先日のブログで、カップルブロガー「なんこ&かぼす」両氏のブログ「進化し続けるための記録~セックスありき」(http://blog.livedoor.jp/ishtar_hystera/)を紹介した。ALT-FETISH.comでは今回、なんこさん、かぼすさんというふたりの有力ブロガーの全面協力を得て、スペシャルコンテンツの掲載を開始した。題して───
市川哲也となんこ&かぼすが贈るスペシャルコンテンツ
LOVE MEETS RUBBER 人類の性愛とラバーフェティシズムについての考察
http://www.alt-fetish.com/cnts/love/index.htm
プロローグでは、なんこさんの素晴らしいラバー姿の写真がご覧いただける。「進化」ブログとあわせてご覧になれば、より深い鑑賞をお楽しみいただけることだろう。
そもそもこのようなスペシャルコンテンツを起ちあげようと思った最大の理由は、「なんこ&かぼす」両氏が、別段、重度のラバーフェティシストというわけでもないのに、愛とセックスの切り口からラバーをふたりの関係に落とし込んで、実践し、それを的確にリポートしていたからである。私たちは、ふだん、第三者の目でラバーを捉える機会に乏しい(当たり前だ、私たちはラバーフェティシストとしては首まで使った当事者なのだから)。そうしたなかで、なんこさんがラバーに出会い、着て、彼氏と交わり、オナニーするという、ラバーフェティシストとしての成長過程がリアルに露呈している、これはたいへん珍しい現象である。そして貴重だ。なんこさんとかぼすさんカップルの実践から、私たちラバーフェティシストも、パートナーとの関係を見直す契機を得られるかもしれない。これまでよりもうまくラバーを夫婦の営みに導入できるかもしれないし、上手に、自信を持ってラバースーツを着こなせるようにもなれるだろう。
さて話は変わるが、「釣り好きのイギリス人男性の性」についての興味深い調査結果がある。釣り好きのイギリス人男性の、およそ4分の3は、妻とのセックスよりも釣りをすることを好む。まあそれは「妻とのセックス」がほとんどの男性において、年を経るごとに勘弁してほしいものになることから、ことさら驚くほどではない(結婚は発熱ではじまり、悪寒で終わるという格言もある)。ところが、釣り好きイギリス人男性は、それだけではなかった。なんと半数もの人が、スーパーモデルとのセックスよりも、記録破りのサーモンを釣ることにより多くの関心があると答えたのだ。
私はこの調査結果、非常に印象を受け、忘れがたいものになった。普通一般にいいと思われていること(妻とのセックスやスーパーモデルとのセックス)でも、じつは思った以上にそれほどでもないということである。
そして、べつにこの調査結果からいえることではないかも知れないが、ラバーは変態で一部の偏執狂の見るに堪えない奇行と思いきや、じつはむしろ一般的に支持されうる範囲内にあるちょっとした趣味のひとつ、いうならば「チョイワルな趣味」のひとつなのではないかと私はなんこさんとのやりとりを通じて思った。
さて、今日は、そんなフェティシズムへの思いも新たにすることができる、なんこさんインタビューのさわりを紹介しよう。全文はウェブサイトでご覧ください。
なお、後日、なんこさんと市川哲也ふたりのラバー人を特写したスペシャルコラボレーション企画が進行中。お楽しみに……。
インタビューの意義
独占インタビューを敢行したのには、特別な理由がある。これまで、ラバーを好んで着る女性で、ALT-FETISH.comにカミングアウトしてきた人たちの多くは、SMの経験があったり、ゴスロリやコスプレといった偏った趣味を持っていたり、音楽や服装の趣味から派生的にラバーに関心をもったりする人たちだった。しかし、なんこさんは、職業は服の販売で、別段SMをやっていたり、オタク的な趣味を持っているわけでもない。いわばまるっきりニュートラルな状態の、普通の女性なのである。本人は「変態」といっているが、その内容は決して「縄縛り」とか「出血プレイ」「スカトロ」のような陳腐で出尽くされたものではなく、自分なりの方法で、性快楽を最大に楽しもうとしているに過ぎない。だからラバーを最初から否定もしないし、かといってラバーだけに耽溺もしない。あくまで、センスはニュートラル。そういった意味でなんこさんは、たいへん貴重な女性───これがインタビューをしなければならなかった、特別な理由である。そんななんこさんだが、この特集のテーマでもある「愛」が、ラバーへの思いに深く関与していることが明らかになる。もしも、この特集の「愛」という部分をよく理解できるならば、最愛のパートナーと、そして最愛のラバーを着た最高のひとときを楽しむ可能性が、読者ひとりひとりにきっと開けてくると私はそう確信している。
◆リスクが高いほど変態度がある
市川哲也(以後I):最初にALT-FETISH.comのサイトを見たときの印象を教えてください。
なんこ(以後N):いわゆる変態臭さもなく、内容は初心者の私でも引き込まれるような文章がたくさんあって、とても好感もてました。私自身は「変態だ」と自負しておりますが(笑)
市川:なんこさんは、ご自身を変態とおっしゃいますが、どのようなところが変態だと自覚されていますか? 他の変態ではない女性一般となんこさんを区別する最大の点とはなんでしょうか?
