自分らの無力さも泣ける要因ではないか。給料を貰ってどこかに雇われていたり、あるいは非正社員として働いている限り、御かみがどんなひどいことをしてもどうしようもない。
 その場合はでもじつは手段がある。たとえば最近、財政難から合併を余儀なくされた町長が、任期が80日しかないのに、数十万円の公金を支出して、欧米へ「視察旅行」へ行った。国と地方の借金が700兆円で、しかも地方税収が景気回復状況下でも回復しないにもかかわらず、町長が公金で奥さんと海外旅行(奥さんは自腹)。それって絶対に許せない。住民監査請求をすべきである。それがとりうる手段だ。そうすればマスコミは取り上げ、すっかり町長らをへこませることが出来るだろう。孫などが「おじいちゃんの事新聞に書かれているよ」などとなれば、否が応でも効果は出てこよう。
 さて話題を米国ドキュメンタリー映画に戻そうと思う。華氏911に並んでヒットしているユニークなのが「スーパーサイズ・ミー」だ。監督のモーガン・スパーロック氏は、自ら30日間、朝昼晩とマクドナルドだけを食べ続けてどうなるかを記録した。結果、マックなくしてはイライラしたり落ち着かなくなる、マックなしではやっていけないマック依存症となり、体重はひと月で14キロ、体脂肪は11%増えた。マックの広報部は毎日食べればなんだって偏食になると反論するが、問題は、マック依存症は低所得者層に多いという点だ。低所得者は忙しくて金が無いから、マックに頼らざるを得ない。結果、肥満になってますます社会的に落ち込んでいく。
 日本のマックに勤めた経験のある友達が言う。社員はマックを食べるには、普通に金を払わなければならないという。彼女はマックの昼休みに、マックを食べた事は一度もないと言った。「きもい」というのがその理由である。ちなみに彼女はさっさと「マックジョブ」から足を洗って今は専業主婦をしている。子供を連れてマックへ彼女が行くことは、もちろんない。
 最近、マクドナルドは再び多額の経常利益を上げはじめた。アップルの日本法人の社長を迎え、今の日本の景気の波にうまく乗ったのだろう。
 マックにしても共和党にしても(さらにいえば、社会保険庁やら、日本の官僚組織、大企業、政治家ら)、貧乏人からどんどん金を吸い上げて、彼らを問題の本質から目をそらし続ける戦略にかけて右に出るものはいないだろう。一見、堅牢に見えるこの構造だが、最近のいろんな現象を見るにつけ、次第に壊れ始めているのではないかと、内心ホクホクとして見ている。最も心躍るのは、巨人戦視聴率の低迷振りだろう。あんなくだらない野球の試合に国民の大半が熱中する国など、正直ずっと薄気味悪さを感じていた。ところがそれが下げ止まらないのである。筆者としては、他の代替エンタテインメントが、ロリコンゲームとかでないことを祈るだけだ。
Tetsuya Ichikara 
alt-fetish.com