ゴスロリというのがすっかり定着してきた日本のサブカルチャーシーン。
フェチのエバンジェリスト市川としては、ゴスロリがフェティシズムの要素をよく取り入れている以上、ゴスロリを論じないわけには行かない。
2夜にわたってゴスロリについて考えてみたい。なおこの文章を書くきっかけになったのは、Alt-fetish.comのトップページでフェティッシュ・アカデミー2のレビューを書いてくれている、そしてこのページではキャットスーツに酔いしれている晃子さんが送ってくれた『KERAマニアックス』と、『ゴシック&ロリータバイブル』という二つの雑誌である。
ゴスロリとAlt-fetish.comのフェチ、すなわちユーロボンデージの流れをくむ峰不二子系ツルピタブラックフェチの共通点は、黒、ブーツ、コルセット、異素材、そして広い意味でのフェティシズムへの志向があげられる。
ゴスロリが向かうフェティシズムは、ピアスやタトゥーといった身体改造へ向かうのに対し、Alt-fetish.comのそれは身体への働きかけよりもむしろ、あるがままの身体の存在感を際だたせることにある。
またゴスロリが、ヒラヒラのフリルアイテムを愛好するが、Alt-fetish.comはそうしたアイテムは無効で、むしろ身体にぴったりと張り付く第二の皮膚感覚を重視する。
このようにゴスロリとAlt-fetish.comとでは同じフェチというカテゴリーで共通点を持ちながら、その細部では対極と言っていいほどの差違が存在する。
しかし筆者はゴスロリを歓迎している。というのも、ゴスロリを契機に、Alt-fetish.comの方法論によって身体から欲望を引き出し充足する世界があることに、気がつく若い女性が増えるのではないだろうかと思うからだ。
まずはゴスロリの人たちの前に、Alt-fetish.comの世界観の象徴であるキャットスーツを露出させるのがなによりも重要と考えるため、今日行われたホームタウンドルパに参加してみた。
キャットスーツを初めて見るゴスロリ少女たちは、ヒラヒラフリルであふれる会場内でまるで冷蔵庫の奥底のように冷えて凍り付いたかのように味も素っ気もないAlt-fetish.comのブースで足を止める。
Alt-fetish.comのブースには、一体だけ、真っ黒のキャットスーツをピッチぴちにまとった人形がおかれている。
そして数十人に一名程度、並々ならぬ関心をこのキャットスーツなるものに注ぎ、こういうのが好きだと声をかけてくれる人が現れる。
彼女の「好き」というのを具現化して示せたことがとてもうれしく、またAlt-fetish.comの収穫となることは間違いない。
しかし実際にはゴスロリ少女の多くはAlt-fetish.comのキャットスーツに無関心であるようだ。Alt-fetish.comのブースの前を足早に通り過ぎる人が多かった。
Text by Tetsuya Ichikawa
Alt-fetish.com