生き馬の目を抜く資本主義社会の激流のなか、ボーっとしていると、あっという間に割高な商品・サービスをつかまされて大損ぶっこくことが多い。
たとえば、住宅。新聞の豪華チラシを見て新築分譲マンション物件を見に行く人もいれば、悪条件の宅地を激安にて購入、ネットで何時間もかけて建築家を捜し、こだわりの家を建てる人もいる。
クルマ。近くにディーラーに言われるままに、6パーセントとか7パーセントのローンで普通車を買う人もいれば、筆者のように涙ぐましい努力をして中古の軽を買う人もある。維持費を較べるとその差は歴然だ。
金融商品。銀行の窓口で、普段は口も効いてくれない行員が笑顔を振りまいて「別席」へ通してくれ、薦めてくれた投資信託を買い、各種手数料で早速元本割れを食らう人もいれば、長期スパンでネット証券会社でインデックスをうまく買って売り逃げる人もいる。
フェティッシュグッズ。言うまでもないだろう。
今日は実践編ということで、まずフェティッシュなものを物理的に備えるにはどうしたらいいか。奥さんにブーツを履かせる。OLに履いてきてもらい眺める。ところが日本IBMのように、きまった自分の座席が会社にない場合は、そういうわけにも行かない。つまり最終的には、自分で履く以外に満足するすべがないことに、すべてのフェティシストはほどなく気が付くだろう。
昨日の復習だが、フェティッシュ・リテラシーとは次の三つをできる能力のことを言う。
(1)フェティッシュに接することができる
(2)自分のフェチのなんたるかが理解できる
(3)フェチを発表する能力
(1)フェチに接する、これをやるには、民法でいう「制限能力者」では場合によってはダメになることがある。若くて元気なうちに、やりたいことをやっておかないと手遅れになる、法はそう、私たちに語りかけている、さあ、先を急ごう。
(2)自分のフェチのなんたるかが理解できる、それは男なら簡単だろう。あそこが反応するかしないか。それにつきる。Alt-fetish.comはテカテカ黒光り、ピッタリのレザー・ラバー・PVC専門である。
(3)のフェチを発表する能力。これは非常に奥深く、挑み甲斐のある難題だ。何しろ3に行く前に果てるケースがほとんどだからだ。
(3)のやり方は具体的には次のようなものが挙げられる。
・化ける(フェチコスチュームを着て観るに堪える状態に化ける)
・場所の確保←これが時間の確保と同義でもあり、もっとも難しいという声は多い
・カメラを使った撮影
・パソコンと接続
・インターネット上に自分の画像を公開できるスペースを確保
・小気味よく関心を引くような文章とともに、写真をアップロード
・寄せられるさまざまなメール(おもに励まし、共感)にていねいにお礼
・定期的に新作をアップロード
・何の得(もっぱら金銭的な意味で)にもならないことへの忍耐
・ネタ枯れとの戦い(永久に続く)
このように、書くとフェチとはまったく無関係なことに驚く。これだからこそ、フェチで、これがやれる人というのは、希有な人、偉い人なのである。ストイックなまでにフェチを追求する「作家」になれるかどうか。フェティッシュ・リテラシーというキーワードを軸に、みなさんに一発奮起していただきたいと願う、私です。
市川哲也
Alt-fetish.com