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マーキス No38 | | 原題:MARQUIS No.38 雑誌 132p(オールカラー) MARQUIS 2006年 ドイツ 大きさ:A4 修正個所あり ←画像クリックで拡大
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フェティッシュコード | 【アイテム】ラバーブラ,ロングブーツ(編み上げ),ロングブーツ(ジップアップ),ショートブーツ,ピンヒール,ラバーストッキング,ラバーキャットスーツ,ラバーマスク,ガスマスク,グローブ,コルセット,鞭,SF系エロティックコスチューム,半透明ラバーアイテム,ラバーワンピース,ガーター,轡(くつわ),ディルドー,メタル・アイテム,ビスチェ,ラバーメード,ラバーナース 【アクション】ボンデージ(鎖),エロティックダンス,エロティックポージング,ウェット&メッシー | エディターズレビュー |
●エディター巻頭言───ポルノにおけるラバーコスチューム SKIN TWOが新しいポルノとしてのフェティッシュという特集をやっていた。もちろんそのとおり、フェティッシュはポルノとして成立している。この手の話題に関していえばうちは最右翼だからね。不景気のどん底にあえぐポルノ産業が、フツーのセックスじゃぜんぜんダメだって気付いて、フェティシズムに関心を向けてきている。ただ、そうはいっても、ポルノ産業における「フェティッシュ」の取扱ときたら、最悪だ。9割方は、ただパッケージに「フェティッシュ」と書けば売れるとばかりに、中身はぜんぜん関係ないのにフェティッシュを標榜している、低レベル、低品質、低予算の作品。せいぜい、よくてちっぽけで安っぽいラバーの端布が一瞬画面に登場するくらい。もちろんその一方で、ラバーについて深い眼識と洞察力を持った、専門能力の高い人たちが作った優れた作品もある。そのいい例が、マイケル・ニンとアンドリュー・ブレークがかかわった作品だ。あと、プライベート社のためにトレバー・ワトソンがやっているプロダクションとか。ただ、最高のプロダクションはなんといってもファッショニスタス。映画撮影に使われる35mmフィルムを使って、究極のポルノを作っている。ポルノ・オスカーといわれるAVNアワードも受賞している。ハードコアポルノとしてはもっとも金をかけて作っている。物語は面白いし、台詞はよく練られている。もちろんハードコアシーンはスリリングで激しく、フェティッシュアイテムも完全に融合している。
そんなだからファッショニスタスの、もはや伝説と化したディレクター、ジョン・スタグリアーノに、ファショニスタスの続編にMARQUISがかかわらないかっていわれたときは、願ってもないチャンスに飛びついた。去年のフェティッシュエボリューションの会場でね。制作期間は、数ヶ月を要した。30以上のラバーコスチュームを映画のために特別に作った。そして2006年4月にようやくクランクアップしたんだ。撮影は、ベルリンとロスでそれぞれ行われたけれども、MARQUISのスタッフはスタイリストとしてずっと参加した。秋には公開される。そして来年の1月には、AVNアワードに出品されるんだけれども、受賞間違いナシだね。いま、他にもハードコアフィルムプロダクションの有名所がコンタクトしてきていて、MARQUISはこのジャンルにどんどん、活躍の場を拡げているんだ。
●今号の内容
○フェティッシュ特集とインタビュー
デマスク:オランダの有名ビザールコスチュームブランド、デマスクの創設者スティーブイングリッシュインタビュー。下に全訳掲載。
ビッグ・イン・アメリカ:ホットでエロティック、ビザールな撮り下ろし写真をたくさん見られる会員制サイトFatal-Beauties.comの紹介を筆頭にアメリカの最新フェティッシュシーンのリポート。
○フェティッシュ・ファッション
