IT企業のクソな現実

 楽天、オーバーチュア、グーグル、ヤフー、ライブドア。名だたるIT企業たちだが、やっていることはクソ集め以下だ。
 まず、楽天。楽天市場の顧客がひとたび買い物をすれば、よほど注意して購読するのチェックマークを外さないかぎりは、最低でも週に3通のクソメールが届くようになる。2ショップ以上で買い物すれば毎日届くようになるのも「夢」ではない。そのクソメール(メールマガジン)ときたら、もっと買い物をさせるような陳腐なコピーでびっちり重い。私は楽天に、クソメールのチェックボックスはデフォルトでオフにするよう再三申し入れているが、出来ないの一点張り。購読するのチェックボックスを外し損ねるという、顧客のいかにもみみっちい失態につけ込んで、クソメールを送る「権利」をタダでかっぱらい、クライアント企業に売りつける、それが楽天の本質にほかならない。
 オーバーチュアとグーグル。きわめて分かりにくく、習得には最低でも数時間の「講習」が必要なサイト広告を運営するこの2社。気の毒な顧客はクレジットカード情報を握られ、メール一本で一方的に金を引き落とされるばかり(グーグルはメールすら来ない。なお引き落とされる額の設定はもちろん顧客ができる)。どんなキーワードを出せば「最適」な広告出稿となるかは、永遠に解のでないまさに地獄のラビリンス。資料請求やカタログ送付のために顧客を獲得するコストを、お互いに高めあう弱い同業者たちの墓場である。その墓守こそ、この2社なのだ。
 ヤフー。目を疑うほどの糖分を充填したソフトドリンク。子供の脳を破壊するゲーム。長期的展望にたって本来取り組むべき人生の課題からできるだけ長い時間目を背けさせようとする刹那的な娯楽。13年は持つほど耐久性能が高いのに、なぜか半年ごとにモデルチェンジされる環境破壊車。99%の人には無関係なリスクを「カバー」し暴利をあげる保険商品。そして、すべての人を地獄に「笑顔で」招待する消費者金融。ヤフーの広告主としていまやおなじみの企業が必死こいて売ろうとしている物やサービスである。昔の、検索サイトとしての名残であるカテゴリー一覧はスクロールしなければ表示すらされなくなった──。
 そして、ライブドア。何で稼いでいるのかと思いきや、M&Aとか、為替の証拠金取引手数料とか、そんなのばっかり。「もはやオペレーションを淡々とやるだけ。地味な話ですよ」とうそぶく社長の月収は1千万円なのに、株主たちへは2円の配当すら却下。(この原稿を書いている時点=2005年末には想像できなかったが、ライブドアは本日不祥事で東証で売買停止となっている)
 私は負け組代表として、せめてこれだけはやめてほしいと思い、楽天に、メールマガジン購読のデフォルトチェックを外すよう要望してきた。その慇懃無礼なる「ご回答」を最後に表示して終わろう。この慇懃無礼さこそ、IT企業の薄っぺらな本質を何よりも饒舌にいい表している。
「この度はメール配信につきまして、お手数をおかけいたしております。誠に恐れ入りますが、現在のところ、メールマガジン送信の選択をデフォルトでオフにする機能はございません。ご希望に添えず、誠に申し訳ございません。「楽天のメルマガ」「楽天ショップのメルマガ」等の配信を希望されない場合には、楽天市場の各サービスをご利用の際に、チェックボックスをオフの状態にしていただけますよう、皆様にお願いいたしております。
 大変ご面倒かとは存じますが、何卒、ご理解・ご了承いただけますようお願い申し上げます。 なお、この度いただきましたご連絡は、貴重なご意見として承りまして、今後の運営の際、参考とさせていただきたく存じます。ご意見、誠にありがとうございました。
 何かご不明な点がございました際には、ご連絡いただければ幸いでございます。今後とも、楽天市場をよろしくお願いいたします。」
───「何かご不明な点」って、あんた。顧客の不便をどうして「理解・了承」しなければならないのか、顧客としてこれにまさる不明なことはないと思っている。「連絡」はしないけど。だってこっちは「幸い」じゃないから。
市川哲也
ALT-FETISH.com
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