ボンデージマスクというともともと革製というイメージがある。いちばんこの手のマスクで強烈な印象なのは、なんかの映画で顔に黒い革のマスクをはめられた男が鉄の網の中に入れられているシーン。外国映画なのだが、自分が普段している変態ファッションそのもののキャラがいかにも「超ヤバイイカレ野郎」の象徴として描かれているのが何となくつらかった。イカレ変態野郎を描写するのに手っ取り早くレザーマスクかぶせた監督(だか脚本家だか、犯人は不明)の陳腐さ、拙速を恨んだ。ただ頭にレザーというのは、かなりやばく、ビザールな雰囲気は大いに盛り上がったのは間違いない。
今日はヤフーオークションに、満を持して、出品したものがある。制作から2年以上の熟成を経て、本革製ボンデージマスクをついに出した。
このマスクのポイントは、従来にない本革製であること、そして、キャシャーンふうのかっこいいアタッチャブルマスクが付いていることだ。アタッチャブルマスクは頬についているバックルで留めるんだが。
私はこのマスクをぜひALT-FETISH.comで売ろう思ったのだが、結局「こんなもの数万円も出して買うヤツはおそらく世の中にはいまい」という弱気、仕入れ上の制約、価格面での破綻など不幸が重なりお蔵入りとなった。試作品は5点におよんだが、いまヤフオクに出しているのは一定の完成度に達した2点。
開始価格8000円のほうは、1万円のよりも当然前のバージョン。1万円のバージョンは、革の表面に特殊な加工を施してつやを出している。また首締めベルト(アゴベルト)が付いていてさらなる拘束感を味わえる。口も「しからしか」ということで、あいていない。
ラバーフェチにはMが多く、私ももちろんMで、味わいたい被虐行為に「窒息」というのがある。そういう観点から口の穴は不要だと思って、最終バージョン(1万円スタートのほう)では口の穴はやめたのだった。
今日出品したのだが、いろいろと「もっとこうしたほうが」というのはある。たとえば目のかたちとか。なんかカラスみたいになっている。あと、顔面に沿わせるラインがどうしても出せなかった。横から見たところの写真を見れば分かるだろう。やはりこのへんはラバーの立体成形ものにはかなわない。というか、ラバーにはかなうはずもない。
このマスクはあくまでボンデージ、拘束感を味わうためのもので、ラバーをかぶった上から着用するのが望ましい。ただ、サイズが小さめなので、頭周56センチより大きい方のご入札はご遠慮ください。
ところで、試作品をつくるのにかかったコストだけれども、なんとふたつとも3万5000円もかかっている。高すぎるが、縫い目とかかなりしっかりしていて、簡単に壊れるものでもなく、そのへんは職人のたしかな腕による逸品だ。有名人なども多数、十万円以上払ってオーダーでパンツやジャケットをつくっている、知る人ぞ知る店だ。「あの、じつはSM用のマスクを作ってもらいたいんですが」と切り出した私の心境、分かるだろうか? いかついレザー職人のにいちゃん、見た目とは裏腹に、とても誠実で親切だった。
そんな思い出深い、そして世界でたったひとつしかないこのマスク。かぶったのは私、市川哲也ひとりで、サイズフィッティングや撮影のためのほんのわずかな時間だけ。保存状態も良好でカビもないです。
※本革製ボンデージマスク出品中。終了は16日(日)夜です。
市川哲也
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