「貴族階級」by HW Design:オーストリアの老舗ラバーレーベル、HWデザイン。ハロルド・ウィルファーによる。ノーブルな印象のキャットスーツ、半透明生地にサクラの文様をプリントした生地を使ったドレスなど。
ヴェックス・クロージング:シカゴの今いちばんホットなブランド、VexClothing。フェティッシュウエアにふさわしい「帽子」がイチオシ。貴婦人風の、羽根のついた帽子。他に、大ぶりな薔薇をラバーで作った帽子、キッチュな半ズボンなど。
MARQUISファッションの新作:明るい水色のキャットスーツ、同色の全頭フード、黒のストライプが入ったネクタイ、ミニスカート。ビアンカは太さの違う黒いラインの入ったコルセット。他に、ピンクのポニー、パープルの乗馬トップス、白のボトム。
ロンドン・パリ・ボンディナージュ:ロンドンのフェティッシュレーベル、ボンディナージュ。随所に取り入れる編み上げヒモや太いラバーのベルトを用いた、文字通り「拘束」をテーマとしたファッション。
○フェティッシュ・アート
ナメイン・レイヴェンウッド:精巧でリアルに描かれたCGアート。美女たちがまとうのはラバーコルセットやキャットスーツ、全頭マスクの数々。現実よりもはるかにエロティックで官能的な「てかり」には、世界のソラヤマをイメージさせる。しかしソラヤマよりもよりリアルで、具体的なイメージである。作家本人はハイヒールがいちばん好きとあって、すべての作品にハイヒールが登場。
ビザール・ギャラリー:ガーノットのイラスト作品。SMがテーマ。
○フェティッシュ・フォト
Grrrrh.. キティー・クロー:クリスティーナ・リッチ似のコケティッシュな美女がラバーエロティックコスプレに挑む。小さな顔に大きな瞳。身長は155センチしかないスコットランド出身、ロンドン在住のマルチタレントなモデル。ボークスの人形のようにマジ可愛い。それがラバーのナースやら、軍服やら、SM女王風やらのラバーコスチュームをびっちりきてしまう。素晴らしい。キティ・クロウのクロウは、ベティ・ペイジを撮ったアーヴィング・アンド・パウル・クローから採っている。
ウォルフガング・エッシャー:MARQUIS編集長ピーターと同世代の写真家。ソーシャルワーカーとしてキャリアをスタート。後に写真家に師事してプロカメラマンに転向。早くから才能を認めたピーターがOやMARQUISで彼の作品を掲載。後にペントハウス、ニュールック、プレイボーイらが追従。巨大なペニスの張り型を付け、全裸にブーツ姿の女性。鉄の玉をかぶって火花を散らすヌードの女性。レザーの膝上ブーツにグローブ、巨大な天使の羽根が付いたマントを付けたポートレートなど。
スプリッシュ・スプラッシュ ピーター・W・ツェルニヒがマスミマックスを撮り下ろし:真っ赤なラバーキャットスーツできめたマスミマックスが水遊びする様子。
ビアンカ・ビショップ:ビアンカがゲームのキャラクターに起用されたという話題。ゲームキャラのコスチュームも巨乳のビアンカにお似合い。
ロバート・R・サンダー:サンディエゴで活動するカメラマンの作品紹介。コルセットや透明ラバーを使ったポートフォリオ。
○フェティッシュ・ファンタジー
ラバー・スウィート:マイク・ビッカーズの作。イラストはガーノット。
○コラムとセクション
フェティッシュ・デポ:世界のフェティッシュ専門店リスト
ウェブレビュー:フェティッシュなウェブ紹介。
ほかに投稿、フォーラムと問い合わせ、話題の人物、誌上通販など。
○フェティッシュアートとメディア
本、DVD、CDなどフェティッシュアートの新作レビュー。
○フェティッシュパーティーとアクション
フェティッシュエボリューションウィークエンド2006:ドイツで開催された大規模フェティッシュイベント
ほか、各国のイベント・パーティーレポート。
●デマスク創設者スティーブ・イングリッシュインタビュー全訳……通常のMARQUISと同様の構成で、このインタビュー記事は7ページだが、内容が重要なのであえて全部訳しました。
