近くの盆踊りにいってみた。納涼大会といういい方が正しいのかも知れない。盆踊りに行くとふだんは見たこともないような○○がうようよ見られる。これはどうしたことか?
なんでもフランスでは、低所得者の多く住む地域の海辺に砂浜を整備して、日本でいうところの盆踊りのようなイベント(他愛ない出店、イベントなど)を実施することに自治体がかつてなく力を入れているという。理由はテロ対策。低所得者層の多くは移民で、イスラム教徒も多い。連中を貧窮のままにおいておくとろくなことにならないから、せいぜい夢でも見させて、地域社会にもっと愛着を持ってもらおうという施策の狙いだ。
日本の盆踊りに○○がいっぱい集まるのもこうしたことと無関係ではない。実施するのは地元の商店街などだが、当然消防や警察も協力する。議員の席もある。祭りでガス抜きするという狙いなのはあきらかだ。
昨日の盆踊りではめずらしい光景があった。盆踊りにやってくる市民としては明らかに不似合いな男。IT系企業に勤めていそうな「渋谷の社長」藤田晋氏似の若いサラリーマンが、ひとり濃紺のスーツを着て呆然とヤグラを眺めていた。その姿はまわりの○○や家族連れから見事に浮いていて私の興味を引いた。きっと私も彼と同じ濃紺のスーツを着れば同じように浮いたに違いない。
彼と私は呆然とヤグラを眺めていた。
なぜなら───。そう、ヤグラの下に設営された舞台で、あのマジレンジャーが、悪者と激しい戦いを繰り広げていたからだ。たまたまマジレンジャーショーをやっていたのだが、ここ20年以上、実際に見たことのなかった、戦隊もののショーである。───なんというビザールで変態的な光景だろう。実物で見るマジレンジャーたち。ヘルメット、ブーツ、グローブ、テカテカのピッチリコスチューム。子供や○○が見てわいわい喜んでいるのはいい。しかし私とその藤田晋(似の呆然サラリーマン)だけは知っていた。連中のヘルメット、テカテカピチピチ戦闘コスチュームの放つ妖しい欲望の光線が、見ている子供たちの脳裏にしっかりと焼き付けられているこの重要な瞬間の意味を。フェティシズムが芽生える美しいひとときの光景だ。
「あのう、オルタフェティッシュってご存じですか?」
彼が舞台を眺める視線は、真夏の夜の祭りの熱気をはるかに凌駕するほどに、熱かった。実際に訊いたわけではないけれども、彼はAlt-fetish.comをたしかに知っている……そう思わせるに十分熱い視線だった。
仲間がいてとても嬉しい市川哲也
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