LGBT市場とは?

 アメリカの小売業やサービス産業のあいだで新しい消費者のセグメント、LGBTが注目を集めている。LGBTとはレズ、ゲイ、バイセクシャル(両性愛者)、トランスジェンダー(性同一性障害)の頭文字を組み合わせたもので、いずれも性的マイノリティーの人たちである。しかしこれらの人たちは総人口の5~15%にもなるとされており、インテリで感度が高く可処分所得が多い(子供を産まないので支出が消費へ向かいやすい)彼らに訴求した専用商品・サービスの開発に各社がしのぎを削っている。
 上級市場、あるいはトレンドセッターという位置づけのこの市場にどんなサービスを展開しているか?
 旅行好きとされる彼ら向けに、ホテルや航空業界が特別なプランを用意しているケースや、また自動車などの産業にもこの市場を見据えた商品開発の動きがある。
 さて翻って日本ではどうか? 今後日本においても間違いなくLGBTは増えると踏んでいる。筆者得意の洞察(仮説?)だが、家族を営むということへの負担感がすごく増している気がする。もちろん、負け犬=独身者という一時的なブームはあるがそれは冷めるのも時間の問題。そもそもこの勝ち負けの枠組み自体がマスコミによって作られた「うそっぱち」なのである。
 勝ち組はお金持ちと結婚して専業主婦になり子供も育てて幸せな家庭ということなのだろうが、実際にはそうしたイメージ通りになっているのは少数である。実際の数としてはまだまだ多数派だが、幸せな家庭というふうになるのはかなり困難だ。
 こんにち家庭を営んで子供を産み育てるのは、特に給与所得者の場合、失うものがたいへんに大きい。失うもの、それは自由と時間と金である。というか、カネ→時間(自由)を失う。人生のいちばんメインなときに子育ての債務返済に、夫婦共々追われるのが現実だ。
 運良く子供が自立した場合は、もはや定年も間近。くたびれきって摩耗して抜け殻のようになっているか、または親の介護がはじまってこれまた地獄の日々である。もちろん、子供が自立しないでいつまでもすねをかじって家にいるパターンになるかも知れない。こうなると目も当てられない。
 こんなリスクを背負って家庭を営んでも、えられるリターンは定数化できない「幸せ」だけである。そのためだけに、がっぽり教育費、税金、水道光熱費、労働力を、人生のメインのシーズンに投資するのはいかがなものか?
 そういうわけでこれからの若者、特に知的に洗練された若者が進んで結婚して子供を産む気になりづらいこの社会では、ますますLGBT市場は拡大を続けると私は予想している。
 アメリカにおけるLGBTの割合がなんと15%にも及ぶということで、これはたいへんな数字だ。彼らに向けたサービスを、拙速で作ることはかなり難しいだろう。それぞれにこだわりがあって、しかも専門的知識も豊富な彼らのお眼鏡にかなうには、やはり送り出す供給側もそれなりのことを分かった専門家でなければならない。
 そのためには、供給サイドにもLGBTの社員なりアドバイザーが不可欠である。彼らの気持ちを理解するには、自分がそうでなければ絶対にダメだと思う。
Text by Tetsuya Ichikawa
Alt-fetish.com
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「LGBT市場とは?」への1件のフィードバック

  1.  大変興味深く読ませて頂きました。市川さんの「経済」コラム?もすごく面白いです。蝦頭でも少し関連記事を書かせて頂きました。

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