オペラ座の怪人評

 映画オペラ座の怪人のDVD、数ヶ月前に予約していたのが届いたのでさっそくメイキングから見た。予想通りメイキングのほうが感動的だった。本編はおまけって感じ(ひどすぎ?)。
 メイキングでは、映画を作るのは相変わらず多額の金と人員と才能が必要だということがあらためて確認できた。シャンデリアを落とすシーンなどは本当にたいへんそう。あとこの映画、ほとんどがミニチュアの模型やCGを駆使して画面を構成している。ふうんという感じ。映画なんだからもっとちゃんとすればと思った。
 この映画はもちろん、作曲家のアンドリュー・ロイド・ウェーバーによるミュージカル映画。曲はもちろん、構成もミュージカルとほとんど一緒。我が家には悲しいことに大画面テレビがない。悲しく昔のブラウン管で見ると、やたらと横長の画面になっていて、上下に黒い余白が。その分コンテンツが薄くなる。トホホ。迫力不足だな(そりゃうちの問題か)。
 国内外で20回近く見てきたミュージカル版にくらべると、とにかく歌がいまいち。怪人役の人がダメだ。あり得ないくらいダメ。そこら辺の学生?ってかんじ。あと、つくり事態にあり得ない欠点が。雪のシーンなのに登場人物の吐く息が白くない(メイキングを先に見ているからよけいに感じる)。濡れた服が次のシーンでは乾いている。怪人の隠れ家では照明がフレアーを起こしていたりして……素人か、撮っているのは? せっかくすごい技術を使ってるのに、素人でも分かるこんなミスを残すなんて。つくりがちゃちい上に肝心の歌もマズイ。
 やはりメインはメイキングということですよ。
 ところで私がオペラ座の怪人にひかれるところ。美しい曲。男の隠れ家を思わせる魅惑的な怪人の居所。巨大シャンデリアが落下するなどのスペクタクル。怪人を中心に展開する非常に興味深いストーリー。いまの時代に「怪人」ですよ。怪人なんて完全にファンタジーの世界だ。いま日本にいるのはただの納税者。有権者。給与所得者。高齢者。こども。浮浪者。主婦。怪人なんていやしない。怪人になりたいな。怪人て、いるだけでなんか癒されるというか、いまの世の中だからこそ、怪人が必要な気がする。
 高校時代にはまって、一時は本気で劇団四季に関わりたいと思ったものだけれども運動神経がマルでないのであきらめ。今度生まれ変わったら、映画や演劇の産業に携わりたいな。
Alt-fetishの怪人、市川哲也
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