美容整形とフェティシズム

まずはご覧いただこう。このページである。私がもっとも驚いたのは、先日も日大経済学部で「復活ライブ」を行ったsuzuki amiだ。この人の整形前の写真、てっきりイチロー選手かと思った。さらに、口ひげをうっすらとたくわえるutada hikaru。最近全米デビューしたとのことだが、この風貌のままなら黒人歌手路線もいけたのではないかと思ってしまった。ほかにはyuuka、kago ai、hamasaki ayumiなどなど。ちなみにこのページは韓国の方のブログなので、OSによってはうざい表示が出る場合がある。まとめたページを見て改めて驚いておこう。このページを知ったのはひろぶろから。
 さて、このブログに戻ってきてくれた人のために、私の整形後の目をご覧いただこう。なーんて、うそです。残念ながら整形していません。まあ筆者はご覧の通りの目をしているわけであるが、いま有名人で活躍している「整形後」の目に決して引けを取らないくらいだと自負している。少なくとも、連中の「整形前」には、くらべものにならないほどきれいではないだろうか。私の場合、元はどうあれ、メーク技術の進展も寄与していることを強調したい。このような、中性的な目を男として生まれつき持った結果、化粧してラバーをひっかぶ(って○○す)るという怪趣味が身に付き、人格がゆがみ、性差も崩壊して、完全な変態になってしまった筆者であった。
 いろいろ、タレントの整形前後を見ていて思うのは、自分がもしいじればすごいことになるんじゃないかという妄想だ。高校時代に、サックスをくわえるためだとか言い訳して、本当は自意識過剰で恥ずかしかったがために、歯列矯正を中途でやめてしまったことがいまになって悔やまれてならない。さらに、もっと若いうちに外観をいじるような方向性も試しておくべきだったと32歳をまもなく迎えるきょうこのごろ。
 女の子を持つ親の立場で、ai kagoのケースを考えてみた。こんなに顔を変えてしまって、世に商品として差し出して、それってどうなんだろうとまずその親の倫理観の薄ら寒さを思った。個人としてのai kagoだって、ふつうに勉強すれば、あるいは研究者や、企業に勤めて普通に結婚したかも知れないわけである。それをこんなに顔を「改造」されてしまっては、もはや将来に向けて、通常の判断はできなくなる。はたして本人はそれ(いま歌手としてやっていて、選択肢も狭まった状況)でよかったのだろうか。通常法律では、未成年者は制限能力者として、親権者の同意のない法律行為は無効とされている。だから、ai kagoの場合もこのような人生を過ごしているのは完全に親権者たる親の意思による。
 もっとも、本人が小さい頃から人前でうたったり踊ったりするのが好きで仕方がないというのであれば、ai kagoの状況は本人の意思と合致していて問題はないのかも知れない。
 それどころか、一個の人間としての付加価値をこれだけ高められるわけだから、整形をするのはむしろ今後当たり前になってくるのかも知れない。女子アナウンサーが整形しているケースもこのページでは紹介されているが、あの苛烈な就職活動を乗り越えられるのだったら、あの就職活動の精神状態を思うと、整形への心理的ハザードはゼロに等しくなる。女性は化粧をする。化粧前、化粧後では、女性の顔はかなり変わってくる。
 整形をするのは化粧をする延長にある、そう考えてもおかしくない気がしてきた。整形前後のギャップについてああだこうだ騒ぐのだったら、すべての女の化粧前後の顔のギャップだって放置できなくなる。石原みたいな為政者がトチ狂って、すべての整形と化粧を条例で禁止したらたいへんだ。
 そうなったらどうなるか。恐ろしい結末である。子供が産まれなくなって、人類は滅亡するだろう。男が女に引かれるのは、とりあえずいま目の前にいるその人が美しく見えるからであるという面が少なからずある(もちろんそれ以外の面に引かれるケースも多いことはいうまでもない)。女性が整形や化粧をしなくなったら、世でメーンストリームを走る普通の男はもはや何に欲情すればいいというのだ。答えは、もう言うまでもない。Alt-fetish.comで買ったコスチュームを自分で着たその姿に欲情するほかないと言うことだ。
 幸い、Alt-fetish.comのアクセス数や売上高の推移を観察する限り、人類はまだそこまでいってはいない。統計上無視できる数といっていいほどに少ないアクセス数が示すのは、むしろまだ整形・化粧で変態した女性に男性が健全に反応しているというのがまだまだ世間一般での主流であるということだ。
Text by Tetsuya Ichikawa
Alt-fetish.com