うわ、二階堂奥歯の八本脚の蝶が本に……

 変態、市川哲也が書いている、ALT-FETISH.comプレゼンツフェティッシュジャーナル。
 変態だといろいろな人とご縁が生まれるもの。中でもひときわ筆者の印象に残っているのが二階堂奥歯だ。何度過去のブログでも触れたことがあるこの人は、オンライン書店ビーケーワンのここを読んでいたければ分かる。
 ウェブ上に日記を残した女性編集者で、25歳で自死する直前まで日記を書き続けた。ちなみに彼女は『世紀末フェティッシュ読本』(オークラ出版)の読者でもあった。まあこんな堕本のことは置いておくとして。とにかく彼女は我らが変態チームの名誉ある一員だったのだ。
 彼女のその博識で、そして最後は悲しく泣ける、慟哭してしまうほど泣けるウェブ日記が本になった。
 は、ポプラ社の斉藤さんという、彼女と同じ大学、学年だった女性編集者の仕事による。私も二階堂さんも(彼女の恋人だった人も)、斉藤さんも、みんな同じ一文の哲学科だった。そこには不安定でちょっとキてる人がいることも珍しくないことを、知っている。
 この人の容姿や話したことのない人は、この本を読んでもピンと来ないかもしれない。しかし私は2度会って話したことがあるから、それも、亡くなる半年前にね、だからかなり気になる。奥歯さんのルックスは、強いていうならばホソカワフミエのような。そういって故人のご冥福をお祈りします。
 世の中いろんな人がいる、それは自明なんだけれど、ときとして忘れがちだ。私たちはラバーを着て気持ちよさを追求する変態だけれど、そんな変態的所作がかわいく思えるほどすごいのが二階堂さん。どうしてそこまで変態だったのか。彼女の人生の濃さの原因ならびに自死は永遠に謎であるが、私は密かに、寝不足と読書のしすぎが原因ではないかと思っている。
 やはり寝不足はよくない。
 あーあ、ひとつ残念なことが。私を寝不足にする大好きなラジオ番組、J-Waveのゴールデンタイムが今月で終わってしまう。この番組はほんと、ゲラゲラに笑える。頭の中が空っぽになって、すっきりする。くだらないものへの感受性があればこの有限で過酷な人生を楽天的にやり過ごせる。
 人生は有限なんだということを知らせてくれるのが、人の死や近しい人の罹病。有限の生をテーマに私は大学で4年哲学を勉強してきたはずだった。しかし哲学は、奥歯サンにも私にも何ら効かなかった。有限の人生は本当につらい、真正面に受け止めると。だから、私はゴムを着る。なぜってゴムはビヨーンって、伸びるから。
 ビヨーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん。……パチン。あ、切れちゃった。そんなときはこれ。売れてます。
※奥歯さんへ。販促に使ってごめん。でも、本は買いました。
市川哲也
ALT-FETISH.com
info@alt-fetish.com