男らしさってなんだろう

 私は、あるサイトの主宰者(当然女性だと思っていた)が男であることを先日聞きおよんで、けっこうビックリした(chikaさんのことではない、念のため)。写真とかは女性にしか見えない(女装しているようだ)。名前もけっこう中性的な、言われてみればどっちにでもとれる名前だった。で、男だと知ってどういうふうに思ったかというと、けっこうそれがひどい感想だといま思い返しても思う。「ヘエ、なんだ、ありがちなネカマか」こう、思ったのである。驚きのあまりその程度の感想しか出てこなかった自分が切ない。
 ところで私は男でーす。イヤ、意味はないです。最近思うんだけれど、なんで男かというと、この主宰者みたいに本当は女性としてサイトに登場してもよかった(それができるのがインターネットだ!)。でも、なんで男かというと、これまたひどい理由なんだけど、面倒くさかっただけ。もともと男だから男のままでたほうがラク、それだけである。うーむ、ひどい。書くとますますひどい。
 もっと、自分の気持ち(ラバーずくめの女装してみたい、というのがある)に素直に耳を傾けて、真摯に取り組むべきだとふと思った。そういう点では、この主宰者は、「エライ!」って思う。なんだ、ネカマじゃん、というのは簡単だ。しかし彼はそういう貧相な印象批評で済ますことはできない、意義のある活動をしていたのである。
 ネットだからできると書いたけれども、本当にそれは真実だと思う。ドメインを取って、それらしい写真を撮って、プロフィールとサイトの説明を書いて、アットいう間にそれはできあがる。ただ問題は継続がたいへんだということ。Alt-fetish.comにしてもこのブログにしても、継続することを主眼においている。フェチはその次にくる。
 話を戻すが、本当は男だったその主宰者のサイトをしみじみと思い出すと、確かになるほど、女というより男っぽい文章だなーと思う部分は多々ある。女性らしさ、男性らしさというのは、文章になるとけっこう出てくるものだと思った。
 私は性差って結構あると思う。たとえば、公園で昼間、紙飛行機を飛ばしている集団を見かけたが、全員が男であった。定年退職し暇をもてあましたオッサンから構成される地域の「紙飛行機を飛ばす」サークル。そういうところに入って、公園で昼間っから紙飛行機を飛ばすのは男以外にあり得ない(おば(あ)さんたちがそういうことをしていたらたぶんミステリーサークル並にコワい絵になると思う。オッサンたちだからまだ見られるのだ)。
 もちろん暇だから徒党を組むのはムシロ女性の特権である。しかし、内容が紙飛行機、という点がポイントだ。
 紙飛行機といっても、けっこう本格的なヤツ。ケント紙の厚紙を何重にもボンドで接着してつくるあれね。胴体の下にゼムクリップを伸ばして作ったフックが付いていて、割り箸と輪ゴムで作った「飛ばす道具」で空に向かっていきおいよく各自自作の紙飛行機を飛ばしているのである。みんな、無言で。
 そういう趣味をまじめにやるのって、やっぱり男だと思う。なんの足しにもならない、バカげたことに夢中になる。男、というよりむしろ歳をとった男の子というべきか。
 フェチもまた、なんの足しにもならないバカげた趣味のひとつだ。それを継続して続けるのはやはり男、なのである。
 公園で筆者の足下に落ちてきた紙飛行機の翼には、「田中」とシャチハタ印が押されていた。きっと会社員時代に使っていたシャチハタをもらって取っておいたのに違いない。上手に作れた紙飛行機が、仲間のそれと紛れても分かるように、判子を翼に押したのだろう。その時の得意げな、ワクワクする気持ち。果たして女に分かってもらえるだろうか? 無理だろう。
 男らしいな、「田中」さん。
 話がずれるが、女に分かりづらい男の性癖として、もうひとつ、たぶん、DIY。私、家にある古いダイニングテーブルにキャスターを付けたくて付けたくて仕方がなく、先日ついにホームセンターに行って妻に内緒でキャスターを買ってきた。千数百円のその買い物だが、レシートを見つけられ、妻に白眼視された。Alt-fetish.comのお客さんでラバーマスクの目の部分に小さな穴が沢山開いているタイプを所望する人がいたけれども、そういうのも女性にはなかなか支持されなさそうだ。私はでも、彼の気持ちはよく分かる。もちろん、BLACKSTYLEもそのへんは心得ていて、目の部分はそういう小さな穴の開いたもの、プラスチックレンズのもの、ミラーレンズのものとなんと3種類ものオプションが選べるのである。ケーヨーD2にいろいろな種類のキャスターが廉価で売られていることを知ったときの私の嬉しさと同じ嬉しさを、きっとこのお客さんも味わっていることだろう。
 はーあ、安藤美姫メダルなし、うーん世界の舞台は厳しい……。でも、日本のフィギュアの選手はずいぶんと美人になった。フィギュアといえば伊藤みどりだったからなあ。日本は財政赤字ではあるが経常黒字。つくったものがきちんと海外で評価され、外貨が入ってきているわけで、これからも安藤選手、に限らず世界で活躍するスポーツ選手のように世界で評価されるために地道な努力が欠かせないだろう。過酷で地味な努力の継続をできる民族、それが日本人の強さなのでは?
Text by Tetsuya Ichikawa
Alt-fetish.com
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