本コンテンツの画像付き記事はPCより、以下URLでご覧ください
http://www.alt-fetish.com/cnts/inuiharuka/index.htm
●ビザールコミックの巨匠乾はるかとは?
乾はるか先生をご存じの方いらっしゃいますか。先生を知るラバーフェティシストにとって、乾先生の描いた『お元気クリニック』のラバーフェチの話は、強烈な刷り込み体験となり、フェティッシュライフを決定づけるまさしく現代の教典となっています。
『お元気クリニック』はコミックとして全部で9巻が刊行されています。1巻の初版は昭和62年10月15日。この巻は、版を重ね、手元の私の所蔵は24版です(平成7年7月20日)。昭和62年は1987年で、今(執筆時点)から20年前ということになります。
今から20年前といえば、もちろん地球ができて50億年。人類が登場して1万年。そうした数字からみれば、本当についさっきと同然ですけれども、私が思春期真っ盛りのときにこれほどラバーフェティシズムについての考察が重ねられていたというのは驚き以外のなにものでもありません。ラバーフェチはもちろんのこと、レザーフェチ、エナメルフェチ、ブーツフェチ、革フェチなど私たちのカテゴリーのすべてが網羅されています。漫画のストーリーは、「お元気クリニック」というクリニックに、様々な性的悩みをかかえた珍患者がやってきて、ドクターとナースがあれこれ治療を施すというもの。インポの男性にはラバースーツを着せてセックスさせたり、革フェチにはナースが全身革キャットスーツを着てプレイしたりと、妄想百花繚乱です。
●『お元気クリニック』研究
具体的にどのようにビザールなのか。乾ワールドのすばらしいフェティッシュワールドを、代表作『お元気クリニック』からいくつか紹介してみましょう。作品紹介のために図版を使う許諾を、ALT-FETISH.comでは先生本人から得ています。
vol.1 カルテ.13「エキサイティング・ラバーズ!!」やってきた美女は、毛皮の下に全身ラバーキャットスーツをまとっています。「全身を覆うラバーの感触ったら、たまんなーい」ラバーフェチを「RUBBERつまりゴムの匂いや感触に感じてしまう異常性欲」と定義。「水に濡れたゴムはその光沢を増し、フェティシストの肉体をいっそうきわだたせる。これにより興奮するのは、ラバーフェチが自己愛(ナルシシズム)の一種だから」
vol.3 カルテ.46「人妻は露出狂!!」扉ページのイラストも非常に魅力的。このカットは、レザーのボディスーツと思われる。乾先生はラバーは粉を吹いているというイメージが強く、光沢感の描写はレザーやエナメルにおいてむしろ最高位に発揮される。
vol.4 カルテ.55「レザー・コンプレックス!!」革フェチの話ももちろんカバー。50万円もする特注のレザーキャットスーツを、ナースのルコ(クリニックのナース)に着せようとしていた御毛栗(クリニックの院長で、主人公)。「毎年冬が近づくにつれ、女性たちはピチッとした牛革のパンツやスカートに身を包みだします。動くために変化していくあのヌメッとしたイヤラシイ光沢が体の線を強調するのです。あれはもはや、衣服ではありません!!第二の皮膚です!!」スーツを着たルコをみたレザーフェチの患者は言う。「映画「あの胸にもう一度」のマリアンヌ・フェイスフルのように美しい……」「あの映画にでてきた黒革のライダースーツのようにこの下には何もつけてないのよ」
治療のため、ルコは御毛栗の命により、患者に抱かれる。もちろんキャットスーツを着たまま。グローブ、ブーツもつけたままである。「ほーら、ボディスーツを脱がずにSEXできるようになっているの!!」
vol.7 目次イラスト 全身をレザーのライダースーツで覆ったルコ。ヘルメットを持っているところもかなりくる。ちなみに反対側の「禁断のセンターライン!?」の足ではなく、レザースーツ姿のルコにピンとくるのがALT-FETISH.comとしては「正解」
vol.7 カルテ.98「今日のマグロはお元気かい!?」インポの治療に来た患者にラバーキャットスーツを着せて「治療」。ルコはラバーディルドー付きのラバーキャットスーツ姿でインポ患者に奉仕させる。「あああん、それにしてもこのゴムのなめらかな肌触り。そしてこの甘美な匂い……。ラバーSEXってなんてイヤラシイんでしょう」
vol.8 カルテ.106「オナニーマンのSM入門」妻の体に飽きてオナニーばかりしている患者がやってくる。「ふたりの距離を埋められれば治療可能だ、ルコくん、集中治療用のラバースーツを!」セックスレス夫婦にラバーキャットスーツを着せる御毛栗。「一人ずつくちゅくちゅしこしこしててもつまらんじゃろうが。ラバーコスチュームは一人で着るより二人で着るほうが気持ちがいいんじゃ」ペタ、リチュ、ペタ、ペクチュ「イヤラシイ音をたてながら体をこすり合うんじゃ」
vol.9 カルテ.125「究極のビザールファッション!?」ルコの母親はファッションデザイナー。単なるビザールファッションだとインパクトに欠けると、御毛栗に知恵を拝借にくる。御毛栗とひらめいたのは、エイズをふせぐために、全身コンドームというアイディア。それにしてもそのストーリーにこのイラスト。必要かどうかではなく、描きたいから描く、あふれ出る才能、妄想、ビザールクリエイター乾先生の真骨頂がここにある。
vol.9 カルテ.126「宇宙戦艦ハイヒール・ブーツ!?」扉絵ひとつとっても保存版にしたくなる、力の入った作品。SFや潜水服系のビザールからもヒントを得て、乾テイストにスタイリッシュに仕上げている。
(C)乾はるか Haruka Inui/エアインテーク
