自分の名前を、異性に呼ばれるときに、くん付で呼ばれるとドキッとしてしまうのは私だけ? 「ねえ、市川くんってさあ、マックも使えるんだよね?」といわれると、もう何でも言うことは聞きます、オオセツケくださいって気分になってしまう。
最初にくん付けで呼ばれてドキッとした思い出は、大学に合格してサークルに入ったときに、同学年の、現役合格の女の子(一浪した私よりも、年齢はひとつ下)から、「○○くん」と呼ばれたとき。自分よりも能力の高い女の人から、年齢上はこっちが上なのにくんと呼ばれることのちょっとビザールな感じがたまらない。
まあ前置きはそのくらいにして。
最近はひどい事件が多い。筆者は変態的な行為と、妻との正規の行為とで、出す機会が普通の人よりも多いかも知れない。だから基本的には常に遅漏気味だ。
特にパートナーがいる場面で遅漏だとまずいのであれこれ工夫を要するわけだが、最近のひどい事件を思い出すに付け、チンポが萎えて困る。
もっとも萎えたのは香田さん殺害映像。もちろんソースは2chだが私はとてもじゃないがそのURLをクリックできなかった(つまり見ていない)。中には映像を見て吐いた人もいるという。私なんて、その映像を見てすらいないのに、想像だけでもうチンポは当分起たなくなった。じつは当の2chすらみられなかったのだが、妻がどんなことが書いてあるかをチラチラ私に報告するのを聞いてブルーになった。声帯のほうから切ったみたいだとか。5インポ(1インポ=1日チンポが起たない)は食らった。
あと、別に事件というわけではないが、たまたまテレビでやっていた、水谷豊という定時制高校の先生のエピソードの数々には萎えた。
この先生は深夜の繁華街でたむろする未成年者に声をかけて、相談に乗ってあげたりする勝手「夜回り」で一躍有名になった。この人の講演を見ていて、話しにでてくる十代の少年少女たちがいかに悲惨だったか。筆舌に尽くしがたい。特にもっとも萎えたのは、小学校の頃から父親に暴行を受け続けてシンナー漬けになり精神病院で最後は自殺してしまった女の子のケース。ひどすぎる。何がひどいって、その女の子はたまたま鬼畜な親から生まれてしまったというだけなのに、自分は悪くないのに、メチャメチャ自分を苛んで自殺までしてしまう。そこまで精神的に追い込まれるほどの彼女の生きた日常は、どれほど凄惨だったか。それを想像しただけで3インポは間違いない(1インポ=1日チンポが起たない)。
水谷先生も私に言わせるとやや悪趣味だ。やっていることは深夜に外に出ているような、すなわち諸事情があって家に居場所を見いだせない最底辺の境遇の未成年から、ひどい話をたっぷりとしこたま仕入れてそれを本に書いたり講演でしゃべること。何もそんなコトしなくたっていいと思うが(彼自身はそうしないと寂しいからするとか自分で言っていた)。
萎える話を立て続けに聞くとすごく落ち込んで、チンポも起ちませんし、こうしたブログへの意見表明も疎となる、小心者の私でした。
男性はこういうふうに、露骨に残虐なことを見聞きするとたちまちその(生殖)機能がやられるとてもデリケートなイキモノだ。その点女性はどうなんだろう。
女性といえば、紳助が殴った吉本興業の社員。めちゃくちゃ怒っている。もともと態度がでかい、ある意味礼儀知らずな雰囲気は紳助の証言から伝わってくるが、暴力はイカンということを改めて世間に示すためにも、徹底的に闘って欲しい。暴力をふるうと、ふるった方は3日で忘れるが、ふるわれた被害者のほうは死ぬまで忘れない。これが暴力の深刻な性質である。暴力は人生を変えてしまうと思う。スーフリというワセダの強姦サークルの代表に14年の実刑判決が出たけれど、やはり人生を変えるほどの衝撃を与えた犯人への刑としては軽いと思う。
いずれにしてもさっきから私が萎える、萎えると言っている話は全部人間の暴力に関わる話だ。暴力は本当に肯定的な生の快楽に対しネガティブに作用すると思う。有名な哲学者アドルノの言葉。
「アウシュビッツ以後は、このわれわれの生存が肯定的なものであるといういかなる主張も単なるおしゃべりに見え、そうした主張は犠牲者たちに対する不当な行為であるという抵抗感が湧きおこらざるを得ない」
これだからブログへのエントリーも萎える。つまり、アドルノはアウシュビッツでのユダヤ人虐待、ホロコースト(大量虐殺)という史上空前の暴力行為が現に存在した現代にあっては、もはや「楽しくやろうよ」とか「気持ちいいことをしたい」とかはもちろん「がんばろう」とか、そういうのも軽薄で無意味であり、そればかりか死んだユダヤ人に失礼だというわけだ。たしかにそうだろう。暴力を受けた人間の記憶も、死んでしまえば失われてしまう。一生涯忘れ得ぬ記憶すら死は奪う。それを代わりに覚えて次世代へつなげていく、それ以外に現代人が有為に生きる道はない、こうアドルノは言っている。暗いし、少なくとも萎える話しだ。100インポくらい?
Text by Tetsuya Ichikawa
Alt-fetish.com