真夏のラバープレイへの省察

 毎日暑い。こんなに厚いとフェティッシュプレイへの欲望も止んでしまうかというと、そんなことはなく、むしろねっとりとした大気に誘われて、ますますビザールな「夜」への思いが高まろうというものだ。
 Alt-fetish.comではビザールプレイのマストアイテムとしてふたつのキャットスーツを展開している。
 ふたつの最大の違いは、生地である。Alt-fetish.comオリジナルキャットスーツはナイロン基布にポリウレタンコーティングを施して光沢感を出している。ナイロンなので伸縮性も抜群であり、光沢と伸縮が両立しているところが優れた特徴だ。
 もうひとつは、もちろんラバー。0.6ミリの厚めのラバーは、重厚感、装甲感、着心地ともに、これ以上のものはない。そして0.35ミリという薄手のラバーについても、皮膚にすき間なくまとわりつく感覚は爬虫類の表皮を思わせる。
 夏はもちろん、Alt-fetish.comオリジナルキャットスーツが気軽である。汗をかいたら、思い切って洗濯してしまっている(筆者の場合)。洗濯するとよれよれになって大丈夫かなとなるけれども、まあ筆者に場合はさほど気にならないので汗臭いよりはいいと思ってやっている。
 しかし、どうしてもラバーが着たくなることもある。
 そういうときは汗と寒さとの闘いとなる。
 寒さというのは、エアコンの冷房のことだ。もちろんエアコン無しではとてもじゃないが耐えられないので、普段絶対にしないような激寒の設定温度で部屋をキンキンに冷やして、鳥肌を立てながら着込む。
 しかしそれでも汗をかくのがすごい。キャットスーツの持つ発汗作用には驚くべきものがある。ラバーの場合、筆者は首筋が弱い。首筋の汗が、ラバーの襟の縁と摩擦して、皮膚が痛くなる。かゆみを通り越して、いきなり痛む。怖い。
 このため、摩擦しないように、襟のファスナーを下ろして広げる。その後すぐにラバーマスクをかぶって、再びファスナーを上げる。
 厚いのになんでこんな格好をしなければならないのだろう。というより、こんな格好をしたくてしたくて仕方なくなってしまうんだろう。不思議だ。
 普段の現実社会では「抗菌」とか「制汗」とか、表面をきれいに取り繕いながら、その一方で子供が子供を殺したり、子供をモチーフにしたキャラクターの変なゲームが市場で売れている。戦争の話題もメディアでは事欠かない。マスメディアは暴力がまかり通ることがあるということを喧伝するのに余念がない。
 こうした、ある種、承伏しがたい複雑怪奇な(ビザールな)現実社会を反映しているのが私たちのビザールコスチュームである。私たちは繊細で、感受性が高く、ちょっとボンデージのアニメや映像を見ただけで、街でブーツを履いている女の人を見ただけで、抜きがたいビザールな性癖を刻まれてしまう。
 極端に形態を変態させたコスチュームの、私たちの特異な性癖を語る、その能弁さの陰に、消し去りがたい現実社会のストレスへの倦怠がそっと寄り添う。
Text by Tetsuya Ichikawa
Alt-fetish.com