なんこ:どこからが変態かは、各々でボーダーラインがあるでしょうから明確に言えるかはわからないのですが、まず性的な意味での変態とは人には言えないような、一般的に理解を得づらいことをしていること、人が何と言おうと、好きでそのプレイなり趣向なりを突き進むこと、でしょうね。他人が理解できないようなことに快感を覚えて、それを自分のものにできているのは変態としての定義かと思っています。またその行為によって得る「リスク」が高いほど変態度があるし、より興奮できる(ハイリターン)かもしれませんね。ですからこうした「理解できないような行為によるハイリスク・ハイリターン」を好むのはほかのいわゆる一般女性とは異なると思います。どんな行為かは……秘密です(笑)
市川:ALT-FETISH.com閲覧者のほとんどは男性ラバーフェティシストです。彼らは、ラバーのてらてらと黒光りする外観と、皮膚にラバーが密着した、きつくて息苦しい状態が相まって、異様に性的に興奮することをラバーフェティシズムと認識しています。なんこさんにとってのラバーフェティシズムとはなんですか?(どういう状態のことをいいますか?)
なんこ:まず、映像や音声といったツールでは満足できなくなった時、自分で実践したい・体感したい・実感したい欲求にかられるのが人間というものなのでしょうか……。そのうえで生身の自分で得られる興奮の限界があるとすれば、興奮できるツールを外に求めればその限界を延ばすどころか超えてしまえるのではないかと。そのツールに選んだのがラバーであり、興奮の度合いが強いほどツール自体に傾倒してゆくのがフェティシズムなのではないでしょうか。また興奮へ行き着くまでの想像が、より性的なものと直結しにくいものの方がフェティッシュな気がします。バイブとキュウリみたいなもんです(笑) 選ぶツールがラバーになるのは、個人の形成されゆく環境にもよるのでしょうけれども。男性が多いのは、恐らくラバーフェティシズムに限らずでしょうね。「体感したい」欲求が女性よりも遥かに強いのでしょう。
また「きつく息苦しい状態」に興奮するのは怖い絶叫マシンに乗るようなもので、自分が追い詰められることで興奮を得る方法の一つでしょうね。通常の性行為においても、追い詰められる感覚は興奮するためには欠かせなかったりします。呼吸が荒くなる自体が性的興奮時に起こる作用なので、ラバーによって強制的に自分をその状態へ落とす効果もあるような気がします。ですから、ラバーを抜きに考えてみれば特別異常なことでもないのでは……とも思うのです。
市川:なんこさんは、いわゆるラバーフェティシストだと自分で思いますか? ラバーを着て興奮してしまった理由はなんでしょうか?
なんこ:窒息プレイなどは未経験なのですが、どうでしょうね(笑) ラバーフェティシストとしての概念の枠を拡げて頂ければその端くれには入れて頂きたく思います。ラバーを着て興奮してしまったのは、もちろんそのスタイリッシュな外観もそうなのですが私の願望であった「彼の手の届かない存在になる」ことが叶ったことですね。
◆ラバーは具現化されたわたしの願望そのもの
市川:ラバーを着て「彼の手の届かない存在」になれた、とはどういうことですか? またそのことで興奮した、というのはなぜですか?
