台風の影響か、東京上空の空は低いうなりを上げている。なま暖かい風が休むことなく吹き続けている。なにか恐ろしいことがやってくる前兆のようである。
今ヤフオクに出品しているラバーグッズの数々。どれも私たちの「秘蔵っ子」とも呼べる逸品ぞろいである。説明ページには書かなかった思い出を語りたい。
セイラーショーツ。このアイテムのインパクトはかなりなものである。ショーツにしては厚い生地、0.6mm。ボタンで留め、ベルトも通せる。しっかりした造り、そして期待を裏切らないはき心地。大きめのファスナーはグローブをはめた手でも容易に扱える。長年私たち日本の男の子は、「社会の窓」といえば、中央を一本に走るYKKのファスナーしか知らなかった。しかしこのヨーロッパから来た「欧州のあらぶる海の男達」のズボンは違った。二本のファスナーを開けると、そこからは狭苦しいファスナーとは違う世界が大きく開け、喜ぶ自分自身が顔を出すのである。俺がはきたかったのはこういうパンツだよ───自分よりも先に自分のチンポが喜ぶ、そういうパンツである。ただし、ベロの部分が邪魔になって、出したチンポがやや上向きになってしまうのはどうなのだろう。上向きに出してすることといったら……。排尿とは別の意図を感じる妖しいパンツだ。
ウエストベルトやトップハーネスは、フルボディーハーネスによって最初から淘汰されていた。フルボディーハーネスがあれば、要らないのである。これは完全なる失敗である。しかし、トップハーネスはコルセットと合わせれば何とかかたちになるのではないだろうか?
コルセット、このデマスクのコルセットは本丸かも知れない。キャットスーツを買った人なら誰でも直面する、物足りなさを、このコルセットが解決する。キャットスーツ姿に「平原」は禁物だ。平原があるともじもじくんのように見え、ビザール度が下がってしまう。腹は、その平原が生まれる最大の場所である。そこにこのコルセットを植えてしまうのである。金属やラバーで描かれる複雑な線や造型は、平原を肥沃なビザールの森へと変える。コルセットはデマスクのブランドタグがくっついている。このデマスクというオランダ発の世界的フェティッシュコスチュームブランドはじつはくせ者だ。伝票類や日頃のやりとりからそれなりのIT化が図られているのだろうが、異様に時間がかかるのである。季節が変わるほどの時を経て日本にやってくるデマスクのコルセットが破格の安値で今競り落とされようとしている。
本稿の最後を飾るのはいうまでもない、デマスクの錨打ちラバーマスク、ミラーレンズ仕様のカスタム品。デマスクのカタログにでていて、どうしても日本で販売してみたくて取り寄せた。しかしこのマスクの最大の欠点は、かぶった姿が見にくいという点だ。もちろんミラーになった目のレンズから外を見ることはできるが、目の悪い人は鏡に映った自分の姿をおぼろげにしか見られないだろう。目の穴自体も大きくはない。もちろん、品としては確かなものである。何十個も穿たれた鋲が、今までにはなかった攻撃的な変態性を呼び覚ます。もはやこれさえかぶればなんでもできる、そういう変身を成し遂げられるマスクである。
市川哲也
Alt-fetish.com
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