ラバーにコンプリートという考え方

 先日投稿ページにアップした「横浜ゴムゴム」さんからのメールと写真をご覧になっただろうか?
 彼が来ているのはたぶんDemaksのキャットスーツとコルセットである。このキャットスーツは胸の部分に空気を入れて膨らまし、疑似オッパイを楽しむことができる。また、コルセットはラバー製で、7本ものベルトが拘束感を盛り上げる。キャットスーツもコルセットも取り寄せることができるので希望者はメールで問い合わせて欲しい。見積もります。
 横浜ゴムゴムさんは「ラバーはコンプリート化して初めてその存在があるのであって一部のファッションデザイナーのものでは無いはず。 マスク、グローブ、コルセット、キャットスーツ、そしてブーツ この完全なラバーコンプリタ-こそラバーリストと思います」と言っている。ファッションデザイナーがラバーをコンプリートで(完全に、全部ひと揃えに)起用することはなかなか難しいものがあるかも知れないが、ラバリストにとってはやはりこのコンプリートということが最も重要かも知れない。
 私がアズロ(昔、四ッ谷・青山にあったフェティッシュカルチャーショップ)に教えられた言葉のひとつに「トータル・エンクロージャー」というのがある。辞書でひいて調べたなあ。エンクロージャーとかいって。完全密閉、みたいな意味である。要するにラバーであらゆる皮膚の露出をなくして密閉することで、ラバーと一体となり、身体内の意識に潜行する、そういう試みのことをトータルエンクロージャーというわけ。
 その場合、頭はマスクで覆い、ガスマスクなどで呼吸も制御する。自分の呼吸の音を聞いて独自のトランス状態にはいるためである。爪先から頭のてっぺんまですべて覆い尽くすことを、横浜ゴムゴムさんはコンプリートという言葉を使って表現してくれた。これはなかなかに画期的だ。
 私など、キャットスーツを着た時点でもう感じてきてしまって、毎度のことだがいってしまうことも多い。しかしそうではなくマスクもきちんと、後ろの紐まできっちり締めて、ブーツも履いて、コルセットもベルトをひとつひとつ全部締めて、グローブも付けなければ、真のラバリストの至福に到達することは難しいのである。
 もっともそれだけのアイテムを揃えるとなるとざっと5万は軽く超えてくるところが恐ろしい。庶民にはなかなかオススメできない、私ら変態貴族のみの特権なのかも知れない(オススメできない理由はなにも金銭的なことに限られないが。笑)。
 私もお金がないときは想像を絶する高さ(当時)のラバーアイテムを、年月をかけてひとつひとつ買い求めたものだ。最初はグローブだった。まじめな私はこんなものにお金を使っていいものか、親バレしたらどうしよう、みたいなことで非常に不安になったものである。グローブをはめてオナニーして、ああやっぱりこんなもの買わなきゃよかったと思う。しかし数日たつとまたぐローブが気になる。そして今度は、グローブだけじゃ物足りなくなり、ストッキング、マスクと、あれこれ身体が求め出すのである。
 コンプリートを達成したあとは今度はバリエーションの快楽へと移行する。色を変えたり、かたちを変えたり。コーディネートを楽しむのである。
市川哲也
Alt-fetish.com
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