陰部神経に注意を向けるために

人間の三大欲求は、

食欲(たべたい)、睡眠欲(寝たい)、性欲(セックスしたい)

といわれているが、オルタフェティッシュは性欲は正しくないと思っている。

食べなければ、死ぬし、寝なければ、また身体を壊す。しかし、セックスしなくても、普通に生きていける。
では性欲のところにはいる正しい欲望とは、ほんとうは何か?
それが充足されないならば、死ぬほどの、つまり食欲や睡眠欲に並ぶクリティカルな欲求は、いったい何か?
それは、さみしさを解消したいという欲望、つまり愛への欲求だ。

寂しいと、つまり孤立すると、人間は精神の安定を損ねる。
(オキシトシン)
ところが、さみしさの解消つまり愛は社会的構想物であり、本来存在しない。
だから、人は勘違いして、さみしさを埋めるために、間違ったことを「つい」してしまう。

たとえばそれが、ヘゲモニー闘争(覇権争い=マウンティングみたいなもの)である。サラリーマンの出世競争。「オレが」「ボクが」というかまってちゃんアピール。ファボコレクター。フォロワー数でマウント。こういうことでは決して、愛の欲求は充足されない。それどころか、ますます敵を作り、愛から遠ざかって、最後は結局孤立して病む末路へと至る。

愛を充足させ、寂しくない状態になるには、どうしたらいいのか?

簡単だ。陰部神経から中脳へと正しく化学物質(神経伝達物質)が流れるようにして、脳内で生み出される「快」で意識を満たしてしまえば良い。

陰部神経に注意を向けろ。

陰部神経はいわゆる「性感帯」といってよい。つまり男性の場合は股間の、亀頭、ペニス、金玉袋、肛門などに張り巡らされた一連の刺激受容器官のことである。

ところで、陰部神経から最も気を逸らすものがある。それは先ほど述べたさみしさを誤った方法で解消しようとする行為とも関係する。それは、男同士の競争、すなわち、男根競争だ。

男根が、他人の男根が目に入った瞬間、男は陰部神経に集中できなくなってしまう。


オルタフェティッシュが今回しつらえた空間には、気が散る最大の阻害物である「男根」を想起させるものは一切ない。


あるのはお客様の男根のみだが、じつはそれも、受け入れがたい「他者性」(c.f.フロイトのエディプスコンプレックス)を帯びていて、それ故、陰部神経への感覚集中の妨げとなる。

そこで、お客様の男根も、ラバースーツの中に隠してしまう。

空間から、あらゆる男根を消し去ること。男は、このことではじめて、誤った競争から自由になり、自分の快の探求に意識を集中させることができるはずだ。

【本記事執筆時に参考にした動画】