お台場から世界を考げえる

お台場にあるホテル日航東京へ骨休めへ。ウィークデーなので安い上に非常に空いており、快適そのものだった。近くの大江戸温泉物語へも入る。ここへは、ゴールデンウィーク中の5日間で約3万人が訪れたという。こんな狭い施設にそんな押し寄せたのだったら、一体どんな「地獄」が展開していたかと思うと、空恐ろしくなった。
地獄といえば、イラクでイラク人を虐待する様子が写真で各紙に報じられ、一躍有名になったアメリカ人女性兵士。監獄を「地獄にするのが私の仕事」と、熱心に「虐待」に興じた模様だ。
彼女の年齢はなんと26歳である。将来、気象学関連に進むための学費を手っ取り早く予備役で稼ごうと入隊したのが運の尽きのようだ。
それはいいのだが、この女性兵士の写真一枚で国防長官も大統領も必死に謝っている。イラク人に。イラク人との関係は不明なアルカイダが国連事務総長を殺すと表明しているそうだ。
アメリカという国が国際社会でいまだいぶ厳しい状態にはまりこんでいるわけだが、これは歴史的に見るとアメリカという国は何様であったか、そして今後はどうなるのかがうっすらと見えてくる。
古いところでは自分(ウィルソン)で言い出した国際連盟には入らない(上院の反対で)から始まり、包括的核実験禁止条約(CTBT)はシカトする、弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約は勝手にやめ、ロシアとの戦略兵器削減条約(START2)を破談させる、この時世に対人地雷全面禁止条約(オタワ条約)は署名すらしないといったことから、世界の平和協調には一貫して「ふてくされた態度」をとり続けている。
一方では軍事支出を圧倒的世界最高水準で拡大しまくって今、イラクでこのザマだ。
もちろんアメリカといえば民主主義、自由、今の世界の繁栄と富のモデルケースでもある。良識ある人々も大勢住んでいる。しかしこのアメリカが仕切る世界情勢がこれほどの混乱とめちゃめちゃ状態になっているところを見ると、どうもこれからはアメリカ一国主義は通用しないと言わざるを得ない。
先進国共通の問題として、政府(行政=お上)が巨大化しすぎである。日本が民間や地方に権限を委譲して、行政のスリム化を図る行政改革を進めているように、アメリカもまた、自分たちのやりたいことをもっとNGOとかに委譲して任せたほうがいい。
具体的には、世界的に元気なブランド企業をどんどんイラクに投資させ、マクドナルドや吉牛もイラクでやる。医療ミスのネットワークでの開示もまずイラクでやる。平和、安全のあと投資ではなく、まず投資して雇用も創出する。そうすると自ずと平和安全がやってくる。
インターネットカフェもコンビニももちろんやる。するとアルカイダも利用するようになる。防犯カメラにばんばん写る。プロバイダの記録にどんどん残る。そのうちビンラディンも写るかもしれない。
お台場は平和だった。マックも、大戸屋も、とんかつの和幸も、フジテレビもじつに平和に営業。夕闇の中、等間隔で渚に座り肩を抱き合うカップルの列。海辺で、小さな犬を散歩させるなぜか平日なのに私服の30代男性。
地雷は今、世界で1億個埋まっている。その除去に、米軍など中心となって世界中で取り組んでいる。少なくともお台場には地雷はない。そうだ、イラクも、外資の前に地雷除去だ。
わざと、子供とかが遊ぶようななんの変哲もない空き地に、地雷は埋められる。それも、即死するほどの威力はもともと備わっておらず、戦意喪失のために身体が損傷する程度の爆発力を持つのが最近の特徴という。
というか、地雷の原因になる戦争をやめないと、お台場的平和は来ない。お台場とは、埋め立てゴミの上に作られた資本主義のモデル都市。埋まっているのはゴミであるほうがいい。少なくとも地雷より。
パレットタウンにある大きな観覧車から、大江戸温泉物語方向を見やると、さらにその向こうに島が見える。その島は地図で見ると廃棄物処分場となっている。きっと数年後には、そこにまた平和が作られるに違いない。
Text by Tetsuya Ichikawa
Alt-fetish.com
※ドルフィーに生地の色は移りません。