金融機関とか、IT系企業ってどうしてああもアーロンチェアがゴロゴロしているんでしょうか? それにその建物の立派なこと。もうジロジロ見ちゃいます。もうお上りさんみたいに。また什器も高いものばかり。
金融業界のトップクラスの会社はすごいお金あるんだなーって実感する(もちろん、受付嬢とかもよく教育されているし、掃除の人が常にいてどっかしらきれいにしているから建物はピカピカ)。
で、連中は何で儲けているか。誰からお金を巻き上げているか。推測するに、彼らが躍起になって売っているいわゆる「リスク商品」というヤツである。
リスク商品でもっとも有名なのは投資信託および外貨預金である。投信は、売ったときの手数料、持っていることの手数料、儲かった場合の手数料と、手数料がバンバン儲かる。商品といったって、とっくに償却が済んでいるシステムの端末へ、ファンドマネージャーがアーロンチェアに座ってチョチョンとテンキーで数字を打ち込んでエンターキーを押してハイおしまいである。損しても全部投資家の責任になるからなんにも痛くない。手数料で存しようがしまいが儲かる。それが今も昔も変わらない、投資信託の仕組みだ。よくノーロードファンドとかいって、手数料無料の商品のように見えるものがあるが、販売手数料がかからないだけで、信託報酬はちゃんと取られる。
外貨建て投信なんて、為替手数料と為替リスクに、投信の手数料とリスクが乗っかるのだからもうたまらん。おまけに税金だってがっぽり取られる。もう儲かる方が奇跡に近い。
また、一部事情通に人気のヘッジファンド。苦労して外国籍のものを買っても、これまた手数料がすごい。儲かったものの2割とか取られる。
おいしい商品てほんとないっすよ。金融機関で金融商品を買う以上は、まず投資家じゃなくて、金融機関がしっかり儲かったあとで、そのカスみたいなのを、もらえるだけ。しかもカスだから、中身は損なんだよ。それが実態。
しかし、うちら貧乏人からいくら搾取しようにも額がちっちゃくて話にならない。連中は、世間の超マイノリティー、富裕層からがっぽり抜いている。ただ資産の運用の提案をするだけで百万円とか平気で抜く。そして、富裕層は平気で払う。払うことが彼らの歓びだからね(しかも払うったって、彼らの資産規模から見れば、金融機関へ払う手数料なんてただみたいに安く見える)。
そういうわけで、金融機関のビルは立派だし、オフィスにはアーロンチェアがゴロゴロ、社員の腕時計は数十万円のものばかりとなる。
相対するこちらは悲惨だよ。服は全部ユニクロ(それもセールで買う)、時計は新宿西口のヨドバシカメラで、露天に吊られている4000円の腕時計、靴はヒラキのこれまた3000円の靴。しかしある意味これってリアルだと思う、リアルというのは、要するに余計なものがなんにも付いていない、素っていう意味で。
それに比べると、金融機関の商品とか、流す情報の胡散臭いことといったらない。一見すごくまともに見えて、いかにも頭の良さそーなヒトが書いたように見える。しかしこれがどうインチキかというと、だいたい「見通し」なんだけど、それがまた当たった試しがない。
金持ちと金融機関の蜜月っていつまで続くのかしら。私はネット証券の手数料激安時代で崩壊すると思ったが、スーパー富裕層はそんなの関係ない。だって保有株が自社株だったりするんだもん。ご本尊状態で後生大事にする。公開を手伝ったり運用を世話する金融機関との付き合いは、もはやカネじゃない。血縁みたいになってくる。そういうところからあのビルとか、アーロンチェアっていうのは出てくるんだね。
まあこれを読んでいるみなさんのほとんどは、そんなとてつもない金持ちなんていやしないに違いない。そんな私らにとって、いちばんいい運用商品はなんだと思う? それは、いまこれを読んでいるあなたさまのめん玉の後ろに控える、重さ1キロ強のタンパク質の固まり、脳味噌だよ。これに投資して、勉強して、なにかキャリアアップして働く。それがいちばん。カネは下手に運用しちゃ絶対にダメだと思う。特に外貨預金。去年なんてひどい目にあったヒト多いはず。いきなり年末に100円に近づいてねー。金利が雀の涙だとか、定期預金じゃ面白くないとかいっているから変なのに手を出して損をする。金利なんて、これだけ物価が安いんだから、雀の涙なのは当たり前だよ。
ちなみにもっぱら庶民は、余裕資金でいま全部国債買っているみたいだ。個人向け国債。変動金利だから確かにこれからおいしいかもしれないが、10年満期であることをお忘れなく。それまでに死ぬかも知れないし地震が来るかも知れないっちゅうのに。もっと言えば、突然クルマが欲しくなるかも知れないぞ。筆者みたいに。かといって、途中換金すると損する(こともある)。目も当てられない。
あと、人気なのはグロソブとかいって、グローバルソリブンという国際投信顧問の定期分配型ファンド。これは利回りもキャピタルゲインもかなりいい。税金やら手数料でもって行かれるにしても、また定期分配だからせっかくの複利のメリットを失うにしても、ほかの金融商品と比べると安定性と収益性は高いことから人気だ。世界中のまともな国の債券で運用しているからそりゃいいパフォーマンスになるに決まってる。これはまあめずらしく買ってもいいカナって思った。自分で増やすのが面倒くさい、かといって、長期にわたって普通預金においておくのも惜しいという超余裕資金でね。
超余裕資金運用ネタで言うと、100円近辺で狙う米ドル外貨預金(ネットバンクオンリー)、個別株(お勉強と趣味、余興ということで)。外貨預金は、外貨の巨大なリズムをとらえることさえできれば(忍耐力と洞察力必要)、けっこう固いし、個別株は取るリスクが大きいだけにリターンもでかく、手数料(ネット銀行なら)ほかの金融商品に比べると相当安い。あと税金面でも優遇されている。
ペイオフ対策で言うと、決済性預金とか郵便局の郵便振替に入れとけばいい。そうすりゃペイオフだって怖くないぞ。いちばんダメなのは投資信託。
ちなみに、カネがたくさんあって(金融資産だけで一億円程度)困っちゃっているヒトへ。証券会社(それも大手3社のうちどれか)へいってご覧。よーく調べると、本当においしい商品というのが、出てきている。もちろんおおっぴらに宣伝してませんが。3社のうちどれかはいえません。自分で調べてね。ヒントは、「投資信託の次をいくもの」。
Text by Tetsuya Ichikawa
Alt-fetish.com