ストレスに満ちた為替証拠金取引体験

 ここ一週間ほど為替証拠金取引でじつにイヤな気分を味わっている。世の中には私もここで何度か触れることがあるのだが何人も相場の世界でうまくやっている人たちがいる。彼らの結果は本やサイトでいくらでも見ることができ、いくら儲かったというのを目にすると自分もやれそうだという気分になるものだ。
 しかし実際にやってみるとこれほど不愉快な所業はないと感じた。起きているあいだは、ポジションがあると四六時中為替が気になる。見たら見たで下がっているとその後は上がっているのを見るまでものすごく不愉快な気分に苛まされることになる。そして上がっていると喜んでたちまち売りたくなってしまうのだがジッと我慢する。そうするうちにまた下がってきて不愉快な気分になる。
 証拠金取引に限らず、値動きをともなう投資(投機、ギャンブル)は私にとっては心身を蝕む病気のようなものだと感じる。頭としっぽはくれてやれ、という。この言葉は株の世界には昔からいわれている言葉で、要するにいちばん安値で買って高値で売ることは不可能なのだから、そういう部分はくれてやれ(あきらめろ)ということだ。
 しかしこれは口で言うは易し、行うはかたしの典型である。この言葉の意味することは、先述した以外にもう一つあるような気がする。要するに欲に押されて焦って取引をするなということだ。これがまたとんでもなく難しい。これまでの人生生きてきて、基本的には欲望がまずあってそれであれこれやってきたわけで。人間活動の原動力たる欲望を突然シャットダウンしろというのか。やってみれば分かるが凡人には不可能である。
 だいたいかつてないほどネットで簡単にリアルタイムに値動きが分かるようになっている。携帯でも分かる。ポジションをもっていなければ、値動きをねっとり眺めて、ここで買ったらああだこうだと空想する。そしていざポジションをもてば、あとは世界はバラ色か灰色かの2色のみだ。
 本当に、この簡単さ、リスクを簡単に取れる時代というのはたいへんな落とし穴をはらんでいる気がする。モニタや携帯を眺めているあいだに、人生もっといろいろ、やるべきことがあるはずだ。そう、値動きをウォッチするのにすごい時間を取られるようになる。実際はじめるまでは日足を見ていて2~3日のペースで売り買いすればいいやと思っていたが、何しろ24時間簡単に値動きを見られるので、ついつい見てしまうのだ。そうすると当初の計画(2~3日というスパンでの読み)は雲散霧消する。目の前にすごい動きがあると計画になかった売買をしてしまうのである。何しろクリックひとつで売り買いできる。
 私はこのブログでは密かにこういう投資で儲けてみなさんに自慢しようと思っていたが、結局前回のデイトレードでもそうだけれども、失敗して「ダメだー」というばかり。つくづく投資に向いていないと思ったし、計画をすぐ忘れて刹那的な行動を取ってしまうという点で、人間としてもまだまだひどい未熟者だと反省するコトしきりだ。
 デイトレードで成功している方々は私など生まれ変わりでもしないかぎり足元にも及ばないような本当に立派な、才能ある人々に違いない。リアルタイムな値動きを見ているとつい手を出してしまいたくなる。これってなんだろう。リアルタイムチャートは射幸心をイタズラに煽るとんでもないツールであることはまちがいない。道理で外国為替証拠金会社がどんどんできるわけだ。客にリアルタイムチャートを見せてさえおけば、手数料がちゃりんちゃりんと入ってくる。こんなに儲かるビジネスはないだろう。客の側も、下手に知的な人は十分この罠に陥らないようにしたいものだ。というのも、PCを揃えて、ネットにもつながって、格安の会社に口座を開いてリアルタイムチャートを見るというのはある種のオタク的なおもしろさ、満足感がともなう。得意になって環境を整えて、さあ投資だと思いたいところだが、端から見るとわざわざ金をすり減らすために無駄な努力しているにすぎない。
 この1週間でやっとこさ1万円の利益を確保してはいるものの、リアルタイムチャートを見るたびに数百円資産を減らしている有り様だ。損切りするごとに人生が確実に斜陽化していることが分かる。
 これならどうだろう、一日何か日雇いの仕事をしていたほうが絶対健康だと思った。同じ一万円を得るのに投入される精神のエネルギーは、1週間の通貨FXと一日の日雇い、そうだな、百歩譲って、日雇いと同じ、こう言っても過言ではない。しかし証拠金取引は物理的時間を7倍奪われるという点が見逃せない。そう考えれば日雇いのほうが7倍もマシなのである。なんとまあ、世の中うまくできているというか……。
 いずれにしてももう金輪際この手の投資はやめよう。足を洗ってまっとうに働いて生きることに決めた。
市川哲也
Alt-fetish.com
info@alt-fetish.com

「ストレスに満ちた為替証拠金取引体験」への2件のフィードバック

  1. 某電子部品メーカー社長が書いた「椅子とパソコンをなくせば会社は伸びる」という本が話題になっています。こと投資に限らずPC漬けの日々の中、どうでもよい情報を追い求めることに右往左往する我々にとって、この非効率な装置からスパッと縁を切った方がどれだけ精神衛生上好ましいかわかりません。今日こそはPCを立ち上げる前に別の仕事をしようと職場で机に向かうのですが、ついついPCの電源に手が伸びる誘惑を断ち切ることができません。困ったものだと思います。

  2. tubeさん、コメントありがとうございます。パソコンて必要不可欠なツールのはずなのにどうしてこうも非効率的で精神衛生もよろしくないのでしょうかね? やっぱりネットにつながっているから、でしょうね。

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