目標を紙に書きさえすればいいのか

 人生をうまく成功に導くためのガイド本は数多い。いわゆる自己啓発本というヤツだ。○○の法則とか、成功するための何とか術とか。共通しているのは、目標を紙に書けと指示すること。
 それってとても難しい。だからそれを実際にやり遂げた人が成功するのは、理にかなっている。最初の紙に書くということ自体難しいのに、それをこなして、そして成功するわけだから、もともと紙に書ける人というのは、成功する素質を持っている人というわけだ。
 筆者は、じつは昨年、行動予定表に具体的な目標を3つ書いた。そうしたら、たまたま3つとも実現できた。紙に書くという行動は、けっこう意味があるし、結果にも影響してくるんじゃないかと思っている。
 そもそも、目標や夢が思い浮かばなければ、紙には書けない。書くことがない。それに、完璧主義者や、神経質な人は、失敗したらどうしようと恐れたり、あるいは紙質やら書き方、書く時間などあれこれこだわって結局書けない。そして、そういう人たちってだいたい成功しないと思う。成功のためには、やはり最低限夢なり目標があって、拙速主義で大胆に行動できなければダメだと思う。夢を紙に書く時間?はあそんな暇はない、それくらい行動していないともはやダメだろう。
 この、紙に書くというのはやはり書くべき人が、書けてはじめて意味を持ってくるということも忘れてはならない。小学生が宇宙飛行士になると書いたところであまり意味はない。また余命いくばくもないような人がなにかを書いたところでこれも難しい。
 これは私の最近の非常に偏った考え方だから怒る人もいるかも知れないけれど、書くのはやはり最低限パソコンでないとダメ。いまの世の中で成功するにあたって、パソコンが使えないというのは、私に言わせると非常にリスクが高い。リスクが高いというのは成功しないという意味ではなく、成功するならものすごくするかも知れないが、しない場合は大きく凹むよということ。
 知人のライターが、パソコンを新調した。とたんに書く文章がよくなった。これは本当の話である。
 「だいたい、ダメな人ほど「将来は独立して小さな店を持ちたい」と夢見ているものです」(『反社会学講座』パオロ・マッツァリーノ)。
 紙に書くのもこの「ダメな人」と同じ結果に終わるケースがほとんどだと思う。成功するには相続・世襲など本人以外の、世間一般から見て不公平に有利な要因がなければ不可能だろう。そういう当たり前の事実を隠蔽し、「紙に書いて夢を実現」とかいっている輩が私はいちばん嫌いである。おまえは何を紙に書いているか教えろって言いたい。
Text by Tetsuya Ichikawa
Alt-fetish.com

目標を紙に書きさえすればいいのか” への1件のフィードバック

  1. わたしも何冊か読んだ、その手の本。確かに書いてあった、目標を紙に書いてみろ、と。そして毎日口にして唱えろと。どうも結果論としか思えなそうなんだけど。でもやってみようかな、わたしも。わたしは数年前から一つ目標がある。「働き始めて3年以内に月収40万」。今日から紙に書いて毎日唱える事にしてみる。3年後にまた報告します。(ちなみに元サラリーマンの友達には、そんなのサラリーマンやってたら全然普通じゃん、と言われて、意味なく失望した)
    ところで、「将来は独立して小さな店を持ちたい」の、どの単語がダメ人間を引き出すのだろうか。「将来」か、「小さな」か、「店」か。それともコンビネーションだろうか。

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