公務員が受動喫煙でひどい目にあったとして、勤務先の区(特別地方公共団体の特別区)を訴え、東京地裁は、区に、慰謝料5万円を支払うように命じる判決を下した。
昔筆者が勤めていた会社はマスコミに属する業種だったため、当然のように社内喫煙がまかり通っており、ひどい目にあった。筆者はタバコを吸わない。
役員が、出先から帰ってきてうまそうに紫煙をくゆらす。煙が、末端事務作業に忙殺される私の目や喉を容赦なく攻撃する。
もちろん止めてくれとも言えず、まさに人権侵害禍だと思って苦痛だった。
じつはこういう筆者も昔は喫煙者だった。学生時代に女友達がもってきたタバコを吸って好きになった。しかし、ある時から吸うと胸が痛くなるという意味不明の現象に悩むようになり、吸えなくなってしまったのである。そんな、肺の痛みが起こらなければ、自分に甘い筆者のことである。今でも吸っていたことは間違いない。
筆者の場合は親しい友人知人に喫煙者が多い。しかし親族に喫煙者はほとんどいない。喫煙、非喫煙を理由に人を判断するようなことは一切するつもりはない。むしろ喫煙者の居心地が、今日どんどん悪くなっている気がしている。
公共施設や飲食店などでの受動喫煙を巡っては、管理者が防止措置をとるよう定めた「健康増進法」が昨年5月に施行され、官庁や自治体が喫煙室以外を禁煙としたり、首都圏の私鉄各社が駅構内を全面禁煙にしたりしている。
また、今回の判決のようなものがでると、喫煙者と非喫煙者は対抗関係にあることが、社会的にますます認知される。
喫煙はラバーフェチと同じように、本来不必要な、快楽目的のアディクションといえる。平和な状態が長期にわたって続くと、細かなこと、従来はたいして問題とされてこなかったものも、問題にされるようになってくる。それはそれでいいと思う。そうした細かな問題ひとつひとつに、真摯に向かい合っていくことが必要だしそれをするチャンスだろう。
そうすれば社会が一歩前進することができるのではないかと思う。
ジェンキンスさん、私らはあなたが北朝鮮政府から、特別待遇者向けに配られるという外国製タバコを喫煙している映像を見て、なんだか複雑な心境でした。
Text by Tetsuya Ichikawa
Alt-fetish.com