なんこ:私のブログ★1、またフェティッシュジャーナル★2でも取り上げていただきましたが、恋愛において、女性は男性を追いかけるよりも追いかけられたい願望があると思います。私もそうで、彼を追いかけているような日々に感じていました。実際はそんなことはなくても、そういう感覚だったということです。私が彼を追い求める以上に、彼から追い求められたい……ラバーキャットスーツで本当の私を包み隠し、一切「私」を遮断することで彼はラバーに閉じ込めた「私」を求めてきたんです。強く強く……。
ラバーを着て、裸の彼とセックスしても彼は私の肌に触れられませんし、私の心にも届かなかったのです。こうして私の願いであった「追い求められる」つまりは「手のとどかないほどの存在」になることで彼の私を求める気持ちを強められたわけです。
ラバーは具現化されたわたしの願望そのもののような気がします。
市川:幼少期の性にまつわる体験はありますか? 初体験の年齢はいつですか? またそうした性体験が現在のラバーフェティシズムに何らかの影響を及ぼしていることはありますか。
なんこ:初体験は19歳でした。小さい頃に男性に追いかけられたりということは何度かありました。中学の頃、同級生に集団で触られるようなこともありました。性体験とまではいきませんが……。そのせいで男性に対して恐怖心があったのと同時に、男性に対して強くあろうとする自分が生まれたのも事実で、男性の征服欲に従うかわいい女であろうとする反面、男性が自分の手の内にあったら……、という願望はあるかもしれません(笑) ですから今の彼を追いかけるより、追いかけられたいのですよ。ラバーを着ると、それを実現できる、より強い女になれる気がしますね。
◆ラバーフェティシズムのきっかけ
市川:ラバーフェティシズム(ラバーキャットスーツなどを着る変態カテゴリー)というのがあると知った時期ときっかけを教えてください。
なんこ:これは実はかなり小さい時なんです。小学生とか……そのくらいです。父の本棚で見つけたのかしら?(笑) 家に「かんぷらちんき」(たしかそんなタイトル)という小説があって
内容は殆ど覚えていないのですが、その中でラバーを使った性行為のくだりがあったのを覚えています。文章で覚えているわけではないのですが、今でも覚えているのが「ラバーを上に敷いた三角木馬にまたがる」というような文章です。なんの小説だったのでしょう?(笑) マセた子供でした。
市川:ラバーがクールでかっこいいと思えるためには「かんぷらちんき」以外にどのような作品の影響があると思われますか?(映画・テレビ・小説など、何でも)
なんこ:「かんぷらちんき」ではあまりクールなイメージは無かったです。単に「ラバー愛好」という世界があるのを知っただけでした。有名な映画でなら「マトリックス」でしょうか……主人公の恋人(トリニティー)がキャットスーツみたいな感じのを着ていたはずです。マトリックスの2作目では、モニカ・ベルッチが白っぽいピタピタのドレスを着て登場するシーンがありましたが、あれもラバーっぽかったです。雑誌のインタビューで「着るのが大変だった」と語っていました(笑)あとはそうですね……ベタですがルパン三世の峰不二子、ですかね。キャットスーツ着ているシーンがあった気がします。女性なら憧れますから、不二子ちゃんは(笑) 映像だと、素材が何であるかまではわからないのですが、ビザールなデザインだけを見れば結構溢れていると思います。
市川:今回、高額なラバーキャットスーツを着ることになった経緯を教えてください。最初にキャットスーツという話題がふたりのあいだで出たときの状況を再現してください。
なんこ:確か私がボンテージだかランジェリー系ショップのサイトを見ていてピッタリと体にフィットしたオールインワンタイプのコスチュームが「キャットスーツ」という名前だということを知ってそこから辿っていったことからでした。もともといわゆる「ツナギ」タイプの服は好きで普段から着たりしていたんです。キャットスーツを知った時に彼に「こんなの着てみたいの」と話したところ、彼も「なんこが着たところ見たい」とノッくれたわけです。ちょうど彼がボーナスがでる前で、Alt-fetish.com★3を見つけていろいろと見ているうちに彼が「買ってあげたい」と言ってくれまして……。高額ですし、遠慮していたのですが、彼のほうが見たい!見たい!と積極的になってくれたのが購入して着用してみることまでに至った経緯ですね。
市川:スーツ実物をはじめて見たときの印象はどんなでしたか?
なんこ:小さな箱に収まっていて驚きました(笑) 車の中で待ちきれずに開けてしまったのですが、すでに何か興奮していました。腕だけ通してみたり……。頭の中にあるイメージ通りに着られるのか、わくわくした気持ちでいっぱいでした。
市川:はじめてきてみてどんな気分になりましたか?そのときに、彼氏がそばにいたわけですが、もしいなかったらどうでしょうか?