「デマスクの創設者スティーブ・イングリッシュは、1990年に私がオーガナイズしたフェティッシュパーティーにゲストとして参加していた。そのころすでに彼はデマスクをアムステルダムに起ちあげていた。彼は、それから数年のあいだ、お気に入りの赤いジャガーにラバーグッズを満載して、ほうぼうを売り歩いていたよ。イベントにしばしばやってきては、夜更けまでウィスキーを何本も飲んで熱く語っていたけど、僕のほうはとうてい朝まで持たなかったな。」(ピーター・ツェルニヒ)
それから、数年で、彼のブランドは劇的な成長を遂げた。いまでは、世界で最大のフェティッシュカンパニーになった。すべてのアイテムは採寸され、既製品としてデザインされている。古典的な方法で仕立てよく作られたフェティッシュファッション、完ぺきなバックルとフックのパネル、究極の色遣いである赤と黒。高品質なデマスクとして世界に知れ渡っている。デマスクの製品は、非常に高度な技術で作られている。それに、耐久性能も高い。コルセットは、縫い目が剥がれたりすることなく、タイトに締め上げることができる。インフラタブルボディ・バッグ、ジャケット、ビザール・マスクは妥協のない非常に複雑なデザインで仕上げられている。デマスクはそれ自体店舗を持たないが、その代わり、世界中にフランチャイズショップを展開している。製作部門はチェコにある。
編集部(サンドラ)は、エッセンで行われたフェティッシュ・エボリューション2006でスティーブ・イングリッシュのインタビュー取材に成功した。
MARQUIS(以下M):デマスクを起ちあげた理由は?
Steve(以下S):ずいぶん前のこと、そうだね、1984年かな。もう20年以上前だね。最初は個人的な興味関心だったんだ。それまで15年ばかり、土木技師として働いていたけど、その仕事には正直、うんざりしていた。いったいこれでなんになるんだって、ね。僕は小さい頃からラバーマニアだったから、よし、それだったらこれをビジネスにしてやろうって思いついた。当時はラバーを接着するという技術はまだ新しく、この方法を人に教えたりしていた。イーストミッドランドのダービーにあるうちのガレージで、仕事を持っていなかった友人たち数人に教えていた。そのころ、ちょうど私がメンターにしていたジョン・サトクリフという、そう、アトムエージの創始者が、亡くなって。彼の足跡を次世代に継承していくこと、それを自分のミッションに決めたんだ。
M:それでビジネスがどんどん大きくなっていきましたね。
S:そう。最初のステップは、1989年のアムステルダムへの移転だね。当初は、地下室を工房にしていたんだけれども、すぐに手狭になった。12人もの人たちがすし詰め状態だった。よくまあやってたと思うよ。
M:デマスクの社史における重要なハイライトを教えて欲しいんですが?
S:最初の頃のハイライトは、作業場を手に入れたことかな。ついに地下室を出ることができたということで、感慨深かった。それからもっと広い作業場を手にして、50人も人を雇うようになった。2000年になると、建物を建て替えないといけなくなっちゃったのをきっかけに、労働コストが安いチェコへ移転することにした。作業場の移転は、すべてのオペレーションを移さないといけないから、そりゃもうなかなかの苦労がある。いまはもうすっかり落ち着いて、以前よりもぜんぜんいい状態になったけれども、引っ越しのさなかはまるでジャグリングだったよ。
外から見た部分では、ユーロパーブの成功は大きかった。Marina親王姫がパーティーにやってきて、世界中のメディアが「ロイヤルがラバーの狂宴に」って大騒ぎに。その後、スーパーボウルで、ジャネットジャクソンの衣装を担当したりもした。
M:すごいプロモーションですよね。
S:まさにそのとおり。翌朝ドアをノックするから開けると、「ニューヨークポスト」の記者が立ってたんだ。一言お願いしますって。その後ワシントンポストも取材に来た。まさに世界に名が知れたのはこの瞬間だった。大成功だ。
M:デマスクといえばクローズ(衣料品)のみならず、長年イベントで有名でしたよね。どうしてイベント事業を辞めてしまったんですか?
