個人輸入ワンポイントアドバイス

 ALT-FETISH.comがやってる、フェティッシュジャーナル。まず最初の話題はAAA(トリプル・エー)という「パフォーマンス集団」がエイベックスから出ている、というの。格好に注目したい。PVC系のエナメル素材を多用した、セクシーファイターといった出で立ちである。20歳前後の美男美女にこのようなフェチなファッションをさせてうたって踊らせるとどのくらい儲かるのか。いいなー、エイベックス。あざとくて。
 次にスピードスケート女子の岡崎選手。テレビで見たら、肩とかお尻にPVC素材を使ったスーツを着ていて驚いた。スピードスケートの格好がいちばんフェチ的にはキていると思ったが、素材がマット(つや消し)だったのでいま一つだった。しかしここに来てついにPVC素材が使われるようになったというわけ。これでまたこっち系(全身ピッタリツルピカコスチュームフェチ)のフェチが増えてくれることを願うばかりである。
 本題だが今日は個人輸入。雑誌やビデオ、DVDの輸入で注意したいのが、無修正のものが混じっていたときの場合。輸入禁制品に該当するので税関で引っかかり、権利放棄か返送かを求められる。税関に訊いたところほとんどの個人輸入者は権利放棄を選ぶそうだ。とくに近年の映像メディアはほとんどDVDになっている。DVDは修正ができないからそのまま国内に輸入することは難しい。以前のVHS時代なら、税関で修正すれば通関できた。雑誌については税関に行ってヤスリでこすって消せばOK、ただし、あまりに量が多い場合は税関に嫌がられる。
 通関物流が近年増加の一途をたどっており、麻薬や偽札、違法コピー品など、犯罪性の高いものが増えている。そうしたなかで、うちらのようにメインがフェチで、ちょびっと無修正が混じっている程度のものが果たしてどのくらい禁制品となるのか、今後の政府の対応が気になるところだ。もちろん法律は法律なので禁制品該当の場合は現行法に基づく処分を受けることになる。ちなみにALT-FETISH.comで販売しているすべてのDVD、雑誌は修正済みの日本市場向けになっている。マーキスの最近のDVDはほとんど禁制該当する。私は試したことがないから知らないけれども、DVD一枚でも引っかかるのだろうか?(そこまで全部税関は見られるんだろうか?)疑問だ。あと、ビデオの映像方式の違いにも注意がいる。日本はNTSC方式で、ヨーロッパのPALとは異なるので、買うときに注意したい。PALだと日本のテレビで見ることができない。
 グッズやコスチュームの場合はショップの信用性がカギとなる。コクーン(イギリス)、BLACKSTYLE(ドイツ)、マーキス(ドイツ)、デマスク(オランダ)など数々の海外ラバーサイトと取引してきたが、一番重要なのは何かあったときの交渉のツールをこちら側で用意しておくことだろう。ツールといっても要するに英語力だが(決済はクレジットカードなのでこれもツールといえばツール)。ここでいう英語力は、なにもTOEICで何点だとかそういうのじゃない。何かあったときになんとか事態を打開するのに最低限の英語の文例を本か何かで見て使えればそれでよい。返ってきた英語を読んで理解できないとあれだけれども。それもまあ辞書があれば分かる話だ。
 デマスクなど、発注から到着まで数ヶ月かかることはめずらしくなく、この私も最初はデマスクなんてオランダだしやっぱり国ごとインチキだったんだと思ったほどだ。しかしそれは完全に誤りだった。忘れた頃に届いた物の確かさ、なぜか何枚も送られてくるインヴォイスやタームスなどを見るとかなりしっかりしている。デマスクは非常にしっかりしたメーカーである。
 これ以外の業者についてはラバーコスチュームに限っていうと知らない。知らないものにあれこれ意見することはできないから、自分で試してひとつひとつ信用を付与していくほかはないだろう。もちろんドメインとかクレジットカード決済の方法など、ネットで買い物する場合の最低限のおさえはあるにせよ、だ。マーキスなど対応する従業員によってはひどいミスをする。ナンバーワンブランドのマーキスでさえこうである。たまたま対応した従業員が外れだとひどい目に逢う。マーキスはコンテンツ制作に注力するあまり、ロジスティックやリテールはないがしろにされている、そういう気がしてならない。
 コンテンツ制作と流通、これは大きなテーマだ。楽天やライブドアがテレビ局を買ったのも富の川上から川下まで全部押さえたいという意図からだろう。しかし私が思うに、コンテンツ制作は制作、流通は流通とそれぞれ分けたほうがいいと思う。それぞれに、高度な専門性の蓄積があり、両方をこなすというのにはひとつの法人なり個人には無理なんじゃないか。コンテンツ制作者はたぶん流通関係者をバカにしている。キリスト教の創造説に由来している変な優越感を持っているに違いない。一方、流通関係のプロは、コンテンツ制作者を宇宙人か何かのように思っており、できればなるべく口は利きたくないと思っている。そんなだから、いくら経営者が両者を一緒にやろうとしても、現場にあるこの本質的な溝により、うまくいかない。マーキスのピーター社長はそのことを分かっていない。流通部門の長は自分の妻をプロデューサーと兼務させた上に、適当なパートタイマーを流通部門で遣い続けているのがその証拠だ。
 流通において非常に長けているのがBLACKSTYLEだと思う。BLACKSTYLEのオペレーションは素晴らしいと思う。よいものを作っていて、なおかつ流通のオペレーションも非常に優れているラバー工房がいちばん私的には好きだしかっこいいと思う。見習いたい。流通のオペレーションがダメなところというのはマーキスが典型だが、もし経営者が退いたときにどうなるんだろう。コンテンツは社長のピーターが元気なうちはいいけれども、もしピーターが退いたら誰かいるのだろうか? オペレーションは誰も育っていない。心配だ。ピーターさんちはまだ小学校くらいの娘がひとりしかいないから、後継者はどうなるのか。
 みなさんもぜひ、得意な先を開拓してみて欲しい。何やるにしてもいまの世の中自己責任。その自己を鍛える意味でも挑戦する価値はあろう。せっかくユニークなセクシュアリティーを持って生まれたんだから、袖ふり合うも多生の縁かもしれないし、このジャンルで経験を積むことは決して悪いことではない気がする。
市川哲也
ALT-FETISH.com
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