マーキス最新号で、編集長がアメリカのサブカルチャー雑誌「プロパガンダ」の編集長フレッドと対談している。
「プロパガンダ」はNYで刊行されるサブカルチャー誌。フェティッシュ、パンク、アウトロー、賭博師(ハスラー)、オシャレをキーワードとする。20年前に、堕落した両性具有者にとりつかれたアメリカ人フォトグラファーフレド・H・バーガーが刊行した。いまはNYのフェティッシュバイブルとなっている。
ちょっと興味深いのでこのブログの読者のみなさん、誇り高きフェティシストのみなさんにも紹介しよう。
MARQUIS:ストレンジセックスにはどういうふうに興味を持ったの?
フレッド:ストレンジというのは僕にとってはないんだ。ボンデージSM、フェティシズム、ホモ、両性具有、服装倒錯、こういうのはみんな僕にとってはごくノーマル。物心ついたときから、そうだね、8歳とか9歳くらいのときから、こういうのがたまらなく魅力的に思えたんだ。気がついたら、すでにそういうのを好きになっていた。
MARQUIS:どんなセクシュアリティーがあなたの興味を引くの?
フレッド:いわゆる生殖を前提とした男女の前戯と挿入を伴うセックス以外のほとんどすべて。僕が性的に興奮するには、違法というか、やばい要素がないとダメ。普通のセックスにはないテンションを引き起こす何かがほしい。特に何らかのタブーを破るっていうのは、僕に最高の喜びを与えてくれる。
(中略)
ARQUIS:あなたはアメリカの、アンダーグラウンドセックスカルチャーのパイオニアだと思っているのか?
フレッド:アメリカには高品質で情熱的な、洗練されたオルタナティブセックスに関連する雑誌はない。普通アメリカのフェティシストはイギリスのスキン・トゥーや独のMARQUISを見て楽しむほかない。つまりプロパガンダはそれらとは違う独自のスタンスを持っている。最大の違いは、単なるレザーやラテックスについての雑誌ではないということだ。プロパガンダのテーマは、破壊である。しかもジェンダーをもてあそぶことによって引き起こされる破壊だ。もてあそぶとは、驚くべきやり方でもってジェンダーを再構築することだ。
(中略)
MARQUIS:アンドロジャインにこだわるわけは?
フレッド:アンドロジャイン(男性女性の区別ないひと、男(女)らしさのない男(女)性、女(男)性的な男(女)性)は反乱、反抗の一形態だ。なぜなら性別を意識しない、半男半女、異装趣味は、社会の根幹を支える男女という枠組みを根底から覆すことを意味するからだ。つまりそれは、ある種の破壊行為といえる。プロパガンダは社会を変えるための宣伝だとすると、アンドロジニーはまさにその目的完遂に不可欠な合法的手段といえる。
(中略)SMとか、あるいは殉職行為にはある種のエロティシズムがある。それは動物の生殖目的の性交からは決して得ることのできない快楽だ。
そもそもフェティシズムとは、人(フェティシスト)が、それ無しではオルガスムに到達できないものである。これはまさに、セックス(性交)それ自体が快楽そのものだとする完璧な自然の道理に対する反抗だ。
───いかがだろうか。このような捉え方でフェティシズムをテーマに雑誌を作り続けている人がいるというのは非常に興味深いことである。あの、アメリカで……。