以上みてきた読者諸兄にはお気づきのことでしょう。ギャグマンガのジャンルで、これほどまでにマニアックなビザールテイストを作品に盛り込み続けた、ただ一人の日本の漫画家。それが乾はるか先生だということを。初版から20年という歳月を経た今もなお、先生が漫画を通じて伝えてくれたメッセージ、ビザールのすばらしさは、私たちの胸を打ちます。
●乾はるか先生最新情報
コミケで、ラバーフェチのRub武蔵野君が一生懸命、レザーやラバーコスチュームの描写がうまいサークルを発掘し、甲斐甲斐しく報告してくれていましたが、この乾先生の右に出る作家はいまだ出ていないのが現状です。私たちとぴったり合致する妄想の方向性、そしてその妄想の表現力。この二つが乾先生のなかで奇跡的な合一を果たしていいるのです。
乾先生の今年の活動には目を見張るものがあります。まず、SMコンテンツメーカーの老舗「北川プロ」から、乾先生原作・監督作品が2本リリースされました。『黒エナメルの女王』と、『黒エナメルの女王VS黒パンストの女王』です。これら2作品には、現役のミストレスが、黒光りするキャットスーツを着て出演しています。ストーリーや、ミストレスの振る舞いは、私たちキャットスーツフェチがまさに、長い間妄想をはぐくんできたいやらしさに満ちあふれたすばらしいものです。2作品とも、辰神麗子さんが、「自前」のキャットスーツ(ALT-FETISH.comで販売しているポリウレタンコーティングナイロン素材のキャットスーツ)を着たまま、奴隷にムチを振り下ろしたり、股間をまさぐりながらセルフボンデージで興奮したりするシーンがあります。後者には、山咲美花さんとのレズの絡みもあり、もちろんキャットスーツを着たまま、ペニパンをつけて、かなり興奮します。キャットスーツを着たままエロティックに体を動かしたり、レズシーンがあるのも、いうまでもなく乾先生が監督した作品だからです。このキャットスーツの物語設定における位置づけ、描写は、乾先生をおいてほかのいかなる監督も不可能でしょう。この2作品のために、先生は漫画と同じクォリティの絵コンテを入念に準しました。現場の俳優、カメラマン、スタッフは、この精巧かつ詳細に描かれた絵コンテを忠実に再現することに集中できました。すべての関係者が、プロフェッショナルとして自らの持つ才能を最大限に発揮できたのです。
ちなみに、『黒エナメルの女王』と、『黒エナメルの女王VS黒パンストの女王』の絵コンテはエフエックスという出版社から出ている『女豹のイブ』(乾はるか著)にすべて収録されています。ALT-FETISH.comでは現在、北川プロのDVD『黒エナメルの女王』『黒エナメルの女王VS黒パンストの女王』、そしてこの2作品の絵コンテ完全収録のエフエックスのコミック『女豹のイブ』を特別に皆様にご提供する予定です。
さらに今年、乾先生の『お元気クリニック』愛蔵版がエフエックスから出版される予定です。秋田書店の初版が入手困難になった今、すべてのラバーフェティシストの「テキスト」として、この愛蔵版が必携となるのはいうまでもありません。ALT-FETISH.comでは、いち早くこの愛蔵版が出版された暁には、サイトでの取り扱いを始められるよう、現在版元エフエックスと交渉しています。ご期待ください。
【乾先生関連出版物販売情報】
各タイトルリンク先のページより、ALT-FETISH.comの通常在庫品としてお買い求めになれます。なお、ALT-FETISH.comでのお買い物は、別途送料が900円かかります。
『黒エナメルの女王』DVD 7,140円(税抜本体価格6,800円)
『黒エナメルの女王VS黒パンストの女王』DVD 8,820円(税抜本体価格8,400円)
『女豹のイブ(1)』コミック単行本 2,100円(税抜本体価格2,000円)
【SMに興味がなかった私】私はもとよりSMとは直接関係なく、ラバーキャットスーツが大好きでした。ラバーフェティシストを自認するみなさんも、自分で着たり、人に着せたり。着たその格好で、何をするかももちろん人それぞれ、好みもあることでしょう。なかにはSMをする人もいるかもしれませんが、SMカテゴリーはそれ自体、強い力を持つ独立した排他的キラーコンテンツなので、ラバーはほとんどのSM愛好家にとって必ずしもマストではありません(むしろ、SMは好きだがラバーは知らないケースも多いと拝察されます)。ラバーフェティシストの私は、別段SMにはさほど関心がありませんでした。ところがどうしたことでしょうか。この北川プロの乾作品を見て、キャットスーツを着たまま、キャットスーツ姿のミストレスに鞭打たれる自分を想像し、たまらなく興奮を来しました。キャットスーツ姿の女性がムチを振り下ろす所作には、SM好きかどうかは別にして、普遍的な美しさがあります。ウルトラマンやハリウッド映画、ブーツ美女をみて、私が幼少期に重度のラバーフェチになったきっかけを作った刷り込み体験と同じ事態が、この北川プロの作品によって起こりました。乾先生の作品には、いうまでもなく「物語」があります。この物語によって醸し出される力、伝わってくるもの、それこそフェティッシュそのものといって良いでしょう。
市川哲也/ALT-FETISH.com
ALT-FETISH.comはラバーキャットスーツ、ラバーマスク、ラバーグローブなどのコスチュームや、ラバー関連の海外書籍・雑誌を販売するラバーフェティシストのためのオンラインセレクトショップです。
ALT-FETISH.com
http://www.alt-fetish.com/
info@alt-fetish.com
(C)ALT-FETISH.com