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巻頭言──from editor
21世紀になり、私たちは想像を絶するテクノロジーの進展と資本主義経済のうねりのなかに生きています。特にインターネットの出現によって、すべての人々が、社会に向けて自らのスタンダードを発信したり、問題を明らかにしたり、利便性を提供したり、そして忘れ得ぬ時代の刻印を多くの人の心に残す可能性が提供されるようになりました。
この時代にあって、私たちALT-FETISH(オルタ・フェティッシュ)は、フェティッシュ・カルチャー、エロティシズム、合意に基づくサド・エロティック・プレイ(総称してフェティッシュ・カルチャー)への現代人のますます高まる関心をひとつの重要な契機ととらえました。フェティッシュ・カルチャーは「終わりなき日常」に生きる私たちにとって欠くことの出来ないエンターテインメントであり、明日を生きるエネルギーの萌芽です。そしてまた、本来生殖には必要のないフェティッシュなセックスによって、人は利己的遺伝子からひとときの開放感を味わう冒険もできます。ささやかなこの抵抗、それがフェティッシュなのです。その点で、フェティシズムは真のカウンターカルチャーと言っていいでしょう。
資本主義の成熟の果てにあるもの、そしてテクノロジーがもたらす影響が、高齢化が進む私たちの社会に未知の不安を投げかけ続けています。保守化した生活スタイル、多様性なき教育と社会では先行きの不安が大きく増幅されて私たちの足下を揺さぶります。そうしたなかでしっかりと立っているために、そして前に進むためには、自分がまず変わることを意識する必要があるでしょう。
変わるためのフォーム(様式)として私と、熱心な読者が選んだのが、フェティシズムでした。映画、写真、絵画、ミュージック、そしてファッション──フェティッシュ・フォームは、時代に敏感な才能あるクリエーターのさまざまな作品にいくらでも見出すことができます。
しかし、最も顕著なのは、フェティシズムを全面的に意識して作成された映像作品に違いありません。そこでこのサイトでは、強烈なフェティッシュ体験を皆さんとともに共有することで、フェティッシュ・フォームに目覚めたいと思います。
このフェティッシュ・ヴォイスをよめば皆さんは、すぐに、目に入るものすべてにフェティッシュフォームが宿っているかどうかチェックする癖がつくことでしょう。通勤電車の中吊り広告に。街の女性たちのファッションに。そうなればもう、しめたもの。成熟資本主義の行方とか、テクノロジーの人間への悪影響とか、場合によってはフェティッシュ・ヴォイスの存在すら、もうどうでもよくなってしまいます。
最後に一言。フェティッシュ・フォームを提言するのは私たちALT-FETISHの使命です。私たちのフォームに賛同できないのならば、どうぞ自分なりのフォームを作り、世の中に向けて発信してみるのがいいでしょう。それも、インターネットを使って。その機会、つまり自由な言論発表の権利こそ、遠い異国の祖先たちが勝ち取り、私たちへ残してくれた大切な価値ある権利です。01.08.25▲ |
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