S:ユーロパーブ15でやめた。結構前だね。正直、労多くして益なしって感じで。服をメインにしていこうと決めたんだよ。それともう一つ、アムステルダムの市の規制が厳しくなって、この手のパーティー会場を探すのがすごく難しくなったこともある。パーティーが大衆化して、望まざる客とか来るようになったし、死亡事故とかも起こったし。僕はいまは他の人が主宰するパーティーに客として行ってるよ。もちろんオーガナイズしてた頃のストレスとは無縁だ。
M:近年のベストセラーアイテムを教えてください。
S:ベストっていわれても、すごいたくさんのアイテムが売れてるから、難しいな。初期の頃の古いデザインのものでも依然として売れているし。流行の循環で息を吹き返すものもあるから、パターンはみんな取っておいてあるんだ。ベストセラーは、なんといってもキャットスーツ、特に、巨乳タイプのもの(torped
tit……魚雷のように巨大な乳房が胸につけられているタイプ、中に空気を入れて膨らませられるものもある)だね。それにコルセット、フード(マスク)、下着、あとはラバーで作ったボンデージ小物とか。
M:従業員は何人くらい?
S:全世界で80人。工場の現業の人も入れて。
M:どの年の店が会社の本拠なんですか?
S:今のところニューヨーク。ちょうど移転したばかりだけれど。いや移転はホントたいへんだった。1週間毎日12時間働いたよ。それから、もちろん、アムスはいうまでもないよね。あと、ミュンヘン、ニュルンベルグ、ドルトムント。数ヶ月前に、スペインの店は閉めた。スペイン人って、あまり変態はいないみたいだね。
M:次はどこに店を出しますか?たとえばパリとか?
S:そうだね。フランチャイズショップをやりたいというオファーはいつでも受け付けているよ。フランチャイズ方式がいちばんいいね。ついこの間もクロアチアのザグレブの店をフランチャイズ契約したよ。うまくいくかは、東ヨーロッパの人たちの懐具合だろうね。うちは価格を、地域によって変えたりしないから。世界中で同じにしないと。ネットでみんなくらべられちゃうからね。
M:デマスクは確かに最大のブランドですが、いまでは新しいブランドがラバーファッションの市場に相次いで参入してきています。競争相手を脅威と思っていますか?
S:うちらはずっとこの市場でビジネスをやってきている。新参者はこれまでもいて、やってきては、また出て行った。数年、やって、そしてまた消えてしまう。彼らの多くは、一人か、せいぜい二人の会社。売上規模が一定のレベルに達すると、よけいなコストがかかってくるでしょう? まず人を雇わないといけない。そうすると、必然的に税金、社会保障といった社会的コストがかかってくる。人を雇わないで、一人二人でやっていられるうちなら、寝室でもできるビジネスだけれど、人を雇うとなればそうはいかない。人を雇わないで済むうちは得られていた利益が吹き飛んでしまって、それで彼らはやめてしまうんだ。
M:そうすると、デマスクの未来は明るいですね?
S:そう、イエス! かつてなくいい感じだよ。特にインターネットの恩恵が素晴らしい。リアル店舗からの売り上げと同じくらいをネットで売り上げてるからね。ネットの売上は確かに増えているけど、リアル店舗を凌駕するほどにはなっていない。やっぱり、この手の服のお客は店に出かけて、実際に試着してみたいというのがあるようだ。
M:あなたの個人的なフェティシズムは?
S:ヘビーラバー。基本的には。美しく、薄い黒いラバーで何重にも身体を覆ってしまいたいんだ。マスク、ガスマスク、ピスバッグ、インフレタブル、みんな好きだよ。
M:今後の展望は?
S:フランスに古城を買おうかと思ってる。そこで、ダーティーラバーセックスをして盛り上がるんだよ。すでにフランスじゅうのラバーマニアたちから引き合いが殺到(笑)。
ビジネス面では、店を出したいな。アメリカだと、ロス、サンフランシスコ、ラスベガス、パリ、あと、ロンドンにもう一店舗欲しい。東京も。誰か(よいフランチャイズオーナー希望者を)知らない? 2006.7
(C)MARQUIS
●他、美しい撮り下ろし、最新ラバーカルチャーシーンのリポート、書き下ろしビザール小説、主要ラバーブランドの広告など美しいカラー写真が目白押し!!
(訳出:市川哲也)
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