私はオンラインリテーラー(リアル店舗をもたない、インターネット専業店舗)のAlt-fetish.comでお買いあげいただいているお客様たちは、たいへんモラルもしっかりしていて、礼儀正しいジェントルマンばかりだと思っている。このことは非常に重要だ。商売人の世界で「客種」という言葉がある。キャクダネと読む。客種がいいというのはまさにAlt-fetish.comのためにあるような言葉だ。
ラバーが好きだと表明しても、貧乏(時間貧乏も含む)だったり自分の生活がうまく確立されていない人は、ラバーの趣味など手も足も出ないのである。私はAlt-fetish.comが、今後、間口を広めて、より多くの人たちにラバーを買ってもらいたいなどとは毛頭思っていない。客種が悪くなったらもはやこの商売を続けるモティベーションを維持できない気がする。ラバリストのモラルについて、興味深いインタビュー記事を、福岡のRCJのサイトのこのページで読むことができる。フェティッシュプレイを志す人へのメッセージを、と訊かれたRCJの主宰者はこう答えている。
「若い方、特に、大学を出られて、社会にも馴染んだかなというくらいの年頃の方たちに、一般論として申し上げますが、まずご自分の生活を確立していただきたいと、ゴムはそれからでもいいんじゃないでしょうかと申し上げたいですね。なにかにつけ、いや金がないから、金がないからといわれる方が多いんですけど、金がないならそういうことは考えなさんなと。よく、電話で、ゴムフェチですという人がいますが、よく聞くと、いや、ゴムは何も持っていませんという。私個人の考え方ですが、フェチズムというのは、ものを持つということだと思うんです。ものを持たないフェチズムというのはあり得ないと思うんです。そのためには、自分の生活を確立することですね。僕らも好きでやってますのでいろいろなお手伝いはしますが、貸し出したサンプルが返ってこないとか、後払いがきちんと払われないとか、もうひとつはっきり申し上げれば、「どこかにゴムの好きな女性はいませんか」という方もいる。そういう方には、恋人に、ゴムが好きになるように、ご自分でなさったらどうですかといいます。ご自分の足下からまず固められた方がいいと思います。」
私はRCJさんのこの言葉を、97年当時、まさに「大学を出て間もない、金がないとすぐ言う若い方」として拝聴し、内心忸怩たる思いがしたものだ。
趣味というのはカルチャーであって、生活必需品にはない、上乗せ分の価値を所有することにその歓びの本質がある。上乗せされた価値を読みとる作法が文化なのだ。クルマだってそうだろう。別に動くのなら軽自動車で十分だが、トヨタのレクサスという世界もウケにうけている。トヨタはレクサスを「カルチャー」にするために、一店舗100億円以上かけて販売店網を築いている。そこに来るお客をリテーラーの側が選ぶためには必要な投資、と判断してのことだろう。
ラバーフェティシズムという趣味を楽しむための余裕がないひとは、ぜひ、自分の収入を上げるための努力を今すぐにし始めたほうがいい。数年かかるかも知れないが、その数年後に、うちのサイトを見て、なんだ安いものだと思って手に入れたラバーの嬉しさは、何ものにも変えがたい人生の滋養となることだろう。Alt-fetish.comはそのときが来るまでかわることなく待ち続けている。
RCJさんにインタビューした張本人、市川哲也
Alt-fetish.com
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