なんこ:初めて着たときは、あまりにも着るのに苦労したので正直失敗した? と思ったんですよ(笑) でもファスナーを最後に上まで上げたときにはすっかり気に入ってしまった自分がいました。居なかったら……さみしいです(笑) 当初はやはり、彼に見てもらいたい気持ちでいっぱいだったので……。
市川:キャットスーツを着るときに、何らかの打算がありましたか? それとも純粋に着たかったのですか?
なんこ:打算……というとピンときませんが、これを着た姿に彼が喜ぶかどうかを考えていましたね。もちろん自分が単純に着てみたかったわけですが、「これを着た姿を見て興奮する彼を見ることで自分が興奮する……」はじめはそんな想定だったのですが、後にそうではないことに
なってしまったわけです(笑)
市川:今回彼氏がラバースーツを買わなければ、自分で買うということは想定できますか。
なんこ:どうでしょう(笑) 確かに高額ですが、「服」にお金を使う感覚で買っていたかもしれないです(笑)
市川:ALT-FETISH.comのお客様にも、恋人もパートナーもいない方が一人で自分のために自分で買うケースがあります。そうした人たちとなんこさんが、違う点および共通点を教えてください。
なんこ:違う点……これは彼と過ごす時間の中にラバーフェティシズムを持ち込んだ、ということでしょう。彼とのセックスと切り離さずに取り込んでしまったのです。先にも書きましたが、パートナーがいるということは、相手の反応がどんなものなのかが一番最初なのですよ。一般的なコスチュームプレイなどはほぼそこから入るのだと思います。もちろん純粋に興奮してくれるかどうかも気になるのですが、こうしたフェティシズムを自分が持っていることを相手が知ったとして、その後の関係・自分への接し方が変わってしまうのではないかなど、パートナーがいると考えざるを得ない部分があります。これは恋人がいるフェティシストの方でも、相手に明かせないがために自分で楽しむために買うことはあるでしょうね。私の場合は彼がとても理解ある方なので、こうした不安を経てはいませんけれども。
共通点は、たとえ私が彼との時間に持ち込んだとしても、ラバースーツを着用した自分は「自分の世界」であるということでしょうか。彼と時間を共有しているにもかかわらず、です。「ラバーを着た自分に興奮する」 これは他の方々とおそらく同じではないかと考えています。
◆自分自身に興奮しているということに気がついた
市川:二回、三回と着ていくうちに気がついたことはありますか? 自分の気持ちには変化が生まれましたか?
なんこ:深くない点でいうと、何度か着るうちに、フィットしないと納得できないと思うようになったことですね(笑) 大きな変化だと思ったのは、当初彼の興奮したを見ることで自分が興奮するのだと予測していたのが、自分が自分自身に興奮しているということに気がついたことですね。彼の存在は認識できても、まるで視界にはいらないような(笑)
市川:「フィットしないと納得できなくなった」とのことですが、フィットしない部分はありますか?(この質問は今後の商品デザインの改善に役立てようと思います)
なんこ:一番なのは「肩」です。足先から入れていって、肩を入れますよね。肩が一番ラバーを引っ張っている位置が体の中で高いので、肩のハマリが甘いとラバーに緩みがでてしまって……。私はXSを着ていますが、それでも肩と袖のつなぎが少し浮いてしまうんで、本人の体型の限界と着方がまだ下手なのかもしれませんが(笑)
市川:通常のセックスと、ラバーを着てするセックスはどのように違いますか。
なんこ:ラバーを着るのは私だけで、着た者同士だとまた違うでしょうけれども、私たちの場合は通常のセックスではお互いの肌と肌が直接触れ合います。肌を通して確かめ合えるわけです。ですが、ラバーで覆ってしまえばそうはいかない。彼は私を抱いているのに、私という人間への感触が遠ざかるのですね。対人間ではなく、対物のような感覚と言えばよいでしょうか。行為としてはセックスなのですが、お互いの性器を使った「オナニー」のような感覚です。ラバーを介したセックスでは、気持ちがどうとかは関係なくなってしまいますね。
◆ラバーを着たオナニー
市川:普段オナニーをすることはありますか?
……続きはサイトでご覧ください。
http://www.alt-fetish.com/cnts/love/index2.htm
★1 「進化し続けるための記録~セックスありき どうせなら気持ちよくなりましょ 」
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★2 フェティッシュジャーナル
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MARQUIS No.38発売中です。
http://www.alt-fetish.com/mag/1481/1481.htm
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市川哲也
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